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理想の結婚の落とし穴【シリーズ最終回】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.36


Introduction

理想の男性と出会い、幸せな家庭を夢見て結婚した女性(Nさん)の体験をもとに、人間が知らないうちに取り込まれている “この世のトリック” をお伝えしています。

仕事も家事も完璧にこなそうと頑張ったNさん。しかし、理想と現実のギャップに自己評価は下がる一方でした。

シリーズ第2回では、Nさんが自分の置かれている状況を改善しようとしてどんなに頑張っても、その向上心を押し出した低い自己評価が “外側の関係性” に “反転” して現れ、「認めてもらえない」「愛してもらえない」と感じる現象をつくり出していました。それは、欠乏感から夢や理想を求めても、“求めた分をさらに上回る欠乏感に苦しむ” という結果になりかねないことを物語っていました。

最終回の今回では、夫婦の関係性が自分を知るための “鏡” になっていることをNさんが理解し、それと同時に彼女の人生が見違えるように変わっていきます。彼女の考え方や見方の変化に、人生をリセットして再生させる “全く新しい空間認識” のヒントが隠されています。

『理想の結婚の落とし穴』

“夫に感じているもの”は?

精神的に極限状態に追い込まれたNさんは、夫と共にシステムを本気で理解することを決心しました。

「夫婦の関係性が “鏡” になり、そこに無自覚な自分の傷が映し出されている。それは、パートナーに感じるものを通して知ることができる」

これをもとに、Nさんは “自分が夫に感じているもの” をじっくりと見つめてみたのです。

「家事のできない妻だと思っているのだろう」「もう私のことを愛してはいないだろう」

今まで “夫からこのように思われている” と感じてきたことが、実は “自分の傷から見た世界” であることに彼女は驚きます。

「自分は何もできない人間…」「愛される価値がない…」

そのように無意識に自分を見て、 “自分が自分を見ている目” を通して“自分に対する他人の行為” をジャッジしていたのです。

そこには関係性の“トリック”が

彼女はこれまでの人生でも、無意識に人に好かれようとして行動していたのでしょう。結婚後も夫に愛されたくて、家のことをすべて自分一人に背負わせていたのは、他でもない彼女自身でした。

結果的に、彼女は “報われない” と感じてしまいます。そして、「私だけがしんどい思いをしている…」と、自分を愛してくれない夫を憎むようになってしまったのです。

しかし、まさか “自分が夫を見て感じているもの” が “自分への評価” であり、“自分自身に与えている行為”が夫との関係性に表れているとは思いもしなかったでしょう。目の前の空間には想像もつかない “トリック” が隠されていたのです。

Nさんは、結婚してからよく出てくるようになった感情を見つめてみました。

「誰も私の気持ちをわかってくれない」「いっそ死んだ方が楽かもしれない」

今まで自分を苦しめてきた感情を、それに取り込まれることなく傍観していたとき、忘れていた光景がよみがえってきました。それは幼少期の自分でした。

頑張るほど増長される

Nさんの生まれ育った環境は、共働きの両親と姉が一人。そして、仕事で忙しい両親に代わって面倒を見てくれる祖母がいました。

姉は明るく社交的で誰からも愛される存在。それに比べて自分は内弁慶でダメな子だと思っていました。祖母は姉だけをかわいがり、自分は “のけもの” にされている — Nさんの目にはそんな世界が映っていたのです。自分にかまってくれない祖母のことを憎み、遺書に祖母の名前を書いて死のうと本気で考えていたといいます。

しかし、「自分が見る世界は自分の内側の投影である」という“システム” の根幹どおり、幼少期に祖母や姉に感じていたことも、結局はNさんが “自分をそのように評価していた” ということです。

“システム” の存在さえ知らない彼女は、物心がついた頃から “自分を評価する目” で人の顔色をうかがい、愛されようとして頑張っていました。頑張れば頑張るほど自己否定は増長され、家族に辛い感情を感じながらも、生きていくためにそれを遮断し、自分の中に抑圧したのです。

感情は過去につくられたもの

感情というものは “今この瞬間に目の前の相手に感じているもの” だと思っていないでしょうか。しかし、感情は過去につくられたものであり、その感情に触れる出来事が起きたときに噴き出します。

特に、夫婦は “同質の感情面(心の傷)” を持っており、互いに相手を通して自分の傷に触れるため、自分の中に抑圧している感情が “夫婦の関係性” を通して爆発的に噴き出します。信じられないかもしれませんが、現在の夫婦の関係性において“過去の家族との関係性”が繰り返されていたのです。

互いが癒され、本当の夫婦に

こうして、Nさんは夫を通して自分の人生の全体像を知っていきました。自分を苦しめていた感情の正体を紐解き、今まで体験したことのない解放感と安堵感を得ることができました。

気がつけば、自分の中から根深い “自己否定” が消えていたことに非常に驚いたそうです。そして、自分が癒されたことで、互いに “鏡” の関係性である夫も同時に癒されていきました。離婚か死か — 悩み苦しんだ日々がまるで嘘のように、夫婦関係が変容してしまったのです。

ある日、Nさんは全国的に有名な結婚情報誌に自分たちの結婚写真が掲載されていることを友人から知らされます。2年前の結婚式でカメラマンが撮った二人の写真が “結婚特集” で使われていたのです。

写真がハート型にかたどられ、写真のうしろには “鏡” に自分の姿を映す女の子の姿がデザインされていました。まるで “本当の夫婦” として歩みだした現在の自分たちを知っているかのように、写真の中の二人は本当に幸せそうに笑っていました。

「自分のことは自分では絶対にわからないようになっている」

このことを理解したとき、目の前の空間は自分を知るための “暗号の宝庫” に変わるのです。

(シリーズ終わり)

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