鬱は、自分を許すことのできない思考回路の持ち主が発症しやすいと言われていますが、程度の差こそあれ、人間は自分で自分のことを愛することができません。なぜなら、物心ついた頃から、他者との比較や競争により、いつの間にか自分に対して不足感をもってしまうからです。
そして、一度形成された思考回路を修正するのは非常に困難であり、鬱は再発性があり、完治するのは難しいと言われている大きな要因になっています。
しかし、「どうすることもできない」とあきらめていた問題でさえも、“なぜそうなってしまったのか?”、その仕組みを理解した時、瞬間に状況が一変します。
今回ご紹介する実証例は、10年間、鬱の症状に苦しみ、人生に絶望していたある女性(Uさん 40代 東京都)が、ミロスシステムに出合い、生きる気力を取り戻し、驚くほどの短期間で変容していった体験です。
『鬱になったメカニズムを知り、10年来の苦しみから解放される』
10年間鬱に苦しんだUさん
今から約10年前。仕事に忙殺される日々の中、Uさんは突然過労で倒れ、その日から生活が一変しました。病名は鬱。パニック障害と度々起こる発作により、強制的に精神病院に入院しなければならなくなり、それ以来、鬱の様々な症状にずっと苦しんできました。
発症する前の彼女は、“超パワフル人間”と周りから称されるほど能動的で、何事にもポジティブに取り組み、何でもこなせる女性でした。それが…自分の意思とは関係なく、体も思うように動かせなくなり、家に引きこもり、ほとんど寝たきりの生活を余儀なくされたのです。生きていることさえも辛く、毎日のように泣き続け、「どうしたら楽に死ねるのだろうか…」と、そんなことばかりを考え過ごしていました。
しかし、昨年末に「このままではいけない、本当に何とかしなくては…」と思い、長年の友人に助けを求めたことがきっかけで、彼女はミロスシステムを知ることになったのです。
藁をもすがる思いで
藁をもすがる思いでセミナーに参加し、ミロスのシステムに触れた時、「何とかなるかもしれない…」と希望が湧いたと言います。そして、私の著書「THE ANSWER」を読み、人間はこの三次元世界のトリックを知らないがゆえに、思い通りにならない人生を送っていること、そして自分もその一人であることを知り、彼女の希望は確信へと変わりました。
「私はこれで大丈夫だ」「きっと…変われる」
身体の奥底から湧きおこる熱い想いが、重たい肉体を動かしていきました。
Uさんが受講したミロスのカリキュラムは、過去に鬱を経験し、ミロスシステムでその苦しみを乗り越えた講師のナビゲートによって、問題を引き起こす自分の思考パターンや行動を知っていくものでした。そして、そこで彼女の凝り固まった思考がどんどん解体されていきました。
不安や恐怖の原因
Uさんは、常に不安や恐怖に苛まれていましたが、その原因が、実は自分が“安心”を求め過ぎていたからだと知り、大きな衝撃を受けました。まさか“安心”という言葉が自分の中から出てくるとは思いもしなかったからです。
少しの不安も取り除こうと完璧を目指すことで、逆に不安が増長し、なんとかしようとすればするほど望まない方向へと向かっていたという“反転のトリック”を知り、そのトリックの中で自ら生きづらい人生をつくっていたことがわかりました。
期待に応えようとした生き方が…
子どもの頃から父の期待に応えようと頑張り、知らず知らずのうちに「できる」「できない」にこだわるようになっていたUさん。
父に認められるにはどうしたらいいかと常に考え、「こういう時はこうするべきだ」「こうでなければならない」と、自分で自分を縛り、同時に、できない自分や、認めてもらえない自分を許せないようになっていたのです。
社会人になってからも、周囲の期待に応えようと彼女はバリバリ働きました。
本当は苦しくてたまらないのに、その事さえも気付かずに、他者の目を気にしてつくられた理想の自分、理想の人生を目指し、過剰に頑張った結果、その背後で増幅していた欠乏感や不足感が、鬱という症状で襲い掛かってきたのです。
人生を俯瞰できた
生活が一変し、Uさんは何もできなくなってしまいました。その姿は、彼女が最も嫌ってきた「何もできない自分」でした。そんな自分から目を背け、どうにかしようと闘うほど、どうにもならない状況に陥り、絶望的になっていました。
しかし、自分の人生を俯瞰した時、まるで“回し車”の中をくるくると走り続けるハムスターのような生き方をしていた自分が見えました。その姿があまりにも滑稽で、思わず笑ってしまったUさん。この瞬間に、彼女は10年来の鬱の苦しみから解放されたのです。
鬱はマイナスばかりではなかった
また、Uさんは、自分の殻に閉じこもり、家から出られなくなったことで苦しんでいましたが、視点を変えて観れば、そこにも大きなメリットがあったことを知りました。何もかも放り投げて、寝たいときに寝て、起きたいときに起きるというネコのような気ままな暮らしを、倒れる前の彼女はどこかで望んでいたのです。
鬱はマイナスばかりではありませんでした。自分を犠牲にしてまで働いてきた彼女に休息を与え、人生を軌道修正するきっかけをつくってくれました。自分を許し、愛することのできるミロスという“実践方法”に出合い、まったく新しい第二の人生を手に入れることができたのですから。
目ざましい変化
その後のUさんの変化は目覚ましく、一番驚いているのは当の本人でした。つい最近まで、ほぼ寝たきりで生きる気力さえなかった彼女が、どんどん意欲的になり、一つ一つ実行し、実現していることで更に自信がつき、自分自身との信頼関係を取り戻していきました。自分にとって必要なのは“システムの理解”だと言い、薬も必要としなくなりました。
たった1か月足らずの間に起こったことですが、この体験を持って彼女は“人生は自分次第である”ことを強烈に感じています。あれほど苦しんできた日々も、今では遠い昔の事のように思えるそうです。
そして、今の自分のことを「生まれたばかりの赤ちゃんだ」と言うUさんは、これからどんな人生を楽しもうかとワクワクがとまらないそうです
(終わり)