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人間には自分に関わるすべてを再創造する力がある【前半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.40


Introduction

書籍『ママとパパをえらんできたよー親と子の関係性に隠されたトリックー』の前半は誰もが体験している子供の頃の感覚や感情が引き出される物語、後半は親と子の “根源のトリック” を日常の題材をもとに紐解く解説の二部構成で、私の提唱する “人生をリセットし再生させるシステム” をより身近に感じていただける画期的な本になっています。

さて、本連載では、“トリック” から抜け出して全く新しい人生を歩んでいる人たちの体験をご紹介しています。

今回は、子供の立場から “親と子の関係性” を紐解いた体験をお届けします。

子供は普通、全面的に親に依存して養育されているので、どんなに家庭が嫌いでも逃げ場がありません。

少年M君も自分の親や家を恨んでいました。幼児期から思春期までを過酷な環境で過ごした彼は、ある時 “トリック” を知り、“親が悪い”という今までの考え方では自分の未来に全く可能性がないことを知ります。そして、どんどん “トリック” を理解していくことで、“人間には自分に関わるすべてのものを全く新しくつくり直す力がある”ことを知ったのです。

『人間には自分に関わるすべてを再創造する力がある』【前半】

幼い頃から両親が嫌いだった

M君は就学前の幼い頃から父と母を嫌っていました。スナックのママとして働いていた母は、彼が店に遊びに行っても男性客の相手に忙しくてかまってくれません。幼い彼には母の仕事が理解できず、自分から母を取り上げてしまった客たちに嫉妬に近い感情を抱くと同時に、母に対しては “どうして僕を見てくれないんだ” という不足感を持つようになりました。

一方、父は暴力的で、機嫌が悪いときには家族を怒鳴り散らす荒くれ者でした。父の怒りの矛先はM君に向かうことが多く、中学生のときには足の骨が変形するほどの暴力を受けたといいます。しかし、父に殴られているときも母は見ているだけで、決して彼に救いの手を差し伸べてはくれませんでした。ほかの家族も「そろそろやめろよ」と言うだけで、父を止めに入ることはありませんでした。M君は助けてくれない母に “裏切り” を感じると同時に、母に裏切られた自分が惨めでなりませんでした。

やがて両親は離婚し

また、母は家事全般が苦手で、料理はもちろん掃除や洗濯さえできませんでした。スナックと掛け持ちで弁当屋でも働いていたため、M君の夕食はいつも市販の弁当でした。夜間の勤務から帰ってくる父も、がさつな母や散らかった家に腹を立てて家族や物に当たり散らします。家の中はいつも殺伐とした空気が漂い、安らげる場所ではありませんでした。

M君は、“両親が愛し合っている” と思ったことは一度たりともありませんでした。「こんな両親なら早く離婚してほしい。そうすれば父から離れられる」とさえ思っていました。その後、彼の望みは皮肉な形で現実になります。父が外に女性を作って借金まみれになり、家にもお金を入れなくなって母と離婚してしまったのです。

家庭の温もりが欲しい

そんな環境の中で育った彼が憧れたのは、“ごく普通の家庭” でした。友人宅へ行くと、家族が当たり前のように一緒にご飯を食べている。当たり前のように会話をして、笑っている。当たり前のように叱ってくれる。

自分が味わったことのない “家庭の温もり” がうらやましくてなりませんでした。自分の家と他の家を比べてはそのギャップに苦しみ、落ち込み、彼の心は荒んでいくばかりでした。

どうして生まれてきたんだろう

「どうして僕はこんな父と母の子供に生まれたんだろう」「お金持ちで、もっと優しい親の子供に生まれたらよかったのに」「親のせいだ」「家が悪いんだ」

彼は自分の生い立ちに強烈なコンプレックスを感じ、どんどん膨れ上がる憎しみに苦しんでいました。

同じ境遇の仲間と

しかし、そんなM君にも唯一の拠りどころがありました。それは、自分と同じような境遇の仲間たちが集まる空間でした。複雑な家庭環境で育ち、片親だったり、両親が不仲だったり、人とうまくコミュニケーションが取れなかったり…親の愛情に飢えた寂しさも、仲間と一緒にいるときだけは忘れることができました。

実は、彼らは世間でいう “非行少年” と呼ばれる子供たちでした。ヘルメットを付けずに騒音を立てながらバイクを乗り回し、シンナーやガスの吸引、ケンカや暴力事件で警察のお世話になることも度々ありました。

いま思えば、自分が悪さをしていた理由は、父と母にかまって欲しかったからだとわかりますが、当時はそんなことを知る由もありません。彼の心の中に “この世界” への疑問が湧いてきたのはその頃でした。

この世界はいったいどうなっているんだ?

「人生には、良いときと悪いときが繰り返し起こっている。調子がいいと思っていても、必ずそのあとには調子が悪くなる。上がったように感じても、必ず落ちる。この世界はいったいどうなっているんだ?こんな世界に本当の幸せなんてないんじゃないのか?人生を楽しむなんて不可能じゃないのか?」

ところが、中学3年生のある日、どんなに考えても答えが見つからず悶々としていた彼に人生の転機が訪れました。通院していた治療院の先生から、まるで “魔法のような話” を聞いたのです。

(シリーズ後半へつづく)

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