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鬱は、自分を許すことを学ぶ体験だった【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.47


Introduction

前回より、鬱病に苦しんでいた女性(Kさん)がどん底の状態から抜け出し、人生を完全に復活させた体験をご紹介しています。

子供の頃から優等生だったKさんは、結婚してからは良い妻・良い嫁でいることで自分の存在価値を感じていました。しかし、評価を上げるために “自分が作ったルール” に縛られ、気づかないうちに非常に窮屈な生き方を自分に強いていたのです。

彼女はどのようにしてその状態から抜け出し、人生を復活させたのでしょうか。後半の今回は、彼女が変化していくプロセスに注目してください。

『鬱は “自分を許すこと” を学ぶ体験だった』【後半】

頑張れば頑張るほど

「このままで終わるもんか!」

洗濯物を干したり、食事の支度をしたり…家事をしているときも、“普通の家庭の主婦” という肩書きに対する彼女の不足感が消えることはありませんでした。

子供が幼稚園に行っている間に文化講座やセミナーなどに参加し、“自分の存在価値” をアピールして周囲に自分を認めさせるための “形” を求めて、次から次へと新しいことに手を伸ばしていったのです。

しかし、その原動力になっていたのは “自己存在への欠乏感” でした。

頑張れば頑張るほど「もっと認めて!」「私に注目して!」という心の叫びは大きくなるばかりで、他人の評価が気になって仕方がありませんでした。そして、技術を身に付けても資格を取っても決して満足することができず、さらにハードルをあげて自分にプレッシャーをかけていったのです。

ついに体に異変が……

自分の存在価値を上げるために自らを追い込んでいたKさんは、ある日、体の異変に気づきます。

パソコンの画面が見づらくなり、「おかしいな…」と思っているうちに、めまいがひどくなり、人の話し声など周囲の音が異様なほどにうるさく感じるようになっていました。それでもなんとか我慢して頑張っていましたが、とうとう限界がやってきました。

鬱病で人生のどん底に

医師の診断は “鬱” でした。しかし、世間体を気にしてずっと優等生として生きてきたKさんにとって、そんな病気はとても受け入れられるものではありません。

“何もできなくなった自分” を許すことができなかった彼女はさらに自分を責めて引きこもっていきました。そして、心の扉を閉じてから1年もの間、どこへも出かけられない状態が続きました。一番ひどい時は味覚も嗅覚も麻痺してしまい、すべての音が騒音として聞こえていたといいます。

「私は終わりだ。もう二度と立ち上がることもできない…」

ところが、人生のどん底にあって、もはや這い上がることをあきらめかけていたとき、ある人の言葉が一筋の光のように彼女の閉ざした心に差し込んできたのです。

自分を俯瞰する視点

「あなたは鍵の閉まっていない檻の中にいるのよ。出られないと思っているのは自分だけ。今この瞬間に出ようと思えば、すぐに出てくることができるのよ」

この言葉を聞いて、彼女は天地がひっくり返るほどの強烈な衝撃を受けました。そして、檻の中にいる自分の姿をはっきりと目にしたのです。

檻の中で下を向いてうずくまっている自分。鍵はかかっておらず、扉も開いている。

それは、鬱状態にまで自分を追い込んだ “観念的思考” から抜け出し、初めて客観的に自分を見た瞬間でした。彼女は思わず檻の中の自分に向かって叫びました。

「出られるよ!」

すると今度は笑いがこみあげてきました。

「なんだ、出られるじゃない! ばかみたい!」

“思考” という檻の中から抜け出した彼女は、その後、人生をリセットし再生させるシステムを通して、自分がはまっていたトリックを紐解いていきました。

生まれ持った“自分自身を評価する目”が

いかがでしょうか。こうして彼女の人生を知っていくと、普通は次のように感じるはずです。

「Kさんは “自宅が旅館” という特殊な環境で生まれ育ったがために周囲に気を遣い、他人の評価を気にし過ぎて、自分の存在価値を失ってしまったのだろう」

しかし、ここに彼女がはまりこんだ “根源のトリック” が隠れているのです。

人間は生まれながらにして “自分自身を評価する目” を持っています。そして、“自我” が芽生えて物ごころがついた頃には、その “自分を見る目” を通して周囲を見るようになります。

彼女はそれまで、「他人の評価に振り回されてきた」と感じていました。しかし、本当は自分に下した評価を “他人を通して感じていた” という衝撃的な事実を知ったのです。

短所にも長所にも満足できなかった

彼女は自分の短所を許すことができず、長所を伸ばそうとしてきました。しかし、その長所にも満足できず、「もっと、もっと」と頑張ってきたわけですから、短所と長所のどちらも許していなかったのです。

長所と短所をコインの表と裏にたとえるなら、おもて面の長所を大きくしようと思えば、裏面の短所も同じ大きさで広がるということです。短所を嫌ってプラス思考で生きてきた “今までの生き方” そのものが、自分の価値を下げていたことに気づいたのです。

自分を認めた瞬間に鬱が終わった

トリックを理解した彼女は、そのバカバカしさを知ったとき、全身から力が抜けました。すると、今まで思考のジャッジが分けていた自分の “嫌なところ” と “好きなところ” を全て包括した “ありのままの自分” が見えたのです。それは、彼女が生まれて初めて自分を認めた瞬間でした。

「今までよく頑張ってきたね!」

Kさんは自分を抱きしめるように声を掛けました。その瞬間に鬱は終わってしまったのです。

当時を振り返り、彼女は次のように話します。

「私は鬱のお陰で “本当の自分” を知り、“自分がどうありたいのか” を初めて知ることができました。今では、自分を許すことを学ぶために、あの体験を自ら選んでいたことも分かります。なぜなら、鬱の人は “自分の全て”を許すことができず、常に自分を責め続けているからです。世の中には、自分を否定しながら生きている人がたくさんいます。私はそんな人たちに “絶対に大丈夫!” と伝えることができるんです」

Kさんの言葉には、鬱という病の “根源” を超えたからこその力強さがありました。彼女はいま、自身の経験を通して、同じ苦しみを体験している人たちにメッセージを送り続けています。

(シリーズ終わり)

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