今回は、書籍『ママとパパをえらんできたよ 〜親と子の関係性に隠されたトリック〜』を読んだ一人の青年が語ってくれた体験をもとに “親と子の関係性のトリック” に触れていきます。
『ぼくの人生に輝きを与えてくれた本』【前半】
いつしか“感じることのできない”子供に
両親が共働きだったその青年(Hさん)は、子供のころに親と一緒にゆっくり過ごすということがほとんどありませんでした。また、彼は感情をうまく表現できない子供で、いつも彼の中には表に出せない感情やうまく言い表せない思いが溜まっていました。
そんなHさんは、嫌なものを感じると、それを切り離して無意識に心の奥底へと追いやり、蓋をして感じないようにしていました。そうすることで “自分が傷つかないように” 守っていたのです。
しかし、自分の感情を怖がって感情を遮断することで、“感じる力” はどんどん弱まっていきました。嫌なものを感じなくてすむ代わりに “喜びを感じる力” も失い、やがて彼の表情から笑顔が消えました。そしていつのまにか、喜怒哀楽の表現が乏しい “感じることのできない” 子供になってしまったのです。
両親からの “過干渉”
そんな彼の人生には、「自分の中には “こんなもの” があるんだよ」と目の前に突きつけられるような出来事が次々に起こりました。そのひとつが両親からの “過干渉” でした。
彼がどこかへ出かけようとすると、母が決まってこんな質問をぶつけてきました。
「どこに行くの?」「いつ帰ってくるの?」
母にしてみれば全く悪気がないこんな言葉が、彼にとっては非常に不快だったのです。
「何で僕のことを信じてくれないんだ!」「僕は何も悪いことをしてないのに…」
母に憎しみが湧くまでになった彼は、母の声を無視することでそれに抵抗しました。しだいに家族間の会話が減っていき、以前はごく当たり前に交わしていた世間話もしなくなりました。
原因は?
そんな家庭環境で育ってきた彼が、私の提唱する “人生をリセットし再生するシステム”を知ったのは、いまから2年ほど前のことです。
それ以来、システムに触れる数々のイベントに参加することで、彼は全く新しい世界観を知りました。“本当の自分” を発見していくなかで、根源から新しく変わっていくような感覚を感じたのです。
そして今回、『ママとパパをえらんできたよ 〜親と子の関係性に隠されたトリック〜』を読んだことで、これまで自分に重くのしかかっていた親と子の関係性が紐解かれていきました。
自分の中にあるものが “過干渉” という現象として “親との関係性” に表れていることを知った彼は、どのような原因でその過干渉が起きているのか、どうしても知りたくなりました。そして、意を決して、自分が子供のころの親子関係を母に尋ねました。
「おばあちゃんと子供(母たち兄弟)の間で何かあったの?」
すると、母はおもむろに、過去に起こった悲しい出来事を語り始めたのです…。
(体験談 No.4 後半へつづく)