1. トップ
  2. Rossco’s Eyes 〜人生を俯瞰できる視点〜

  3. Vol.37


人間関係が築けない原因は、子供時代の”母を見る目”だった

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.37


Introduction

書籍『ママとパパをえらんできたよ 〜親と子の関係性に隠されたトリック〜』は2部構成になっており、前半の絵本では母と子の深く優しい愛のストーリーを感じていただき、後半の解説では親と子という人間が生まれる根源の関係性に隠された “トリック” を紐解いています。

人生を生きていくうえで、なぜ私たちには悩みや問題が絶えないのか — その根源的な原因は、トリックに取り込まれたまま何も知らずに生きていることにあったのです。

従来の人間の概念を超えた “全く新しい視点” から“親と子の関係性” を観たとき、自分の内側も目の前の世界も完全にリセットされ、思う存分楽しめる人生に再生していくのです。

『人間関係が築けない原因は、子供時代の”母を見る目”だった』

自分と相手の距離感がつかめない

「この人となら仲良くなれるかもしれない…」

新しい出会いに期待しても、関係性が深くなるにつれて相手とうまく付き合えなくなるというIさん。「どこまで自分を出していいのだろうか」「どこまで相手の中に入ってもいいのだろうか」と感じ、自分と相手の距離感がつかめなくなるのです。

相手に嫌われないように自分をよく見せようとしても、演じ続けることはできません。よい関係性を保ち続けることに疲れ果てて、いつも自分から距離を作って疎遠になっていました。それでも本当の仲間が欲しくて自分を理解してくれる人を探し、出会っては離れていくという関係性を繰り返していたのです。

そんな彼女があるとき “親と子の関係性のトリック” を知り、自分がそこに取り込まれていることに気づきはじめました。それ以後、彼女の人間関係は著しく変化していきました。

父と母をどうみていたか

Iさんが驚いたのは、子供時代に自分が父をどう見ていたのか、または、母をどう見ていたのかが、そのまま今の人間関係において“自分が他人を見る目” にスライドしているということでした。それを知った彼女の脳裏に、忘れていたある出来事がよみがえります。

母に殺されるかもしれない!

そういえば小さい頃、母に包丁を向けられたことがあった。助けてとも言えず、ただ怖かった。悲しいけれど泣けなかった。

「お母さんは私を殺したいほど嫌っているんだ…」

母に殺されるかもしれない — 幼い子供にとって、これ以上ショッキングなことはありません。信頼していた母に強烈な裏切りを感じたかもしれません。まだ小さくて状況を理解できなかったにしろ、自分の存在を母に完全に否定されたと思ったのでしょう。彼女はその時から、母を “敵” と見なすようになったのです。

無意識に追いやった当時の感情

しかし、そんな感情を持ったまま生きていくことはできませんでした。恐怖や悲しみなど、当時のつらい感情をすべて遮断し、無意識の奥に抑圧したまま、その後の人生を送っていました。

それでも、あの出来事以来、母との間には埋められない距離感がありました。表面的に近づくことはできても、心の中では母を切り離していました。それが彼女の人間関係のベースになっていたのです。

目の前の相手が母と重なっていた

“親と子の関係性のトリック” を知ったIさんは、自分が関わる人を “敵” のように警戒して見ていることを知って驚きました。敵に自分の弱みを見せまいとして、本音を隠して “いい人” を演じていたのです。

「自分はこの人に受け入れてもらえるのだろうか…嫌われないだろうか」

相手の表情や言動に敏感に反応する自分は、まさに母の機嫌をうかがっていた子供時代の自分でした。関係性が浅いうちはいいのですが、親しくなってくると、目の前の相手に母親が重なり、裏切られる恐怖から近づけなくなっていたのです。

好きと嫌いは表裏一体

抑圧していた記憶が解放されたせいで、Iさんの内側から強烈な感情が噴き出してきました。

「みんな死んじゃえ!」

彼女は泣きながら叫びました。最初はそんなことを思った自分を責めました。けれども、感情を出し切ったことで、それとはまったく違う感情が生まれてきました。

今まで、「この人でもない、あの人でない」と選んできたけれど、出会った人たちを大事にしてこなかったのは自分だと気づき、涙が出てきたのです。Iさんのまぶたに、ご縁のあった人、一人ひとりの顔が浮かび、体の中から温かいものがあふれてきました。

「ついさっき『死ねばいい!』と叫んだのに、みんなのことを愛おしく思っている自分がいる」

その瞬間、彼女には “好きと嫌いは表裏一体したひとつのもの” であることが見えたのです。

母への感謝へ

すると、自分に包丁を向けた母に対しても、それほど私のことを強く愛してくれていたのだと深く感じ、許すことができました。そして、“縁” というものをこれほどまでに感じさせてくれた母に感謝の思いがあふれ、つらかった過去の記憶までもが彼女の中で愛のあるものに変わってしまったのです。

その瞬間、自分の中に母が戻ってきたように感じられ、母との距離感も消えてしまいました。“母に見捨てられた子供” という傷も癒え、自分自身の存在も認めることができたのです。その日を境にして、Iさんは人との関わり合いを自然に楽しめるようになり、心から絆を感じられる仲間もできました。

母が癒され、息子も変容した

しかし、その体験は彼女だけにとどまりませんでした。同じ時期に、子供にも変化が起きました。「うまく友達の輪の中に入って行けない」と言って、休みの日はいつも家にこもっていた息子にも仲間ができ、楽しそうに外へ出かけるようになったのです。

“親に傷つけられた” と思っている人は、世の中にたくさんいると思います。しかし、“トリック” から脱け出したとき、その親との関係性を、自分の “超えるべきテーマ” として自らが選んでいたことがわかります。

(終わり)

同じジャンルの記事

Vol.218悲しい別れが繰り返す…そんな人生をつくり上げていたものは?

Vol.38子供の非行 〜 あらゆる手をつくした母がたどりついた究極の答え 〜【前半】

Vol.126人間の成長を妨げる共依存からの脱出

おすすめの書籍
THE ANSWER

書籍 新次元思考テクノロジー 〜対立を超える視点〜 ROSSCOが生涯をかけて伝え続けた「持続可能な人類のために絶対必要な意識のテクノロジー」とは―。
販売価格 1,980円(税込み)
商品の詳細へ

MIROSSが学べるスクールのご紹介
ミロスアカデミー ミロスアカデミーオンライン