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人間には自分に関わるすべてを再創造する力がある【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.41


Introduction

両親を嫌い、自分の生い立ちを嫌い、心の中の欠乏感を紛らわすかのように荒れた生活を送っていた少年M君。自分の見ている世界の “正体” を知ったことで、取り込まれていた “トリック” から抜け出し、全く新しい人生へと大転換した彼の体験を前回よりお伝えしています。

後半の今回では、全く新しい感覚を持ったことで、彼の世界が劇的に変わっていきます。

『人間には自分に関わるすべてを再創造する力がある』【後半】

この世のすべては自分の情報?

M君に人生の転機が訪れたのは中学3年生のときでした。彼の心の中から湧き出てきた “この世界” への疑問が彼を新しい人生へと導いていったのです。

「人生は良いことと悪いことが繰り返し起きている。上がれば落ちて、また上がっても必ず落ちる。こんな世界に本当の幸せなんてあるんだろうか?」

答えが見つからず悶々としていたとき、通院していた治療院の先生から、それまで聞いたこともない不思議な話を聞いたのです。

「自分が見ているものや相手に感じるものは、すべて自分の情報なんだ。この自分は実は “本当の自分” ではない。本当の自分は “外側の世界” を通して知っていくことができる」

“不幸と幸せの両極”

M君は少し困惑しました。自分が経験してきた不幸な人生が “自分の情報” だということは分かっても、憧れていた幸せな家庭までもがそうだとは思えなかったからです。しかし、先生はさらに次のような話をしてくれました。

「『これは不幸』『これは幸せ』と感じられるのは、自分の中に “不幸と幸せの両極” があるからである。もし片方しかなければ比べるものがなく、不幸” か “幸せ” かを判断することさえできない—」

これを聞いたとき、彼は全く矛盾を感じることはなく、素直に受け入れることができました。実はそれが “システム” だったのです。

すべてトリックだった

この日を境にして彼の感覚は大きく変わり、自分が見ている世界が全く違うものに変容していきました。幸せと不幸、貧しさと豊かさ、怒りと喜び…今まで全く別のものだと思っていた極と極が、実は常に “対” で存在している世界であることが見えてきたのです。

◎これまで自分の生い立ちを嫌って幸せを求めてきたけれど、実は求めた分だけ、“幸せの対” である不幸も同時に大きく膨れ上がっていたこと。◎不幸な自分という “欠乏感” をバネに幸せを求めている以上、人生が改善したように感じても、それは一時的なものであり、いつか必ず落ちていくこと。◎そして何よりも、自分の中から欠乏感が消えない限り、欠乏感を感じる現象が繰り返し起こり続けること。

自分がはまり込んでいた “トリック” に次々と気づいていきました。

自分でつくった世界なら、変えられる!

「今までのような生き方では、幸せになることなんて不可能だったんだ。 すべては自分がつくった世界。ならば、自らの力で変えられるはず」

M君は、心の中にあった “この世界” に対する問いの “答え” についにたどり着くと同時に、自分に関わるすべてのものを再創造する方法も理解し、全身の細胞から湧き出る喜びを感じました。

“外側の世界から自分の情報を知る” という新しい感覚をつかんだ彼は、否定的なものを感じても、それが自分の中にある極であり、もう一方には肯定的な極もあることを “客観的に” 捉えられるようになっていました。そして、相手に感じた感情を “自分のもの” として味わっていくなかで、彼は自分の体の中で “父と母” を感じるようになったのです。

理解することで変わっていく

「お父さんはこう思っていたのか…」「お母さんはこう感じていたのか…」

父と母の気持ちを理解することで、二人に対して持っていた憎しみや自分の心の傷が “今の自分” の中で消えていきました。自分が見ていた父と母とは、自分でつくった心の傷から見ていた “思い込みの父と母” だったことも分かったのです。

そして、気がつけば、憎しみや寂しさという感情が心の中から消えていて、葛藤することもなくなっていました。あれほど荒れていた自分からは想像できないほど、別人のように変わってしまったことに、彼本人が一番驚きました。

そして、どんどん相手を通して自分を知っていくうちに、自分が出会った “縁” のある人たちは、自分を知るために存在してくれる自分の情報であることも分かりました。あの父や母は自分の中にある情報であり、自分で決めた “超えるべきテーマ” のために自らが選んだ親であり、家庭環境だったことを知ったのです。

いままで不幸ばかり拾い集めていた

いろんな事が紐解かれていくなかで、今までの人生を振り返ることで分かったことがありました。不幸な人生だと思ってきたけれど、もう片側には楽しいこともあったのです。父と一緒に遊んだこと、母に甘えていたこと、家族全員で焼き肉を食べに行ったこと…思い出すとたくさんの幸せがありました。

しかし、彼には “不幸” しか見えていませんでした。なぜなら、幼い頃に父や母から受けた行為に対して「愛されていない」「裏切られた」「見捨てられた」と感じたことで、「自分は不幸でみじめな子供だ」と思い込み、それ以来、自分がみじめに感じるシーンばかりを拾い集め、それをつなぎ合わせて映画のフィルムのようにして、自分の人生を “不幸な物語” につくりあげていたのです。

“裏切り”への復讐は“裏切り”で

また、彼には自分でもどうにもならない異性関係の悩みがありました。好きな彼女がいても、他の女性に目映りしてしまい、何人もの女性と性的な関係を結んでいたのです。そんな彼の行為は、友人が見ても異常に思われるほどでした。

しかし、それさえも紐解かれていきました。子供の頃、父に暴力を振るわれているとき、助けてくれなかった母に “裏切られた” と感じた彼は、その時のみじめさ、救ってくれないことへの憎しみ、絶望感を自分の中に抑圧して生きていたのです。思春期になり、女性をたくさんつくり、“女性を裏切る” ことで、実は母に復讐していたことに気がついたのです。

安心感、安堵感、充足感に包まれる

こうして父と母を許し、自分のすべてを受け入れていくたびに、それまで感じたことのない安心感、安堵感、充足感に包まれて、愛や感謝という言葉では表現しきれない温かいものが自分の中からあふれてくるのを感じるようになりました。そして、関係性のトリックを理解した瞬間に目の前の世界が変わり、二度と元の状態に戻ることはありませんでした。

それまで体験してきた辛かった過去もかけがえのない財産になりました。まさにこれは “魔法のようなシステム” だと彼は言っています。

『人間には、自分に関わるすべてのものを再創造する力がある』

そのことを、M君は自身の体験をもって実証したのです。

(体験談 No.3 終わり)

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