運命の繰り返しをリセット　母の無意識が娘にコピーされていた

Rossco’s Eyes ～人生を俯瞰する視点～ Vol.270

Introduction

人間は、学習や経験から多くのことを学び、成長していく生き物であるのに、人生の様々な場面で同じ失敗を繰り返したり、さらにはその失敗が親から子へ世代間に渡り連鎖したりするのはなぜでしょうか。

必ずしも悪い面だけではありませんが、実に多くの人が、無自覚に、親が人生で見ていた風景をなぞるように生きており、子孫に連鎖していくうちに、状況は悪化していくのです。誰にとっても、子どもや子孫に自分と同じような辛い体験をさせてしまうのは不本意なはず。

では、なぜ運命は繰り返すのか。

今回は、祖母、母、自分と、代々女性に連鎖している悲しみを終わらせたある女性（Yさん 50代神奈川県）の体験に基づき、運命の歯車を廻しているものに触れていきます。

『運命の繰り返しをリセット　母の無意識が娘にコピーされていた』

可愛い娘を育ててあげられない

米屋に嫁いだYさんは、結婚当初、独身気分の抜けない夫に代わり、経営者という重圧を背負い、その傍ら主婦業もこなし、一日中忙しく働いていました。子どもが生まれてからも、子育てを姑に奪われるような形で仕事に専念させられます。

かわいい娘と引き離された寂しさ、育ててあげられない罪悪感。そして、自分を無能な母親だと責め、その欠乏感を仕事で紛らわせるように働いていました。

同じような子ども時代

実はYさん自身も商売人の家に生まれ、母にかまってもらえず寂しい子ども時代を過ごしていました。覚えているのは、母に「忙しい」と手で払われた時の悲しい気持ちや、温かみのない家庭。自分が経験した寂しさを、娘には体験させたくないと思っていたにも関わらず、自分も商売人の家に嫁ぎ、娘に寄り添い育てることができない状況をつくりだしてしまったのです。娘との間にも、埋まらない距離感ができてしまいました。

また、その間に家業の米屋は、国の政策で専売制が廃止され、自由化になったことから仕事が激減し、借金が増え、その返済と生活費、子どもの学費を稼ぐために、Yさんは副業もして必死に働かなくてはならなくなったのです。

重度の鬱状態へ

あまりにも過酷な生活に身体も限界にきていた時、願ってもない好都合な出来事が起こります。道路拡張工事に伴い住んでいた家を立ち退くことになり、その立退料で新しい家を建て、借金も終わり、米屋もやめることができたのです。

これからゆったりと暮らしていける…。そうYさんは思いました。しかし、仕事がなくなると何もすることがなく、喪失感と孤独感に襲われ、さらに自分を否定するようになり、重度の鬱状態に陥ってしまいました。

生き方を見直すことにした

結局、生活の条件が良くなっても彼女の生き方は変わらず、また違う苦しみを生み出しました。もうどうにもならなくなり、Yさんは、ようやく生き方を見直そうと決心し、弟に勧められていたミロスシステムを学びだしたのです。

3次元世界の仕組みやトリックなど、基本的なことを学んでいくなかで、Yさんに第三者的視点が養われ、その視点から自分の人生を観た時、祖母も、母も、自分も、同じような風景を人生のなかで見ていることに彼女は気づきました。

運命の歯車を廻していたのは？

Yさんの娘はもう嫁いでいましたが、その娘に自分と同じ運命を引き継がせてはならないと思い、運命の歯車を廻す自分の内面意識をはっきり見ていくことにしたのです。

母に甘えられない寂しさ、愛情への不足感、愛してもらえない自分に対する無価値観。そんなネガティブな感情が寂しい子ども時代をつくり上げていました。嫁いだ先では、骨身を惜しまず家族のため、家のために働きますが、誰かに認めてもらうこともなく、虚しさを感じることもありました。

外での人間関係では、常に頑張って良い人を演じている分、家に帰ると何もできないほど疲れ果てていました。そして、そんな彼女の目の前には、弱音など吐かない強い夫がいるのです。その夫とも比べてしまい、そうやってYさんは、自分で自分の評価を下げ、その低い自己評価を上げようと、家庭でも外でも頑張り続けていたのです。