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理想の落とし穴

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.147


Introduction

“夢”や“理想”は生きる原動力や、人生の指針にもなるものですが、その未来のイメージをつくり上げているものが何なのか、それ次第では、人間の生きている“三次元の絶対法則”によって、後から手痛いしっぺ返しを食らうことになってしまいます。

今回ご紹介する実証例は、子供の頃から夢見た結婚生活を実現させたある女性(Tさん)の突然の転落劇と、ミロスシステムに出会い、悲劇のどん底から復活した体験です。

彼女はなぜ思わぬ不幸に見舞われたのでしょうか。そして、どうやってそこから抜け出し人生を再生することができたのでしょうか。

『理想の落とし穴』

幸せな結婚のはずが

素敵な夫がいて、自身が経営する美容院も順調。

月に一度は友人たちをよんでホームパーティを開くなど、Tさんは、誰が見ても羨むような結婚生活を送っていました。それは、彼女が子供の頃から思い描いていた幸せな結婚でした。

夢は実現し、家事も仕事もパーフェクトにこなす素敵な奥さんにもなれました。Tさんは最高の幸せを手に入れたはずでしたが、彼女の心の中には、どうしても埋まらない隙間があったのです。

結婚生活に陰りが見え始めた

やがて、順調にいくように思えた結婚生活にも陰りが見え始めました。仕事をしながら家事も頑張り、結婚生活の質を落とさないように努力を惜しまない彼女に対して、夫は、家庭ではなく、どこか違う方向を向いているように見えました。

毎日美味しい料理を作っても、彼女が期待するような反応はなく、頑張れば頑張るほど、どんどん夫の関心は家庭から遠のいていくのでした。

崩れていく理想

そして、突然、夫が薬剤師という仕事を辞めました。「昔からの“夢”だった」と言って、彼女の反対を押し切り、家の一角で飲食店を経営し始めたのです。

お互い夢は叶いましたが、夫婦はまったく違う方向を向いていました。彼女の心の中の隙間はどんどん広がり、ここから一気に理想の結婚は崩れていったのです。

突然の夫の自殺

夫が始めた飲食店は、3年目には経営困難な状態になりました。Tさんは“私の思った通りだ”と思いましたが、言いたい事を我慢して口を出さずにいました。

そんな中、ある日突然、大きな悲劇に見舞われたのです。

夫の自殺…。それはまったく予期しない不幸でした。何が起きたのか訳がわからない状態から、悲しみを通り越して、今度は怒りが湧いてきました。

真面目に一生懸命やってきたのに、どうしてこんな目に遭わなくてはいけないのだろう…。

神は乗り越えられない試練は与えないというけれど、そんなのは出鱈目だ。私の何が悪いのか、不公平過ぎやしないかと、天をも恨みました。そして、夫を死に追いやったのは自分かもしれないと、自分を責めました。

身も心も崩壊寸前に

しかし、そんな状態でも周りの人たちに弱い自分を見せまいと取り繕う彼女は、さらに自分を暗闇へと追い込んでいったのです。

“もうどうなってもいい”と思いながら、日中は仕事に逃げていました。けれども、一人になった時、言いようのない不安と恐怖に襲われ、身も心も崩壊寸前まできていたのです。

システムとの出合い

夫の死から2カ月が経った頃、友人に誘われなんとなく行ったセミナーでミロスシステムを知ったTさんは、どこかでずっと探していた“何か”を感じ、その日からシステムを貪欲に求め出しました。

そして、自分の中にあった埋まらない隙間が何なのか、なぜこんな不幸な目に遭ったのか、今まで分からなかったことが全部明らかになっていったのです。

不幸になった本当の原因

本当の原因は、子供時代に遡り人生を紐解くことで見えてきました。

彼女が物心ついた頃から、家庭の中は揉め事が絶えませんでした。両親の喧嘩や嫁姑問題、その上、母はいつも舅や姑、父にまで虐げられていました。

さらに、父から生活費ももらえず、自分のわずかなパート収入から食費を捻出し、苦労する母の姿しか見たことがありませんでした。

一方の父は、外面がいい反面、家庭を顧みず、毎日のように飲んだくれて家に帰って来るような人でした。

Tさんは、そんな父のことが嫌でたまらなく、世間の目にもさらしたくないほど恥ずかしく思っていました。子供心に、こんな人とは絶対に結婚しないと誓っていました。

欠乏感から生まれた理想

また、二つ上の兄がやんちゃだったことから、母の関心はいつも兄に向けられ、彼女は甘えることもできず、必死に我慢していたそうです。

そんな家庭環境の中で、自分の居場所もなく、親の愛情も感じられなかった彼女は、心の奥底に何をしても埋まらない欠乏感を持ってしまったのです。

つまり、Tさんが子供の頃から夢見ていた理想の結婚は、無意識に持っている強烈な欠乏感や不足感から生まれたものだったのです。

“無意識”が反転した現象

そんな夢や理想に向かって頑張っても、本来、この世界では叶わないようになっています。

なぜなら、三次元では“無意識”が最も力を持っており、いくら努力しても、“無意識の欠乏感”が現実の世界に“反転”し、うまくいかない現象となって表れるからです。

ところが、Tさんは夢が叶ってしまいました。しかし、この世界の法則が変わることはありません。

叶った人は、その分失うものも大きく、時に予期しない悲劇に見舞われてしまいます。幸せな結婚を実現した彼女は、まさに“三次元の絶対法則”によって手痛いしっぺ返しを食らってしまったのです。

彼女がつかんだ絶対の“答え”

初めて自分の人生の全体像を観たTさんは、自分の中にくすぶっていた疑問や矛盾が消えていきました。

そして、何でも完璧にこなさなければ愛してもらえない、認めてもらえないと思っていたのは“この自分”であり、いつも勝手に自分を否定し卑下していたのも“この自分”であり、その自分がつくり上げた家庭環境だったことを理解した時、彼女の中で、すべてのわだかまりが溶けていきました。

本当の原因と問題は、この世界の仕組みや、人間の思考体系を知らなかったがために、三次元の絶対法則の罠にかかってしまったことにありました。

そして、その事を理解した時、その理解が彼女にとって絶対の“答え”になったのです。

欠乏感を超えた本当の理想の世界に

人生をリセットし、新しい一歩を踏み出したTさんは、すべてが輝いて見えるほど人生が変わってしまったそうです。

自分だけでなく、周りの人たちも輝き出す世界…。

欠乏感を超えたところにある本当に求めた理想の世界を日々楽しんでおられます。

(終わり)

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