人には、自分ではどうすることもできない宿命や運命というものがあります。しかし、それさえも、実は人間の知らない “仕組み” によってつくられているとしたら―。
今回、実証例でご紹介するSさん(女性)は、生まれたときから波乱の人生でした。
しかし、ミロスシステムに出会い、想像もつかないトリックに自分が取り込まれていたことを知ると、まるで新しく書き換えられたように人生そのものが変わってしまったのです。
『誤った情報を解除し、人生を再生させる』【前半】
過酷な生い立ち
Sさんの壮絶な人生は、生後まもない頃から始まりました。父方の祖父がSさんの両親と同居していたのですが、その祖父が、こともあろうに彼女の母の貞操を奪ったのです。
それが原因で、両親は離婚。母は、泣く泣く生まれたばかりのSさんを置いて家を出ました。
その日から、Sさんをしっかりと世話してくれる人がいなくなりました。当時高校生だった叔母(Sさんの父の妹)が少し面倒を見てくれたそうですが、決して行き届いたものとは言えませんでした。
養母となる女性
ちょうど同じ頃、遠く離れた土地で、ある女性(A子さん)が子宮の全摘手術を受けていました。それは、のちにSさんの養母となる人でした。
子どもが欲しくても産めなくなった彼女は、ある日、術後の湯治に出かけた先で、Sさんのことを耳にしたのです。
生みの母と生き別れ、男だけの家庭で十分な世話を受けられずにいる赤ちゃんがいる ─それを知ったA子さんは、いてもたってもいられず、直ぐにSさん会いに行きました。
養女になっても
A子さん夫婦が初めて見たSさんは涙と汗で顔の皮膚がただれ、かわいい赤ちゃんとはとても言えない状態でした。それでも彼らは一目でSさんのことを気に入り、彼女の父と祖父に養子縁組を申し出ました。
高額な費用など難しい条件をクリアして、やっとの思いでSさんを養女に迎え入れることができたのは、何か月も後のことでした。
それほどまで望まれて養女になったSさんは、その後、養父母から精一杯愛され、慈しまれて幸せに暮らした ─ と誰もが思うでしょう。しかし、養母のあまりにも厳し過ぎる躾に、彼女はここでも親の愛情を感じられない辛い子ども時代を過ごすことになったのです。
幼なじみとの恋
そんなSさんの唯一の心の拠り所は、幼なじみの男の子でした。彼は、Sさんが養女になった頃から家族ぐるみで親しくしている夫婦の子供で、誕生日が一日ちがいの同い年ということもあり、信頼できる友人でした。
やがて思春期になると、二人は自然に惹かれ合い、愛し合うようになります。そして、高校生のときに将来を誓い合い、二十歳を迎えたら結婚したいという意思を互いの両親に告げました。
当然、どちらの両親も祝福してくれるものと思っていました。しかし、まさかの猛反対を受け、連絡を取り合うことも難しくなってしまったのです。
お互いの気持ちを確かめ合うこともできないまま、焦りと不安ばかりが増長していきました。
辛い失恋
ある日、どうしても彼の気持ちを確かめたくなったSさんは、思い切って親の目を盗み、彼に会いに行きました。
ところが、彼女がそこで見たのは全く予想だにしないもの ─ 彼の部屋の窓越しに映る女性の影 ─ だったのです。
「捨てられたんだ…」
事実を確かめようともせず、「彼には他の女性がいる」と思い込んだSさんのショックは相当なもので、髪が抜け落ち、失語症になるほどでした。
こうして大切に育んできたはずの恋は、彼女の心に深い傷跡を残して終わりました。
そして、“養女として” 親孝行をするために、養父母がすすめる相手と結婚することを決心したのです。
運命の悪戯
結婚式が近づいたある日、運命の悪戯でしょうか…街中でばったりと別れた彼に出くわします。
Sさんは、いたってクールに言いました。
「私、もうすぐ結婚するの」
その言葉の裏には、自分を捨てた男への復讐心が隠れていました。自分の中から彼を切り捨てたSさんは、自分の目の前で泣き崩れる彼を冷ややかな目で見ているだけでした。
悲劇のパターン
Sさんの人生の節目に表れるキーワード…
「置いて行かれる」「拾てられる」「拾われる」「切り捨てる」
実はこれが彼女の人生のパターンであり、思考にインプットされた “誤った情報” がつくりだした悲劇だったのです。
後半は、この誤った情報を解除し、彼女の人生が再生していく様子をお伝えします。
(シリーズ後半へつづく)