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甘えられない、頼れない。自立に傾いた人たちへ

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.288


Introduction

誰にも頼らず、自分の力だけで物事をこなしていく人は一見頼もしく見えますが、中には、一人で背負い込んでいることにも気づかず、悩みができても誰にも相談せずに自己処理し、強く生きている“自立に傾いた人”もいます。

そういう人は、人間関係において必ずと言ってよいほど依存型の人間と引き合い、相手に不満を抱きながらも頑張り続けなければならないという関係性をつくり出してしまいます。

今回ご紹介する実証例のAさん(30代 女性 福井県)も自立傾向が強く、仕事も育児も家事も一人で頑張っていました。

しかし、ミロスシステムで人生を紐解くことで、自ら甘えられない、協力してもらえない状況をつくり出していたことを知っていきます。

頼りにならない相手に不満を持っていた人生が、実は自分の“傾き”がつくり出した世界であることを知った時、互いに尊重し合い、支え合い、助け合える理想の関係性を築くことができるのです。

『甘えられない、頼れない。自立に傾いた人たちへ』

一人で何でも背負い込む自立に傾いた生き方

頑張ることが当たり前になっていたAさんは、同居する姑の顔色を気にしてやりたいことを我慢し、子育てに無関心な夫に不満を抱きながらも、家事に子育てに仕事に、日々奮闘していました。

しかし、3人目(男の子)が生まれると、3歳になる次女が激しくぐずり出し、その煩わしさや、娘の頑固さ、わがままさにイライラし、日頃のうっ憤も一緒に晴らすかのようにキツく叱ってしまうという事を繰り返して悩んでいました。

そんな時、タイミングよく参加できたミロスシステムのカリキュラムで、Aさんは自分で自分を苦しめていた“生き方”を知っていったのです。

それまで娘を問題視し、どうにかしようとしていましたが、講師のナビゲートのもとこれまでの人生を俯瞰すると、“親が子ども時代に抑圧していたものを我が子が演じ見せてくれている”という意識の仕組みが見えてきました。

初めて自分の“傾き”を知っていく

Aさんは、住職で教員だった父の第1子として生まれ、厳しく育てられました。父の言う事は絶対的で反抗したこともなく、幼い頃から我慢することが当たり前でした。

また、2歳の時に弟が生まれ、母の愛情をすべて奪われたように感じた彼女は、ある日、母が知人に“いつも頑張っているAさんのこと”を自慢げに話しているのを聞き、益々、頑張るようになっていきました。

そして、寺の子、教員の子として、親の期待や周囲の評判を気にして行動をとっているうちに、いつしか自分の本当の気持ちもわからなくなっていたのです。

小・中学校時代には“いじめ”の被害者、加害者を経験し、心の葛藤を誰にも打ち明けられずに苦しみますが、それ以上に、いじめの事を知っているはずの両親に救ってもらえなかったことが彼女の中で一番の傷になり、愛されることもあきらめてしまいました。

高校3年の時には、一家の大黒柱である父が病気になり、4人兄弟の長女だったAさんはさらに自立へと傾いていきました。

看護学校への進学を決めたのも、死が迫っている父を安心させるため、残される母を支えるためであり、父が他界した後は、なかなか自立できない自分を責め、頑張り過ぎて体を壊してしまうほどでした。

そして、結婚してからも家族に甘えることも頼ることもできず、一人で全部背負い込み、身動きの取れない状況に自らを追い込んでいたのです。

しかし、人生を俯瞰し、初めて自立に傾き生きていたことを知ったAさんは、自分が子どもの頃に心の奥にしまい込んだ“母への想い”を娘が表現していることに気づきます。

親が子ども時代に心の奥にしまい込んだ想いを、娘が表現していた

片時も離れたくないと泣きわめく娘の姿に、
「お母さんに甘えたい、お母さんが大好きで、一番に抱きしめて欲しい」
という気持ちを感じた時、甘えたくても甘えられなかった当時の自分の気持ちと重なり、たまらなく娘が愛おしくなりました。

そして、その日、偶然にも実家でAさんは、自分が乳児園時代の連絡帳を見つけるのです。

そこには母の字で
「この子の頑固さや我を通そうとするところが心配です」
と書かれていました。

当時の母と自分が娘を想う気持ちが重なり、充分にかまってあげられないことを責めながら一生懸命育ててくれた母と、子どもを預けて仕事へ行く自分の気持ちが同じであることがわかり、涙があふれて止まりませんでした。

それ以来、娘に怒りが爆発することもなくなり、娘も安定していきました。

自立への傾きが緩むと周りが協力的に

また、今まで夫や姑に不満を抱いていましたが、自立に傾いた自分がつくり出した世界であり、一人で背負い込むことで“完璧な母親”を演じていられたこともわかりました。

子どもをあずける時、おやつから食事まで全て準備していたのも、甘えることを“悪”、頑張ることを“良し”としてきた自分が、そうしなければ気が済まなかったからだと知りました。

子ども時代に両親に甘えたい気持ちをあきらめ、自立に傾いたことで、自分で自分を苦しめていたことがわかると、Aさんは力が抜けてしまいました。

自分の気持ちを夫や姑に素直に伝えてみようという気持ちにもなり、意外にもあっさりとオーケーが出ることに驚きましたが、相手も頼ってもらえない寂しさを感じていたことを知ることができました。

Aさんの自立への傾きが緩むと、夫も協力的になり、姑も素直に気持ちを打ち明けてくれるようになり、あれほどもがいていた日々が嘘のように、家族が互いに思いやり、支え合い、助け合える関係性へと変わってしまったのです。

(終わり)

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