一般的に、女性よりも男性の方が過去を引きずる傾向があると言われていますが、その理由のひとつに、感情を表に出す機会が少ないことがあります。男性は、弱音を吐くことにも抵抗感を持ちやすく、感情をしまい込むことで、立ち直りが遅くなってしまうのではないでしょうか。
しかし、どんなに重たい過去でもミロスシステムで紐解くことで、その記憶が物事の“側面だけを見てつくられている”ことに驚かれるでしょう。
これからご紹介する実証例は、長い間封印していた重たい過去をミロスシステムで紐解き、結果的にすべてが自分の思い通りに動いていたことを知り、人生そのものが問題のないものに変わってしまったある男性(Kさん60代 高知県)の体験です。
いま過去を引きずっているという方に、ぜひ頭の片隅に置いておいて、役立てていただければ幸いです。
『過去を引きずっているという方へ』
辛い子ども時代を過した母
年老いた母と暮らしはじめてから、Kさんは何度となく母から同じ話を聞かされていました。それは、母にとって人生で最も悲しい出来事であり、当時を振り返っては、あの時の可哀想な自分を語るのです。
母が小学3年生の時でした。ある日、祖父母と親戚の家に遊びに行った帰りに、突然「今日からお前はこの家の子になるんだよ」と言われました。自分のことをとても可愛がってくれていた大好きな祖父母だけに、母のショックは大きく、その後、親戚の子どもになった母は、常に周りに気を使い、本音を隠して生きていたそうです。
まだ幼かった母が相当つらい思いをしたことは感じられても、Kさんにしてみれば、それはあくまで“母の体験”でしかありませんでした。しかし、Kさんにも心にしまい込んだ辛い過去があり、その出来事をミロスシステムで紐解くと、驚くことに母と同じような体験をしていることがわかりました。
18年前の元妻の裏切り
今から18年前、Kさんは17年間寄り添った妻と離婚しました。ある日突然、妻から「好きな人がいる」「もう肉体関係もある」と告白されたのです。
Kさんには、まさに寝耳に水でした。そういう事を妻は一番嫌っていたからです。信じがたい事実に、頭の中が真っ白になってしまいました。
母の体験の追体験だった
“思いもしない相手から突然、裏切られる―”
シチュエーションは違っても、母の体験をKさんは追体験していたのです。のちに、親が人生体験の中で、何を感じ、どう捉え、どんな決断をしたか―その思考を子どもが引き継ぐという仕組みを知り、Kさんは、母の生き方が確実に自分に引き継がれていることを実感しました。
そして、さらに離婚に至った経緯や当時の自分の生き方を思い出し、紐解いていくなかで、驚愕の事実が見えてきました。
ある組織の思想に共鳴するものの・・・
20歳の頃、Kさんは“世界の食糧難を何とかしたい”という想いで農業を学んでいました。
そんな中で、「世界中、だれ一人不幸な人間のいない社会づくり」を目指すある思想に出会い、深く共鳴した彼は、親の反対を押し切り、学校を中退し、その思想を掲げる組織に飛び込んだのです。彼の元妻は、そこで生まれ育った女性でした。
まだ組織が小さかった頃は、これから新しい社会を造っていく喜びにあふれ、意気揚々と活動していました。
しかし、人が増え組織が大きくなるにつれて、Kさんはいろんなことに抵抗感を持つようになりました。
夫婦の形にしても目指すものがありながら、そこにたどり着ける実感がありませんでした。心のどこかで「ここに居続けることはできない…」と感じていたとき、妻から離婚話を切り出されたのです。
“新次元の視点”から紐解くと
妻のショッキングな告白に彼のプライドは傷つき、離婚後はその出来事を胸の奥にしまい込んで生きていました。しかし、ミロスシステムに出合い、“関係性の仕組み”や“からくり”を知り、知らなかったがゆえに生み出した苦しみをリセットしていくなか、人生で最も辛かったこの出来事を紐解く機会がめぐってきたのです。
自分と元妻の“関係性”を“新次元の視点”から紐解いた時、彼女を通して見ていたものが、自分の隠した想いだったことがわかってきました。
『組織から飛び出したい、夫婦関係も解消したい。彼女に嫌われたい…』
そんな無意識の声を、妻の「他に好きな人がいるから離婚してほしい」という言葉を通して聴いていたことに気付いたのです。
過去の体験がリセットされた
妻に裏切られたとばかり思い込んでいましたが、結婚生活からも組織からも離れたいという彼の無意識は、普段の振る舞いに現れていたのではないでしょうか。そして、理想を追い求め、外の世界にばかり意識が向き、Kさんの一番のコアである妻や、自分自身のことさえも見ていなかったのでしょう。
こうして関係性を紐解くことで、夫婦はともに離婚へと向かっていたことがわかりました。物事の側面だけを見てつくり上げた過去の出来事も、元妻への思い込みもリセットされたのです。
本当に求めた世界へ
若い頃から高い志を持ち、その先で元妻に出合い一緒に歩んでいくつもりでした。しかし、「これだ!」と思った思想にも、妻にも裏切られ、その後もいろんなものに首を突っ込むも自分の求めるものには出会えず、あきらめかけた時にKさんはミロスという新次元の思考テクノロジーに出合いました。
今こうして物事の全体を観る視点を獲得し、結果的に、苦い体験も含めてすべてが自分の思い通りに動いていたことを知り、人生に何の問題もなく、本当は誰とも闘う必要がないこともわかり、Kさんは完全に過去から解放されました。
そして、未来に本当に求めた世界を造っていけることを確信したのです
(終わり)