人間不信で苦しい思いをしている現代人が増えています。きっかけとなる出来事の多くは、自分の好きな人に不当に傷つけられた経験です。
信じていた人に騙された、親友に影で悪く言われていた、恋人に二股をかけられた…など、信じていた分だけ、裏切られたときの怒りや悲しみは大きく、「もう誰も信じられない」「人は裏切るものだ」と強烈に “思い込んで” しまいます。
裏切られたことによって “自分を拒絶されること” に対する恐怖が生まれ、対人恐怖やひきこもり、鬱病などの精神疾患を引き起こすこともあります。
今回ご紹介する実証例は、親友に裏切られたことから人を信じられなくなったある女性(Hさん)が、ミロスシステムに出会い、人間不信になったメカニズムを理解し、自分との信頼関係を取り戻した体験です。
『“人間不信” に悩む人に知ってもらいたいこと』
裏切られた経験から…
中学生の時に親友に裏切られ、深く傷ついたHさんは、それ以来、人が信じられなくなり、常に相手の言葉や行動の裏を読むようになりました。
「人は裏切るもの」「騙されてはいけない」
猜疑心で人を見ている自分を隠し、明るく社交的に振る舞ってはいましたが、“裏切られる恐怖” から相手の言動に翻弄されるあまり、自分を失い、次第に心が病んでいきました。
次第に人間不信へ
10代にして人間関係に疲れ果て、大学生の時には重度の鬱病になり、学校へ通うことも困難な状態になったこともありました。
なんとか大学を卒業して地元に戻ると、鬱の症状は回復しましたが、人間不信は変わりませんでした。一時は、人間関係で自分の存在を消してしまいたいほど自己否定的な思考に苦しんだそうです。
“反転”のトリック
しかし、Hさんは一念発起して、今までの生き方、自分を変えようと本格的にミロスシステムを学びはじめます。
そこで彼女が知ったのは、「自分の内面の無意識が目の前に様々な現象となって現れる」という “反転” のトリックでした。人間不信の原因が親友の裏切りではなく、自分の中にあるということに彼女は衝撃を受けます。
さっそくHさんは、“自分が見ているもの” と “自分の内面” が等しいということがわかる “視点” で、外側の世界を通して自分を知っていきました。
なぜ、“不信感”を感じていたのか?
実は彼女の母も鬱を患っていました。Hさん自身も以前に鬱で苦しんだ経験があるため、「生きていても仕方がない」「早く死にたい」と言う母を見るのは耐え難いことでした。
しかし、自分の無意識が “反転” しているという “システム” で見たとき、感情に飲み込まれることなく、俯瞰することができたのです。
その時、彼女は、最も自分を裏切っていたのは、他でもない “この自分” であることに気づきます。無意識に自分の存在を否定し、その欠乏感を補おうとしてプラス思考に傾くことで、いっそう強く自分を否定していたこと。
そして、その抑圧したマイナス的なものが表に反転し、人間関係で “裏切り” の現象をつくりだし、相手に “不信感” を感じていたことがわかったのです。
トリックからの解放
つまり、彼女は自分の無意識に翻弄され、人間不信に陥っていたのです。
この世のシステムと、それを知らずにいたことで取り込まれていた “トリック”を理解したHさんは、自分との信頼関係を取り戻すことができました。
その時から、人間関係で感じていた不安や恐怖がなくなり、苦手意識から近づけなかった人とも全く抵抗なく会話できるようになったのです。
そして、Hさんの変化に伴い、彼女の母にも変化が起きていました。あれほど生きていることに絶望的だった母が、今では別人のように生き生きとして毎日を楽しんでいるそうです。
(シリーズ終わり)