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いじめは終わる—人間の被害者意識と、いじめの関係性

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.243


Introduction

いじめは、古くからある問題ですが、学校での「いじめ自殺事件」として初めて社会に注目されたのは、1986年に起きた、東京都のある中学校の男子生徒が、クラスメイトや担任教師らによって行われたいじめを苦にして自殺した事件です。それ以降、いじめはマスメディアで度々取り上げられるようになり、現代社会の大きな問題の一つになっています。

いじめは、人間の尊厳そのものを踏みにじり、心に一生消えないような傷を負わせます。自己不信や人間不信に陥り、未来の希望まで失ってしまうこともあります。そのため、いじめは犯罪だ、絶対に許せるものではない、と声が上がるのも無理もありません。

しかし、いじめという関係性を“ミロスシステム”で紐解くと、その根源は、人間の心の奥底に生まれた自己不信や劣等感、不足感などから生まれた“被害者意識”であり、それがいじめを生み出しているという“メカニズム”を理解することで、必ずこの問題の突破口は開けるのです。

そこで今回は、数多くの実証例から、息子のいじめ問題と、母親の内面意識が大きく関係していたという事例を取り上げ、その事をお伝えします。(体験者:Tさん 40代 長野県在住)

深刻な状態や、緊急を要する場合には、専門機関の協力も必要になるでしょう。しかし、本当にいじめというものを社会からなくすためには、人間の内面意識との関係性を理解する必要性があることを、知っていただきたいと思います。

『いじめは終わる―人間の被害者意識と、いじめの関係性』

息子のいじめ行為

Tさんが、“いじめのメカニズム”を知ったきっかけは、小学5年生の息子が問題行動を起こすようになったことでした。言動が乱暴になり、学校では授業妨害や、いじめ行為を繰り返していました。Tさん自身、中学時代に長期に渡って陰湿ないじめを経験しているため、最も嫌な行為を息子がしていると思うと、とても胸が痛みました。

彼が6年生になった時、いじめた生徒からの悲痛な訴えにより、学校側の指導のもと息子は改心し、いじめることはなくなりました。しかし、安心したのも束の間。そこからが、Tさん親子にとって本当の地獄のはじまりでした。

いじめのターゲットに

いじめっ子グループから一人離れることになった息子は、今度は、彼らのいじめのターゲットになってしまったのです。今まで、我が物顔で振る舞ってきた息子を、かばってくれる生徒などいません。Tさんの脳裏に、中学時代に味わったいじめの苦しみが鮮明によみがえり、それを今、息子が体験していると思うと、胸が張り裂けそうでした。

「なんとかしたい…」彼女は、藁をもすがる思いで、ミロスのカリキュラムに臨んだのです。

何が“いじめ”をつくり出しているのか?

Tさんが驚いたのは、“息子の問題”だと思っていたいじめに、自分の内面意識が大きく関係していることでした。彼女は、自分の何が“いじめ”をつくり出しているのかを知るため、ミロスシステムで自分自身を紐解いていきました。

Tさんは、幼少の頃から、兄ばかり可愛がる母を見て、兄と自分を比べ、容姿、才能、性格…と、すべてにおいて劣等感を持っていました。母の一言、一言に傷つき、父からも、怒られてばかりで育った彼女は、いつしか、「なぜ私は生まれてきたのだろう?」と思い悩むようになっていました。

心の中に生まれた“被害者意識”

ここで注目すべきことは、Tさんの心の中に生まれた“被害者意識”です。人は、誰もが「自分だけを愛して欲しい」「自分だけを見て欲しい」という、強烈な欲求(不足感)を持っています。それゆえに、母と兄の仲睦まじい姿に嫉妬した彼女は、同時に、「私は愛されていない」と思い込んでしまったのでしょう。

確かに、彼女にとって母の言葉は無神経すぎるものだったのかもしれません。しかし、兄をうらやみ、自分を貶めていたのはTさん自身であり、“兄ばかり…”“私は愛されていない”と感じるものを拾い集めては、“私は望まれて生まれてきた子どもではない”という世界をつくり上げていったのです。

目の前に“加害者”を引きつける

そして、その被害者意識が何を生み出すかというと、目の前に“加害者”を引き付けます。それが現象化したのは、Tさんが小学5年生の時でした。奇しくも、彼女の息子が荒れだした年齢と同じでした。

ある日突然、親友から「友達をやめる」と言われ、学校でも居場所を失います。その後、さらにいじめはエスカレートし、中学生の時には、2年間近くクラス全体から無視され続けたそうです。

社会人になってからも、同僚から中傷される。職場を変えても、上司から目の敵にされる。結婚しても、他の子どもの保護者から突然避けられる…。いじめは、息子だけではなくTさん自身にも続いていました。

なぜ“いじめ”という関係性が成立するのか?

しかし、ミロスシステムで、自分と、いじめた相手との“関係性”を紐解くと、いじめる側も同様に、被害者意識で自分を貶めていることがわかったのです。

結局、自分をいじめていたのは自分であり、心に同じ悩みを持つ者同士が、引き合い、出合い、片方は、ダメな自分を責め続け、もう片方は、自分の嫌なものを見せつける相手を攻撃することで、“いじめ”という関係性が成立していたことを、Tさんは理解しました。

世間では、いじめる側(加害者)が悪い、いじめられる側(被害者)にも問題があるにちがいないなど、いろいろと論議されていますが、実は両者ともに、その内面に同じものを持っているのです。

いじめ問題が終わった

息子のことで“いじめのメカニズム”を理解したTさんは、本当の意味で、自分を認め、愛することを体験することができました。いじめられないように、他人の目を気にしながらの生き方は終わり、のびのびと自分を表現できるようにもなりました。

すると、人間関係や仕事までうまくいき出し、今、彼女の個性や、感性、技術が活かされる仕事が続々と舞い込んできているのです。

そして、息子に対するいじめも終わり、なんと今では、クラスのムードメーカー的な存在となり、クラブ活動でも大活躍しているそうです。

永遠に続く平和へ

人間は、ネガティブにも、望み通りにも、創造する力をその内面に持っています。すべては自分がつくり出した世界であることを理解する人が増えることで、いじめのみならず、人間社会から戦いを無くし、永遠に続く平和を実現することが可能なのです

(終わり)

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