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脱!空の巣症候群 “うつ”になったメカニズムからの脱出

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.216


Introduction

現代人に増え続ける“うつ病”は、他の精神障害と同様、原因が特定されていないため、症状や患者の置かれている環境などからいろんな症状名がついています。

その中でも40代後半から50代の女性に多く見られる“空の巣症候群”は、生きがいだった子どもが進学や就職で親元を離れたり、結婚での独立をきっかけに、自分の役割を失った母親が新たな生きがいを見つけられずに“うつ”になってしまう状態を言います。

ちょうど更年期に差し掛かる年齢で心も不安定になりやすく、長引いたり、依存症を併発するケースも少なくありません。

今回ご紹介する実証例は、子育てがひと段落した途端に無気力になり、空虚感にさいなまれていたある女性(Eさん 50代 沖縄県)が、ミロスシステムで“うつ状態になったメカニズム”を知り、短期間で回復した体験です。

『脱!空の巣症候群 “うつ”になったメカニズムからの脱出』

空の巣症候群

今年の春、Eさんの生活に大きな変化が訪れました。長女が就職し、次男が一人暮らしを始め、何かと手を焼かされた次女も自分の道を見つけて親元を離れていきました。

ようやく4人の子育てがひと段落し、これから夫婦で第二の人生を楽しめるというのに、何かをしようとする気持ちが全くなくなり、日常生活でも必要最小限のことで精一杯という日々が続きました。幸い、医師である夫が彼女の症状に気づき、理解を示してくれたことが何よりの救いでした。

夫の診断は“空の巣症候群”。世間では、克服方法のひとつとして、“新しい生きがい”を見つけることが大切だと言われていますが、「なぜうつになってしまったのか?」その根源的な原因とメカニズムを知らなければ、治っても再発の恐れがあります。

人生を見直してみた

これまでも気分の浮き沈みを経験してきたEさんは、このピンチを“人生を見直すチャンス”だと捉え、完全に超えようと、人生をミロスシステムにあてはめ、うつを引き起こした“無自覚な意識”を紐解いていったのです。

三人兄弟の長女として生まれたEさんは、いわば母の愚痴の聞かされ役でした。中でも、生活苦から二度も中絶せざるをえなかった話を聞かされる度に、彼女は父よりも母に冷酷さを感じたと言います。

また、家庭を放ったらかしにして仕事ばかりしていた母から“愛された感覚”を得られずに育った彼女は、自分に自信が持てず「何かできなければ価値がない」と思うようになりました。この頃からEさんは、常に目標を持ち、それに向かって生きることで心のバランスをとるようになったのです。

頑張ることで“優越感”を感じていた

努力して看護師になり、理想の夫にも出会えた彼女は、やがて4人の子どもに恵まれました。医師である夫を、妻として、看護師として支えながらの子育ては、大変なこともたくさんありましたが、頑張る自分に密かに“優越感”を感じていました。

なぜなら、良妻賢母になることは、Eさんにとって母を反面教師にした生き方だったからです。授かった子どもを全員、産み、育て、仕事をしながら家庭を守る…。“母ができなかったこと”をすることで“優越感”を感じていました。また、自分が子どもの頃に得られなかった愛情を子どもに注ぐことで、心を満たしていました。そして、心の奥底では、自分に寂しさや嫌な思いをさせた母を見下げて、復讐していたのです。

先祖から引き継がれてきた“負のパターン”

まさか、無自覚な欠乏感をバネに良妻賢母に傾き、子育てという“生きがい”を失った途端に心のバランスがとれなくなってしまったとは、彼女も思いもしなかったでしょう。しかし、シチュエーションは違えど、これが先祖代々、女性に引き継がれてきた“負のパターン”でもあったのです。

実は彼女の母も、子どもが独立したあと“うつ病”を発症していました。また、祖母は、アルコール依存症で自立できない息子の面倒を見ていました。そしてEさんも、母を反面教師にしましたが、母と同じように“うつ状態”になってしまいました。結局、欠乏感を埋めようとしても、この世の“反転運動”によって、より大きく膨らみ、ネガティブな事象となって現れていました。

夫をどう見ていたか?

また、子どもの頃、父の愚痴を言う母に抵抗感を持っていましたが、その母の言葉がそのまま、自分の夫に対する思いと重なりました。彼女の母は、よくこう言っていたそうです。

母「お父さんは本当はすごい人なのに。転勤していれば、もっと生活は楽になったのに…」

彼女の父は、家族のために転勤を辞退し、出世コースから外れたそうですが、母はその事を不満に思うだけで、父の家族愛や、人が喜ぶことをモットーに、地域の人のお役に立つ仕事に従事してきた父の生き方を見ていませんでした。

Eさんも、結婚前は夫の“医師としての姿勢”に強く惹かれ、「この人なら医療を変えられる」とまで思いましたが、結婚し、病院を開業したことをきっかけに、以前と変わらず患者の要望に細やかに応え、身軽に診察に出かけていく夫の姿に“スケールの小ささ”を感じて不満を抱いていました。

すべての元凶は

ここでも、常に不足感を感じてしまう母の“見方”や“物事の捉え方”が彼女に引き継がれていることがわかりました。そして、実はその見方こそが“自分自身を見る目”であり、自分のマイナス面ばかりを拾い、もう片側にある、自分の良さを感じることができないがために、自己評価が低く、自分を愛せなかったことがすべての元凶でした。

子どもの頃に見ていた母も、自分に対する無価値感がつくり出した“幻想”だとわかりました。本当は、子どもを養うために母は働き詰めでした。そして、父や夫を通しても、自分の中に人類愛のような“大きな愛”があることも感じられました。

すると、Eさんの中で、母の無償の愛と父の大きな愛が混ざり合い、あふれんばかりのエネルギーが湧いてきたのです。

第二の人生のスタート

Eさんは今、家事に、仕事にと、思う存分楽しんでいます。空の巣症候群になったメカニズムから完全に抜け出し、第二の全く新しい人生がスタートしたのです

(終わり)

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