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人間の真の解放(1) 人間が本当に解放されるべきものは何か(シリーズ後半)

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.137


Introduction

先週より「解放」をテーマにお届けしています。今週は、「人間が本当に解放されるべきものは何か」の後半です。

理想の世界を求め、良かれと思うものに一生懸命取り組んできたSさん。しかし、人生はどんどん狂っていきました。

後半は、ミロスシステムに出会い、なぜそんな人生をつくり出しているのか、その真相を知り、本当の解放を体感したSさんの体験に基づき、人間が縛られているものは何かをお伝えします。

『新次元の思考システムがもたらす、人間の真の解放(1) 人間が本当に解放されるべきものは何か(シリーズ後半)』

理想の世界を求めた先には…

Sさんが48歳の時、全財産を投じてある思想団体に夫婦で参画しました。しかし、ここでも彼女の期待は裏切られることになります。自由や愛、清く美しい世界に近づくどころか、何もかもが不自由になっていったのです。

そして、1年後、大きな悲劇に見舞われます。Sさんたちより1年先に団体の施設で暮らしていた長女が、“鬱”の精神状態に苦しみ、自ら命を絶ったのです。

「なぜ、娘は死ななくてはならなかったのか?」

自分たちがここへ来るまでの娘の様子も教えてもらえず、死を選ぶまでに何を考え、どんな気持ちで過ごしていたのか、本当の事はわかりませんでした。

家も財産もなく…

団体に対して不信感を抱いても、あまりにも心のダメージは大きく、ここから抜け出すという発想も起きませんでした。

実際、家も財産もなく、帰るところもありません。親戚たちにも大見栄を切ってここへやってきた手前、頼ることもできませんでした。

約3年間、毎晩のように泣き明かしたと言うSさんは、ある時、このまま泣いていても仕方がないと気持ちを切り替え、ここで精一杯生きることにしたのです。

団体からの脱退

娘の死から9年経った頃、年老いた夫の父の世話や、残してきた娘たちの将来のことを考え、住居や収入面の見通しがついたこともあり、団体から脱退しました。

しかし、この世界の“繰り返しの仕組み”を知らなければ、軌道修正したつもりでも考え方や生き方は変わりません。Sさんは、また新しい思想に引っ張られていったのです。

強烈なプラス思考へ

それは、ネガティブな考えが入る隙間もないほど強烈なプラス思考でした。今でこそ、プラス思考に傾くと、それを押し出しているマイナス思考も同時に増幅するという“トリック”を知っていますが、当時のSさんは、その思想に希望を感じたのです。

「これならば…」と夫婦で一生懸命学び、夫は教える立場にまでなり、そこで収入を得られるようにもなりました。しかし、極めれば極めるほど、矛盾を感じ出したのです。

プラス思考で隠していたもの

極端なプラス思考で良いところだけを伸ばそうとしてきた結果、背後で増幅していたマイナス思考が表に現れてきました。

ふとした時に湧いてくるネガティブな感情を処理できなくなり、自分のダメなところを見つけると、強烈に自分を責め、それをプラス思考で覆い隠そうとすればするほど暴れ出すマイナス思考に対処できなくなってしまったのです。

またここでも行き止まりを感じて脱退します。

ミロスシステムとの出合い

長女の死からすでに20年が経っていました。この世に答えはあるのだろうか…失意に陥りながらも諦めきれない気持ちが、遂にSさんをミロスシステムに繋げたのです。

驚いたのは、今まで学んできたもの、良かれと思ってきたもの、自分の中のルールが、実はこの世界ではまったく通用しないということでした。

そして、すべてが自分を知るための事象であり、その“見方”を理解していくことで、あらゆるものから解放されていったのです。

娘の死が映していたのは

娘の死が映していたものは、自分を生きていなかったSさんの姿でした。子供の頃、両親に愛されたいあまりに親の顔色をうかがい、親の意向に合わせて“良い子”を演じているうちに主体性を失い、無意識に他人の反応や評価を気にして生きていたのです。

親と子の関係性のトリック

自分を押し殺してきた自分と、自ら命を絶った娘が等しく重なって見えた時、Sさんはトリックの中から抜け出すことができました。

そして、私の著書「ママとパパをえらんできたよ~親と子の関係性のトリック~/三交社」を読んだ時、これまでの人生がいい意味で根底からひっくり返されたのです。

自ら設計してきた人生

生まれる前に自分で人生設計をし、その人生に最も相応しい環境を与えてくれる父と母を選んで生まれてくること。そして、自らが決めた超えるべき人生のテーマを様々な事象で体験していることを知りました。

常につきまとっていた罪悪感や欠乏感、そして、怒りは、自分の超えるべき人生のテーマであり、超えたところに本当の自由や愛を体験する人生が待っていたのです。

すべての始まりは自分

すべての始まりは自分であり、すべて自分で用意したシチュエーションであることがわかると、あの父と母のせいで…という人生は幻想のごとく消え去り、過去はまったく変わってしまいました。

子供時代に見ていた愛のない家庭も、彼女のテーマがつくり出した世界であり、まったく見えていない世界が、もう片側にあったのです。

17歳の時、父が亡くなっても家族は路頭に迷うこともなく、何不自由なく暮らすことができました。それも、父が従業員や兄たちに技術を教え込んでいたことで、すぐに事業を再開することができたからでした。父は家族を愛し、しっかり守ってくれていたのです。

「娘に会いたい!」

結局、仕組みを知らないがためにトリックに取り込まれ、自分で決めたテーマに翻弄されていたのです。自分が何に縛られていたのかを知り、どんどん解放されていく中で、Sさんは、これまで言葉にできなかった想いを言うことができました。

「娘に会いたい!」

初めて声に出して聴いた自分の想い…。Sさんはしっかりと受け留めました。

娘は私の中で生きている!

すると翌朝、不思議なことが起きたのです。朝目覚めると、自分の中に娘の声が聞こえてきました。

「ママもう大丈夫だよ、私はいつもママと一緒にいるからね。ママは自分のやりたいことをして楽しんで」

娘は私の中で生きている!Sさんは自分の中で娘と再会できたのです。娘の存在をしっかりと感じた彼女は、この日から罪悪感も消え、“会いたい”という切ない想いも消えてしまったそうです。

これまで、長女の“死”だけにフォーカスし、罪悪感と欠乏感に苦しんできましたが、もう片側にある、生まれてきてくれたことへの感謝や、娘が与えてくれた愛、そして、26年間の母と娘のかけがえのない時間があったことに気づいたのです。

本当の“理想の世界”

そして、娘の誕生に感謝が湧くと、自分の誕生にも感謝があふれ出し、あの父と母がいたからこそ体験できた人生のすべてが輝き出しました。

「人生のすべてに乾杯!」そう言って笑うSさんは、今、生まれる前から求めていた“理想の世界”に生き、自らが決めた本当の人生を体現しています。

本当の人生を体現する

いかがでしたでしょうか。これまで人間は何も知らずに人生に翻弄されてきましたが、実は自らが決めた超えるべき人生のテーマに振り回されていたのです。

この世のトリックを見破り、自分のテーマを超え、人間存在の根源から解放され、本当の人生を体現する。これこそ究極の理想の人生ではないでしょうか。

(終わり)

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