嫉妬は、恋愛に限らずこの競争社会の中で、我々がよく感じている感情ですが、不快感やそのマイナス的なイメージから、できれば避けたい感情のひとつではないでしょうか。しかし、嫉妬のマイナス面だけを見て拒絶することで、実はもう片側にある大切なものまでも遠ざけてしまうのです。
今回ご紹介する実証例は、嫉妬は“災いの元”だと嫌っていたある女性（Sさん 30代 福岡県）が、ミロスシステムにより、自分の中に封印していた嫉妬心を解放したことで、愛を拒絶していた人生を終わらせた体験です。
『嫉妬は災いの元…その偏見が愛を拒絶する人生をつくり出していた』
“嫉妬”の感情を嫌ってきた
嫉妬があるから人は争い、破滅し、悲しみが生まれる…。幼い頃から見てきた、大人たちの醜く悲しいドラマを通して、“嫉妬”という感情を嫌い、自分は嫉妬などしないと思っていたSさん。
しかし、ミロスシステムに出合い、自分の感情をキーにして人生を紐解き、無意識の縛りから解放されていく中で、これほどまで“嫉妬”にまつわる様々な事象を見てきた自分に、嫉妬がないはずはない、むしろ、強烈な嫉妬心を持っているからこそ感じないように封印しているのではないだろうか。
もしかしたら嫉妬は、まだ見ぬ自分を知る大きな鍵になるかもしれないと思い、Sさんは嫉妬をテーマに自分の中にあるパンドラの箱を開けていきました。
幼い頃の体験
「私は嫉妬なんてしない…」そう思っていましたが、人生を振り返り俯瞰すると、強烈な嫉妬体験をしていたのです。それは、幼かった頃、両親が別居中の出来事でした。
Sさんの母には、とても親切で優しく、ハンサムなボーイフレンドがいました。その男性がよく家に出入りするようになり、最初はSさんも彼のことが好きでしたが、母の見たこともない笑顔や、二人の楽しそうな様子、自分が入る余地のない空気感に、次第に居心地が悪くなり、彼に拒絶感を抱くようになりました。
あげくは一緒に居ることも、顔を見るのも嫌になり、彼が家に来ると部屋に閉じこもるようになってしまったのです。娘のそんな様子に再婚をあきらめたことを、後に母から知らされました。
強烈な独占欲
Sさんの心には、母にも、その男性にも悪いことをしてしまったという、後味の悪い想いだけがしこりのように残っていました。しかし、当時の自分の気持ちを思い出してみた時、はじめて嫉妬以外の何者でもないことがわかったのです。
「私のママなのに！ 私がママを幸せにするのに！」
“母は私のものだ”という強烈な独占欲と、その母を奪われるかもしれない恐怖や悲しみ、男性に対する怒りが、心の叫びに現れていました。それが“嫉妬”だとわからずにいたのは、嫉妬が他のいろんな感情と複合して噴き出していたからでした。
嫉妬するほど母を愛していた
自分が強烈に嫉妬していたという事実は、彼女にとって大きな衝撃でしたが、やはりマイナス的な要素ばかりでした。しかし、この出来事をミロスシステムにあてはめると、“思いもしないもの”が見えてきたのです。
今まで“嫉妬は悪いもの”“災いの元”だと拒絶していましたが、母に近づく男性に嫉妬し、拒絶するほど“母のことを愛していた自分”を感じた時、体の奥から熱いものがあふれ出しました。Sさんは、自分にこれほどまでの“愛”があったことに感動し、涙したそうです。
男性に対するイメージが払しょくされた
そして、このあと男性に対する嫌なイメージも払しょくされていきました。昔、母や祖母から聞いたことのある祖父の存在が、彼女の男性に対する抵抗感を生んでいました。事業で成功し莫大な富を得た祖父は、地元でも実力派として知られた人物でした。
当時、売れっ子芸者だった祖母を愛人にして、Sさんの母が生まれました。祖父は亡くなるまで祖母にお金を与え、娘である母を養育し、大学まで行かせてくれたそうです。
本当なら感謝されるべき存在の祖父ですが、祖母や母の話から見えてくるのは、女好きで、気性が激しく、お金が大好き。権力で女性を独占し、支配する嫌な男性像でした。
しかし、それも祖父に抵抗感を抱いていた女性側から見た一面であり、全体を見渡せる視点から見た時、祖母と母を愛し守ろうとした祖父の大きな愛を感じられたのです。
嫉妬は災いの元という偏見が、愛に対する恐怖を生み出し、愛することも、愛されることも拒絶する人生を生きてきましたが、パンドラの箱を開けてみたら、力強い愛がよみがえり、“愛する力”を取り戻し、さらには、男性の大きな愛も感じ取ることができました。
パートナーとの関係性が変わった
そして、Sさんの変化はパートナーをも変えてしまったのです。彼女から嫉妬や男性への偏見がなくなると、彼からも女性に対する不信感がなくなっていました。
これまでどこか距離感のある二人でしたが、今では、一緒に過ごしたり、話す時間を積極的につくるようになり、とてもいい関係性を築いているようです
（終わり）
