人にはそれぞれ考え方に傾向があり、実は何かを見たり体験した時に、自分が何を感じ、どう捉え、どう判断したかで人生をつくり上げています。人生がうまくいかないという人は、その考え方に問題があるのですが、自分の考えや感情に取り込まれているため、なかなか問題を終わらせることができません。
ミロスシステムは“新次元の視点”から、人生に大きな影響を与えている“無自覚な意識”を紐解き、間違った思考を根源からリセットしていく実践方法です。今回ご紹介する実証例は、ミロスシステムの“新次元の視点”から、自分自身を苦しめていた思考の根源をリセットしたことで、過去までもまったく違う世界に変わってしまったある女性(Sさん 50代 愛知県)の体験です。
『娘が見せてくれた無自覚な自分 ~うまくいかない人生の根源をリセット』
娘の自閉症を受け入れられない
子どもの成長は、振り返ってみるとあっという間です。あとからアルバムに記録しておいた写真を見返し、思い出と共に当時の気持ちをしみじみと感じるのも親の楽しみのひとつではないでしょうか。
しかし、Sさんは、娘が3歳のときに“自閉傾向”があると診断されてから、子どもの写真は撮っても、整理することもなく段ボール箱に入れ、もう何年も押し入れの中にしまい込んでいました。
彼女がそうしていたのは、写真を見返すことで気持ちが落ち込むからでした。自閉症という事実を受け入れることができず、他の子と比べては娘のことを不憫に思い、母である自分を責め、家族からも笑顔が消えていた頃の記憶に触れたくなかったのです。
子どもたちが大きくなり、少しゆとりが出てきた今、写真を整理してみようと思っても、いざ写真の入った箱を目の前にすると気持ちが落ち込み開けることができませんでした。彼女は、未だに逃げ続けていること、そして、本当の娘の姿を見ていないことに気づき、「このままではいけない」と立ち上がりました。
思考体系を紐解くと
Sさんは、ミロスシステムの“新次元の視点”から人生を俯瞰し、自分自身を苦しめている思考を紐解いていきました。
娘に感じる劣等感、孤独、そして、罪悪感…。逃げ続けてきた感情をミロスのシステムにあてはめたとき、自分の出生時に遡り、思いもしなかった事が見えてきたのです。
Sさんは、三人姉妹の末っ子として生まれ、二人の姉とはだいぶ歳が離れていました。母が妊娠中、父は「今度は男の子だ!」と男児が生まれてくることを大変期待していたそうです。しかし、生まれてきたのは女の子でした。その時の父の落胆ぶりを、彼女は物心ついた頃に姉から聞かされました。
「また女か…」
Sさんには、がっかりする父の声が聞こえてくるようでした。
その時から、彼女は、自分の存在に罪悪感を持ち、“女”であることを嫌い、父に受け入れてもらえなかった悲しみや、愛してもらえない不安を抱えて生きるようになりました。
娘に感じていたものの原因
そして、14歳の時に母が亡くなり、その後、父の再婚相手ともうまくいかず、継母から父や自分に対する不満を言われ、怒りや寂しさ、孤独感で、自分が壊れそうになったSさんは、辛い感情を遮断して、心の奥底に追いやり、感じないようにしてしまったのです。
自分が“女”で生まれてきたこと、母の死、継母からのいじめ…彼女の中で“女”に対する抵抗感は増長し、男のように生きたいと思うようになります。しかし、彼女が見ている世界には、いつも自分にないものを持っている優れた女性が現れ、一層コンプレックスは強まり、「私はダメだ」と自分に言い続けてきたのです。
こうして人生を紐解くなかで、初めて、Sさんは、娘に感じていたものは、自分に対する劣等感であり、自己否定であり、自分が自分に対して罪悪感を持っていたから、他人から責められたり、自分を蔑むような人生をつくりあげてしまったことを知りました。
“超えるべき人生のテーマ”だった
しかし、そのきっかけは、彼女の出生時に父が言った言葉が原因ではありませんでした。父はただ“男の子ではなかったという結果”にがっかりしただけで、娘の誕生に落胆したわけではなく、“そう捉えた”のはSさん自身だったのです。
なぜなら父に対して感じたものも、実はSさんの中にある“無自覚な意識”だからです。つまり、生まれながらに持っている感情面―“罪悪感”や否定的な感情を、Sさんは生まれた時に、父を通して体験したのです。
その感情面は、Sさんが先祖から引き継いだものであり、“超えるべき人生のテーマ”でもあります。もし、彼女がこの仕組みを知らないままでいたなら、娘にも引き継がれていたでしょう。もしかすると、娘も自分の存在に罪悪感を持ち、母に受け入れてもらえないと感じていたかもしれません。
しかし、こうして全てが紐解かれたことで、父に感じたものは、感情面を体験するための“思い違い”であったことがわかりました。こうしてSさんの否定的な思考や感情の根源はリセットされたのです。
パーフェクトな存在
後日、Sさんは、心のつかえがなくなっていることに気づき、箱の中から写真を取り出してみてびっくりしました。昔、彼女が写真の中に見た光景とはまったく違う家族が映っていたのです。
「みんな笑っている!娘も、息子も、私も、夫も!」
そして、当時、彼女が見ていた娘…他の子と比べてできない事が多く、会話もうまくいかない、友達もいない孤独な娘…は、どこにもいませんでした。友達に囲まれ、本当に楽しそうに笑っている娘が写っていました。
「人生で最も辛かったことが終わった!」「過去までもすっかり変わってしまった!」
その解放感と安堵感はたとえようもありませんでした。
今、Sさんの目の前には、誰よりもフレンドリーで、人気者の娘がいます。「とてもユニークな個性を持った、パーフェクトな存在だ」と娘を通して自分にも言える人生に変わってしまったのです
(終わり)