病気の母と向き合うことができず、介護を避けていたMさんは、突然の母の死によって “罪悪感の十字架” を背負って生きるようになりました。
微塵の愛もない冷酷な自分を責める一方で、それを打ち消すために “愛だと思うもの” を探し求めました。しかし、そんな欠乏感を通して出会ったのは、彼女の罪悪感を上塗りするものばかりでした。
後半の今回では、彼女がついに限界を感じ、ミロスプログラムに出会います。考えられないことばかりが起こり続けた人生のなかに “答え” を見いだしたMさんは、最も自分には縁がないと思っていた “結婚” と “幸せ” にたどり着きます。
『幸せをあきらめたすべての女性へ』(後半)
不倫関係を終わらせた
欠乏感と罪悪感に翻弄されながら安息地を求めていたMさんは、あるきっかけで出会った男性と恋に落ちました。母の死によって “愛のない自分” を責めていた彼女にとって、たとえそれが家庭をもつ人であっても、彼の存在が “救い” であることに違いはありませんでした。それが不倫でも “愛を感じることのできた自分” に執着し、彼との関係性を断ち切ることはできなかったのです。しかし、そんな自分に身勝手さを感じていた彼女の心の中では、常に “愛” と “罪” が闘っていました。
そして、モラルに欠けた自分を攻撃し、罪悪感から逃れることができなかった彼女はとうとう疲れ果て、彼との関係性を終わらせることを決意しました。
別れた彼が薬物犯罪で逮捕
ところが、またもや信じられない出来事が起こります。なにげなくテレビをつけた瞬間、彼女の目に飛び込んできたのは、彼が薬物犯罪を犯して逮捕されたというニュースでした。
「私が彼を傷つけて、犯罪を犯すまで追い詰めていたのだろうか…」
本当は、彼が起こした事件と彼女との間に関連はありませんでした。彼は子供時代から家族関係などで深く傷ついており、そんな世界から逃れるために、彼女と出会う以前から薬物依存に陥っていたのです。
欠乏感から罪を犯していた
周囲で何が起こってもその原因が自分にあると考える傾向にあった彼女は、再び自分を責めるようになりました。真実がどうであれ、Mさんは彼が自分と同じように家庭環境に苦しみ、同じ欠乏感から罪を犯したことを知りました。
「結局、彼も自分も、何かにすがらなければ生きていけない “依存者“ なのだ」
それが分かったとき、彼が犯した罪は許されないことであっても、彼自身を罰することはできないと思ったそうです。この出来事を通して、彼女は何事も単純に「これは良い」「あれは悪い」とジャッジすることができないことを体感しました。
次の恋愛でも
人生のネガティブな面をすべて体験し、もう何があってもぶれることはないだろう…そう信じて前に進みだしたMさんは、ようやく平穏に暮らせそうな男性と出会い、結婚を約束するまでになりました。ところが…土壇場になって彼にそこまでの意思がないことがわかり、別れることになります。
「いったい私にどうしろというの!」
ようやく落ち着けると思ったその矢先、幸せをごっそり持ち去られた彼女は完全にお手上げ状態になりました。
結婚に秘密がある…?
そんなある日、彼女はあるブログの記事に興味を引かれました。それまでMさんは人生に “答え” を求めつづけ、さまざまな情報を自分の人生に取り入れていましたが、残念なことに、いつもそれが彼女の求めていた “答え” ではないことを知るだけに終わっていました。しかし、そのブログに書かれていることは、過去に彼女が触れてきたものとは全く違ったのです。“結婚に秘密がある”何でもこなしてきたにも関わらず、唯一実現できないものが “結婚” だった彼女にとって、この言葉は強烈なメッセージとなって深く心に焼きつきました。そして、彼女は隠された秘密をどうしても知りたくなり、本格的に学びはじめました。それが彼女のミロスプログラムとの出会いだったのです。
悲劇の原因を知る
高次元から観た “この世のシステム” はすべてが初めての内容でした。カウンセリングではこれまでにない “奥行き” のある空間を体験し、母のこともすべて話すことができました。そのとき、涙と一緒に今まで抑圧されてきた感情がどっと流れ出ていき ─ 自分の背負ってきたものが、ほとんど終わってしまったことに彼女も驚いたそうです。システムの理解とともに、自分のおかしなところや矛盾、生き方のパターンを知り、人生で悲劇が繰り返されてきた本当の原因を知りました。
強烈な罪悪感からの解放
なかでも彼女が最も衝撃を受けたのは、次のような言葉でした。
「あなたの強烈な罪悪感は、それと同じ分だけの “愛” があなたの中にあるから…」
まったく別のものだと思っていた二つのものが、常に同時に存在していたのです。それを知ったとき、彼女の中で闘っていた “罪” と “愛” という対極のエネルギーが衝突し、両方が消え去った感覚を得たそうです。今まで自分を責めてきたもの、頑張るように仕向けてきたものがすべてなくなり、善も悪も超えた “ありのままの自分” を感じることができました。
目の前に一人の男性が
そして、ついに彼女に “本当の幸せ” が訪れたのです。自分を完全に許せた彼女の目の前に一人の男性が現れ、二人は自然と引き合っていきました。そして、最高のタイミングで彼からこう言われたのです。
「お互い今までよく頑張ってきたね。もう幸せになっていいよね」
それは母の命日でした。その後はすべてがスムーズに運び、二人は結婚にいたりました。
幸せになることに遠慮はいらない
パートナーとともに “愛のスペース” を手に入れたMさんはこう語ってくれました。
「こんな世界があるとは思いませんでした。夫婦で会話をするだけで豊かさを感じられる毎日が楽しいです。幸せをあきらめることなどない ─ この真実を多くの女性たちに伝えたいです」
何かにとらわれ、自分が幸せになることに遠慮している女性が世の中にあふれています。しかし、人間は幸せになるために生まれています。それを受け取らないことこそ、人間の最大の罪(エゴ)ではないでしょうか。
幸せをあきらめた人も、あきらめられない人も、少しの勇気をもって、まったく新しいシステム(世界)に飛び込んでいただきたいと思います。
(シリーズ終わり)