何かアクシデントが起こると、大抵の人は否定的に捉え、目の前の出来事に右往左往しますが、すべては自分の内面意識の“アンバランスさ”が目の前に“反転”し“出力”された現象だとわかっていたら、不安になることがなくなります。
この事象を読み解くことのできる“まったく新しい視点”を持つだけで、瞬く間に目の前は問題のない世界に変わってしまうのです。
今回ご紹介する実証例は、弟の身に起きた一見悪く見える出来事を、最初は否定的に捉えた姉(Iさん・40代)が、弟に感じるものを通して、本来なら知ることのできない自分の内面意識を読み解くことで、今まで自分を苦しめていた無意識の葛藤から解放され、同時に弟の環境も整っていった体験です。
『もともと問題のない人生を歪めているものは…?』
退職を余儀なくされた弟
Iさんが思いも寄らない自分の無意識を知ることになったきっかけは、5歳年下の弟が長年勤めていた会社を辞めざるを得なくなった事に始まります。
彼は自閉症でしたが、両親の方針で病院や施設に通うことなく普通学級に通い、絶対音感の才能を活かして趣味のバンド活動も楽しんでいました。そして、美術系の短大にも進学し、卒業後は製菓工場で真面目に働いていました。弟は弟なりに自分の人生をしっかり歩んでいると、Iさんは思っていました。
そんなある日、両親から、弟が退職を余儀なくされたことを知らされたのです。理由は、仕事中に度々奇声を発することや、決められたことは出来ても臨機応変に行動することができないことでした。
Iさんの脳裏に浮かぶのは、
「僕は何でこんなこともできないんだ」「どうしてこんなこともわからないんだ」
と言って、自分で自分を叩き続ける弟の姿でした。一生懸命に頑張っていた弟のことを思うと、胸が締め付けられました。
“できない自分”を責めてきたのは私…?
しかし、彼女はミロスシステムを学んでいました。いかなる時も、どんな出来事でも、目の前に現れた事象に“感じるもの”は、自分の内面に隠れた無意識。Iさんは、さっそく事象を読み解く“視点”から、弟に感じるものを通して、自分の無意識に触れていきました。
自分自身を叩く自傷行為、極度の心配性や懐疑心、イレギュラーなことが起こるとパニックになることなど、弟の症状に感じる“ネガティブなもの”を自分に置き換えて観た時、弟に感じているものは、自分の嫌いなものであり、認めたくない、隠しておきたい自分であることがわかったのです。そして、自分に対する劣等感をバネにして、“しっかり者で頑張り屋の姉”、“なんでもできる女性”として生きてきたことを知りました。
“できない自分を責める弟の姿”は、“できない自分を嫌い、そんな自分を責め続けてきた私の姿そのものだった…”。
“問題視”していただけ
そう気づいたIさんは、今まで目を背けてきた弟と自分自身に謝ると、清々しいほどの解放感を体感したのです。
こうして、悪い出来事に思えた“弟の退職”の一件も、自分の中にある否定的なイメージから一方的に“問題視”していたことがわかると、今度は、会社側や弟の直属の上司の立場からも理解できるようになりました。
今回の事は、弟の言動が他の多くの従業員に与える影響や、仕事上の安全性を第一に考えた上での最善の策であり、弟の上司もきっと苦い想いをしたのではないだろうかと、逆に思いやる気持ちが生まれました。
そして、弟が会社で働いた経験は、彼のこれからの人生に大きな糧になることを感じ、感謝の想いまで溢れてきたのです。
この時にはもうIさんの世界は、さっきまで見ていた世界とは別世界に変わっていました。本当は何も問題はないのに、自ら問題にしていたことを彼女は知ったのです。
“内面意識”が弟に映し出されていた
しばらくすると、弟に新しい就職先が決まり、その後、職場の人たちにあたたかく見守られながら働いている弟の様子を聴くことができました。また、弟には傍で支えてくれる特別な女性がいることもわかり、あらためてIさんは、今まで見ていた弟は、自分の内面意識が映し出された“幻想の弟”であることを知りました。
そして、弟のおかげで彼女も、自分の人生の足を引っ張っていた無意識の自己否定から解放され、これまでとはまったく違う世界に、たくさんの可能性を感じて毎日を楽しんでいます。
問題が存在できない世界へ
もし、Iさんが、弟の退職をあのまま否定的に捉え、会社に対して不満を持ち続け、弟を哀れんでいたとしたら、同じ感情を味わう出来事を繰り返し体験することになっていたでしょう。
人間は常に目に映るものをジャッジしていますが、物事の側面しか見えない視点から、自分のルールに則り、一方的に“否定的な出来事”だと決めつけ、自ら人生を歪めていることが多いのです。
しかし、何が起きても事象を読み解くことのできる“視点”があれば、瞬く間に問題が存在できない世界へと変わります。視点が変われば一瞬で世界は変わります。これも新次元思考テクノロジーミロスの醍醐味なのです。
(終わり)