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鬱は、自分を許すことを学ぶ体験だった【前半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.46


Introduction

現代人の3人に1人が “鬱病” またはその “予備軍” だといわれています。発病のメカニズムもいまだ解明されておらず、生物学的、心理学的な見地にもとづく諸説も仮説の域を出ていません。鬱病への対応が難しいのは、症状がかなり進んでからでなければ、自分が病気であることにもほとんど気づかない点だといえます。

今回は、実際に鬱病で苦しんでいた女性(Kさん)が “人生をリセットし再生させるシステム” により完全にその状態から抜け出し、見事復活した事例をご紹介します。

彼女の体験は、いまこの瞬間に “苦しみの真っただなか” にいる人やそのご家族、そして、その予備軍かもしれない人たちにとって大きなヒントになると思います。

『鬱は “自分を許すこと” を学ぶ体験だった』【前半】

特殊な環境で育った子供

Kさんは旅館を営む両親のもとに三人兄弟の末っ子として生まれました。彼女が鬱病になった背景には、“自宅が旅館” という特殊な環境がありました。子供部屋を一歩出ると、そこには知らない大人たちがたくさんいて、台所や洗面所に行くだけでも常に緊張感を伴いました。

「うろうろ歩きまわってはいけない」「目立ってはいけない」そう自分に言い聞かせて、常にお客さんに迷惑をかけないように意識しなければなりませんでした。彼女にとって “自宅” とは、リラックスできる空間が存在しない、毎日の生活の場だったのです。

また、両親は接客で忙しく、彼女にあまり構ってくれませんでした。

「末っ子の自分は一番小さくて目立たない存在であり、誰も気にかけてくれない…」

そう感じていた彼女は、とうとう “自分の存在感” さえも失ってしまいました。

自己存在感の喪失と自己顕示欲

自分の存在感を感じられなくなったKさんは、その反動で「私に注目して!」「私を認めて!」という自己顕示欲が強くなっていきました。そして、周りから褒められるほどその傾向は助長され、「もっと認めてもらいたい」と頑張るようになっていったのです。

小学校に進学すると、Kさんは先生に認めてもらいたいがために、優等生を目指しました。学級委員を引き受けるなど、とにかく自分の存在をアピールしました。彼女にとって自分の存在感を感じられるのは、“自分に対する他人の評価” だけだったのです。

彼女はそのうち、優等生でいるためにどのように行動すればいいのかというルールをつくるようになります。

「これはしてはいけない」「こうすれば褒められる」

そういう基準によってどんどん自分を縛っていったのです。自宅では両親に、学校では先生に…相手が変わっても、彼女がやっていたことは全く同じでした。常に「私を認めて!」と叫んでいたのです。

環境が変わっても、ルールに縛られ続ける

他人の評価を極端に気にして生活する子供時代を過ごし、窮屈な生活を余儀なくされていたKさん。しかし、そんな彼女の人生にも、ようやく変化のきざしが見えました。学校卒業後、就職することなく、すぐに結婚が決まったのです。

「これで自由になれる! 結婚してこの家から出れば、私は自由になれるんだ!」

彼女は結婚生活に大いなる期待を寄せました。ところが、いざ結婚してみると、彼女の期待は見事に裏切られます。

夫の顔色を伺い、「今の機嫌はどうかな?」「これを言ったら怒るかな?」と必要以上に気を遣う毎日。また、別居していた舅と姑にも気に入られようと頑張ります。

「こうしたら認めてもらえるんじゃないだろうか」と考えて好きなものをプレゼントするなど、いろんなことを試しました。しかし、どれだけ頑張っても「自分が認められた」という感覚を得ることは決してありませんでした。

結婚2年目を迎えた頃、舅・姑との同居生活が始まりました。もともと同居には気が乗らなかった彼女でしたが、自分の中にある “長男の嫁が従うべきルール” には「ノー」という選択肢はありませんでした。

どうしたら認められる?

その後、子供が生まれ、経済的・時間的に何不自由ない暮らしをしながらも、彼女は “小さな家庭の奥さん” に収まってしまった自分に満足することができませんでした。就職することなく家庭に入ったせいもあり、社会から見放されたような疎外感を感じていたのです。

「このまま一生、主婦だけをして終わるのだろうか?もっと社会から認められる存在になりたい!」

いてもたってもいられなくなった彼女の気持ちは、徐々に “社会” に向けられるようになりました。

子供が少し大きくなって時間に余裕ができるようになったある日、彼女は地元の文化センターに置かれていたチラシを見て、カルチャースクールに通うことにしました。

ところが、ひとつだけ習いごとをするだけでは満足できず、その他にもいろんなものを習うようになりました。“自分が何をしたいのか” よりも、“自分がどう思われるか” または “何をしたら社会的に認められるだろうか” という観点で決めていたからです。

自分の存在が消えてしまった

常に他人による “ジャッジ” に極度に敏感でありながらも、それに振り回されていることに気づくことができなかった彼女。彼女は、“自分がどうしたいのかが分からない” ことさえも “分からなく” なっていました。言いかえると、主体性がなく、自分の中に自分が存在していない “空っぽの脱殻” のような状態だったのです。

環境が変わっても、彼女の世界は常に“同じことを感じて苦しむ窮屈な世界” であり続けました。自由を求めながらも、自分が自分を拘束していることに気づかないKさんは、まるで狭い鳥カゴの中に自ら進んで入った小鳥のようでした。

カゴの扉が開いていることも忘れ、羽をばたばたさせながら「私はここにいるのよ!」とアピールする彼女。しかし、出口を求めて飛び回るも、どこへ飛んでも行き止まりという、失意の毎日が繰り返されるだけだったのです。

(シリーズ後半へつづく)

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