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結婚 — 男と女の関係には、うまくいかないトリックがある 【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.20


Introduction

前回は日本人の結婚観がここ30年ほどの間に急激に変わってしまったこと、離婚して再婚してもまた同じ不満を言い、同じような関係性に陥るカップルが多いことをお話しました。

本人にしてみれば、前回の失敗を教訓にして「今度こそ幸せになれる」と感じた人を選んでいるのですが、実は男と女の関係性にはトリックがあり、そこにはまり込んでいる限り同じことを繰り返してしまうのです。

前半では、全く違うタイプの人と再婚して人生の再スタートを切った男性が、結局、同じ結果になってしまったという事例を取り上げました。後半は、引き続きその事例を通して、男と女がどんなトリックにはまっているのかに迫っていきます。

『結婚 — 男と女の関係には、うまくいかないトリックがある』

繰り返す悲劇

「今度こそ幸せになろう…」そう誓い合った日の記憶も泡のように消え、目の前には、前回の離婚の悲劇が再現されたかのような状況が広がっていました。

妻へのDVが原因で離婚したAさんは、心の傷が癒えた頃に全く真逆のタイプの女性と出会いました。そして、互いに離婚経験者ということもあり共有できることが多く、「この人とならやっていける」と思って再婚しました。

ところが結婚生活に入ると、今まで黙って自分の話を聞いてくれていた彼女が自分を主張してくるようになったのです。普段は大人しいのですが、会話をしているときに彼女の中で受け入れられないものがあると、頑として譲らず、「私の方が正しくて、あなたは間違っている」と言わんばかりに正論を押し付けてくるのです。

ある日、些細なことで妻から意見されたとき、Aさんは自分のことを全否定されたように感じ、怒りが噴き出しました。そして「妻を言い伏せたい」「その正論ごと妻をぶっつぶしたい」と、いつになく感情が高ぶっていきました。

なぜ最愛のひとを嫌いになってしまうのか

一方、妻のほうは黙り込み、こちらを睨みつけるばかり。その沈黙の壁は厚く、何を言っても破れない。一切自分を認めてもらえない屈辱的なものを感じたAさんは、とうとう激昂して手を出してしまったのです。もう二度と同じ過ちを繰り返したくないと、慎重に相手を見極めて再婚しただけにショックは大きく、Aさんは前に進めなくなってしまいました。

出会った頃はあんなに好きだったのに、結婚すると嫌なところばかりが目につきだす…これは、ほとんどのカップルが体験することですが、なぜ男も女も “同じ人” を好きになったり嫌いになったりするのでしょうか。

相手が原因か

例えば、「男気があって頼もしい」から好きになった人を「あんな自信家で支配的な人とは一緒にいられない」という理由で嫌いになる。「優しくて何でも受け取ってくれる」から好きになった人を「優柔不断でイライラする」と嫌うようになる。「芯が強い」から惹かれたのに「頑固で可愛げのない女」だと嫌いになる。

要するに、相手の好きになったところを嫌いになっているわけで、従来の愛は “いつ憎しみに変わるかも知れない不安定な恋” でしかなかったのです。そして、自分が好きになるのも嫌いになるのも “相手が原因” であり、離婚の原因も全部相手のせい。その認識が「相手を変えれば大丈夫だ」という考えをつくっているのです。

子供時代の親子関係がつくった傷

Aさんが再婚相手と出会った頃、彼女は理想的な女性でした。しかし、結婚した途端、彼は前妻のときと全く同じ抵抗感を彼女に感じて苦しむようになったのです。相手の好きになったところが嫌いになることはあっても、相手が変わったときにもなお、“同じ抵抗感” を感じるのはなぜでしょうか。

みなさんも過去の異性関係を思い返してみたとき、タイプは違っても相手に感じた抵抗感はどれも共通していたのではないでしょうか。実はこの抵抗感を抱いた時の感情が、男と女の関係性のトリックから脱け出す “鍵” になるのです。

Aさんが再婚者に強烈に感じることは、“批判的“ ”自分を認めてくれない” “バカにしている” ということ。それは、前妻に感じていたものと全く同じものでした。Aさんのように批判されることに非常に敏感な人は、強烈なコンプレックスを持っており、ほとんどは子供時代の親子関係でつくられています。

同じ傷を持ったもの同士

親に強烈に自尊心を踏みにじられた体験で感じた辛い感情や心の傷…それを感じられないように無意識の奥に抑圧しているため、自分でも自覚の無いままコンプレックスをバネにした“理想” の自分を演じているのです。

そうすると、相手を変えても、必ずその相手が自分の中にある無自覚の傷に触れるような行動をとってきます。なぜなら、男と女は “同質の感情面(心の傷)” を持つ者同士が引き合い、出会い、その相手との “関係性” が “鏡” となって自分の感情面を映し出しているからです。

これがこの世のシステムなのですが、そのことを知らずにいることで、男も女も “関係性のトリック” から脱け出せずにいます。つまり、Aさんと引き合う女性も同じ感情面を持っているため、自分を否定されることに敏感で、相手の行為が自尊心の傷に触れることで相手に拒絶反応を起こすのです。

「愛して欲しい」と叫んでいるだけ

結局、Aさんも再婚者も子供時代に強烈なコンプレックスを持ち、それをバネに生きてきた。そして、自分を認めることができないという同質の感情面を持つ者同士が出会い、片方は「俺を認めてくれ!」と叫び、認めてくれない相手を攻撃する。もう片方は、沈黙という形で「自分を認めて欲しい」と訴える。喧嘩のきっかけが何であろうと、それは二人の感情面がつくりだした現象なのです。

しかし、トリックを知り、同じ傷を持つ二人が互いに「認めて欲しい」「愛して欲しい」と叫んでいるだけなのだと理解したら、相手の見方も変わり、関係性はひとりでに変わっていくのではないでしょうか。

今回お話したことは、関係性のトリックのほんの一部にすぎませんが、もしも今、「別れる・別れない」で悩んでおられるとしたら、どちらかを選択する前に “男と女の関係性のトリック” をぜひ知っていただきたいと思います。トリックを理解し、関係性のトリックから脱け出したとき、初めて自分の中に最善の答えを見つけることができるでしょう。

(シリーズ終わり)

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