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人生における “関係性の病” とそれを超えるシステム(シリーズ前半)

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.124


Introduction

今回のテーマは「病・医療」です。病気のみならず、人間関係やお金、仕事、子育て…等々、生きていく上で生じる問題を「関係性の病」としてお伝えします。

体調の異変に不安を感じたり、医師から病気だと診断されたら、たいていの人は病を治すことだけを考えます。なぜ病気になったのか、その “メカニズム” を知ろうとする人はほとんどいません。

ここでいうメカニズムとは、食事等の不摂生や生活習慣的なものだけではなく、日常の行動をもコントロールし、病気というひとつの現象をつくり出した無自覚な内面のパターンです。

もちろん治療も大切ですが、同時にこのパターンを理解しない限り、病気を繰り返し発症したり、健康でも “病気” の心配につきまとわれます。

また、人間関係や仕事、お金、健康、子育てなど、生きていくうえで遭遇するさまざまな問題を人生における “関係性の病” と捉えたとき、病気の場合と同じように対症療法で解決しようとしても、また次から次へと別の問題が浮上します。

今回ご紹介する実証例は、精神疾患、体の病気、人間関係の問題、夫婦のDV、離婚…等々、さまざまな関係性の病に苦しんできたある女性(Sさん)がミロスシステムを知り、その病をつくりだしている根源の原因とメカニズムを理解し、人生を初期化した体験です。

『人生における “関係性の病” とそれを超えるシステム』(シリーズ前半)

うつ・自律神経失調症・摂食障害の家族

Sさんは、思春期に精神を患いました。極度の心的ストレスが原因ですが、そこまで彼女が追い詰められた背景には、家庭内の不和がありました。

彼女が幼い頃から両親は仲が悪く、母は夫婦関係のストレスからウィルス性の病に冒され、さらに鬱を併発していました。時折、暴力的になることもあり、彼女は母の様子をうかがいながら子供時代を過ごしていました。さらに、一人の姉は摂食障害を起こし、もう一人の姉は喘息と重度の自律神経失調症に苦しんでいました。

重苦しい空気に包まれている家庭のなかでただ一人元気だったSさんは、母や姉たちを助けたいと思っていました。しかし、状況は一向に変わらず、家族を救いたいという想いが逆に彼女の精神的な負担になっていったのです。

急激な自立を強いられ

とうとう過酷な家庭環境に耐えられなくなり、その頃すでに母と別居中だった父のもとへ行き、一緒に暮らすようになりました。

ところが、父は出張で家を空けることが多く、ここでも彼女は親のぬくもりや安心感を得ることができませんでした。大きな家に一人ポツンと残され、甘えたくても誰にも頼れなかった彼女は、急激に自立していきました。そのせいか、同級生が幼稚に思え、一緒に遊んでいても楽しさを感じることができませんでした。

人間は心の拠りどころがないとうまく暮らしていけないものです。Sさんは家でも学校でも孤立してしまったことでストレスが積み重なり、すべてに対して意欲がなくなっていきました。そして、食欲も失せ、病的にやせ細った娘を見かねた父が母に連絡を取り、母が家に戻ってくることになったのです。

たくさんの薬を飲まされることに

子供にとって母のぬくもりほど癒やされるものはありません。家に帰ってきた母に抱きしめられたとき、Sさんはどれだけ嬉しかったでしょうか。「もう離れたくない」Sさんは心底そう思いました。しかし、その願いは “反転” したのです。

安心したのも束の間、翌日からSさんは高熱に浮かされました。原因がまったくわからず、母が通っていた精神科で診察を受けたところ、“神経衰弱” と診断されて、その日からたくさんの薬を飲まされることになりました。彼女はその薬がいったい何に効いているのかも分からないまま、副作用で精神状態が不安定になっていきました。

よく効く薬ほど副作用があると言われますが、病を撃退する力があるものほど本来の体の機能を狂わせ、薬が意図する効果から “反転” した結果を伴うことがあります。

幻覚が見えたのか、何かを恐がるようになりました。そして、食べることも眠ることも困難になり、精神科への入院を余儀なくされたのです。

精神科へ入院して

Sさんが入った病棟には、さまざまな症状で入院している思春期の女の子たちがいました。彼女たちは普通に会話もでき、健常者となんら変わらないように見えました。しかし、医師や看護婦、家族がやってくると必ず症状が表れ、明らかにおかしな言動に変わるのです。その様子を見て、彼女は思いました。

「周りの人間が彼女たちを病気にしているのではないだろうか。もっと気持ちを聞いてあげたらいいのに…」

この時、Sさんは入院仲間を通して、“両親と離れたくない” という想いを受けとめてもらえなかった自分を見ていたのです。

体の異変や普通とは違う行動に “病名” がつけられて大量の薬を飲まされる。そして、伝わらない想いや抑え込んだ感情が噴き出すと、また薬で抑え込まれる。彼女はそんな医療の現状に驚愕しました。

退院後、彼女は家を出ることを決意します。まだ15歳でしたが、どこかで人生をリセットしたかったのでしょう。アルバイトで収入も得られるようになり、通信制の高校へも通い、誰からもとやかく言われない自由な暮らしを手に入れた気がしていました。

「親元を離れて環境が変わったので、それまでいた世界から抜け出せた。 新しい人生がスタートした」

しかし、安堵した彼女のささやかな幸せは “反転” していったのです。

(シリーズ後半へつづく)

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