人間はそれぞれ、自分の生き方のパターンをもっています。結婚と離婚をくりかえす人、職業を転々とする人、人間関係が長続きしない人などさまざまですが、いくら環境(相手)が変わろうとも、目の前には同じ状況が現れてきます。
なぜなら、原因は外側の世界にあるのではなく、自分の中にそのパターンをつくりだす “源泉” があるからです。
前回は、Kさんが人生をシフトチェンジするとき、周囲の人間を裏切る形で前に進むか、自分が裏切られる形で新しい環境に進むか、どちらかのパターンをくりかえしてきたというお話でした。
後半の今回は、ミロスプログラムに出会った彼女が “裏切りの人生” をつくりだしている源泉に触れていく様子をお伝えします。
『くりかえされる “裏切り” の人生』【後半】
天職を求めて
会社員からアロマセラピストに転身し、独立したKさん。結果的に、それまでお世話になった人たちを裏切る形になりました。
しかし、独立して3年目に差しかかるころ、またもや彼女の中に「このままでいいのだろうか」という疑問が湧き上がってきます。
その原因は、新たに彼女の目の前に現れたタロット占いでした。タロット占いでは、具体的な悩みを持つ相談者をカウンセリングしながら良い方向へと導いていきます。それは彼女の “人を癒したい” という欲求を十分に満足させるツールでした。
彼女のなかで、タロットの比重がアロマを超えてどんどん大きくなっていきました。やがて新しい仲間たちと意気投合し、タロット一本で生計を立てていくことを決断します。そして、ためらうことなく関係者や顧客に自分の意思を告げたのです。
信頼する人たちを裏切って
Kさんを慕って一緒についてくる人もいました。新しい顧客やタロット教室の生徒も増え、順調な毎日を過ごしていました。ところが、しばらくするとまた “あの疑問” が湧いてきたのです。
会社員、アロマセラピスト、タロット占い師…Kさんは “人を癒す仕事” を自分の天職と感じて転身してきました。転換期にさしかかると、“人を癒したい” という想いとは裏腹に、自分を信頼する人たちを裏切る形で次の環境に移っていました。しかし、パターンにはまりこんでいるがゆえに、彼女が自分の矛盾した行動に気づくことはありませんでした。
繰返すパターン
タロット占いの次にKさんが出会ったもの…それが “ミロスプログラム” でした。まるで人間を別次元から解体するかのような “この世界の仕組み” に驚嘆した彼女は、細胞レベルで「これしかない!」と感じたそうです。
それまで強い興味をもっていたタロット占いが突然輝きを失い、仕事を続けることができなくなりました。
本来なら、顧客や生徒たちに新しい受け皿を用意してからやめるべきところです。しかし、“本物の答え” を知ってしまった以上、もはや他のものを勧めることはできませんでした。
みんなをこちらへ導こうとしますが、うまく伝えることができず…またもや自分を信頼してついて来てくれた人たちを見捨てる形になってしまいました。
今回ばかりは、Kさんも深い罪悪感を抱かずにはいられませんでした。しかし、自分の中から湧き上がってくる “これしかない” という強い決意が揺らぐことはありませんでした。いつかわかってもらえるだろう…そう信じて、未知の世界へと飛び込んだのです。
“ある男女の事例”
ミロスプログラムを学んでいたある日のこと。Kさんは私の講演VTRで紹介されている、ある男女の事例を知りました。
そこで語られていたのは、“女性を【裏切り】続けた男” と “男性に【裏切られ】続けた女” の関係性でした。具体的には次のような内容でした。
母親の愛情を十分に感じられなかった男性が、
“女性は愛してくれないもの”“女性は自分を裏切るもの”
という傷を無意識にもつようになりました。
いつも “愛されていない” と感じてしまうため、目の前の女性を裏切ることでバランスを取ろうとしていました。彼はさらに多くの女性を裏切ることになるのですが、その原因は彼の子供時代の “母親との関係性” にありました。
しかし、実はその裏に “トリック” があったのです。
親を見る目は “自分を見る目”
それは、親と子の関係性において、親を見る目は “自分を見る目” であるということです。
彼が母親に「愛してくれない」と感じていたのは、自分を愛すことができない自分の姿を母親に映し出して見ていたからです。
そんな彼と引き合ったその女性は、それまでも、結婚を約束したのに突然相手がいなくなる、プロポーズされた相手に複数の女性がいるなど、“男に裏切られるパターン”をくりかえしていました。
彼女の異性関係のパターンは、“自分を愛することのできない自分(裏切る男性性)”と、“愛してもらえない自分(裏切られる女性性)” の関係性から生まれたものだったのです。
自分の中の“男性性と女性性の関係性”
この関係性を “男性側” から見ると、
男性に【裏切られ】続けたパートナー = 自分の女性性
一方、“女性側” から見ると、
女性を【裏切り】続けたパートナー = 自分の男性性
ということになります。
このトリックを理解したKさんは、“自分の中の男性性と女性性の関係性” が目の前の人間関係に表れているという視点を得ました。そして、その視点をもとに自分のパターンを紐解いていったのです。
異性関係も同じパターンを体験していた
彼女が仕事面で裏切ってきたのは、すべて女性でした。自分なりの理由があったにせよ、相手の気持ちを聞こうともせず、彼女の方から一方的に切り離してきました。
驚いたことに、その行為は恋愛面でKさんが相手の男性から受けてきた扱いと全く同じだったのです。
Kさんが体験してきた異性関係のパターンも同じで、“自分を愛することのできない自分(裏切る男性性)” と “愛してもらえない自分(裏切られる女性性)” から生まれたものでした。
「私の目の前に現れた男性は “私の内なる男性性”。目の前に現れた女性たちは “私の内なる女性性” だったのか…」
“すべてが自分だった” と知ったとき、全身に重くのしかかっていたものがスコンと抜け落ちたように感じられました。
“繰り返しの人生”から抜け出して
仕事面で転換期に差しかかったときに湧き上がるあの強いエネルギー。それこそが自分の男性性であり、そのおかげで人生を切り開くことができた ─ それを理解したとき、彼女は自分を丸ごと許すことができたのです。
こうして、自分のパターンの源泉を知り、自分を完全に癒すことができたKさんは、“繰り返しの人生” から抜け出すことができました。
現在、彼女は自分の内なる男性性と女性性が生みだす強い意志で、新しい人生を歩んでいます。
(シリーズ終わり)