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子育ては”自分の根源”に戻る愛のプログラム【第2回】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.11


Introduction

前回は、子供のためという親心で行う “しつけ” がなぜ裏目に出てしまうのか、その理由をお伝えしました。

  • 最新の心理学や脳科学に基づいた子育て法に人気があるが、頭では理解できてもなかなか思い通りにはいかない。
  • それは、思考することによって生きている人間は、“思考” そのものが “自分” になっているため、思考の “ジャッジ” やそこから噴き出す “感情” にどうしても飲み込まれてしまうからである。
  • 「子供にはこんな生き方をして欲しい」という親心は、“自分の子供時代の親” との関係性でつくられた “思考の傷” から押し出されたプラス思考であり、自分が親と同じことをしていることには気づかない。
  • そのため、“子供のため” とやればやるほど、それを押し出している “思考の傷” も水面下で増長し、頭で描く理想の子育てとはギャップのある親子関係に陥ってしまう。

今回は、この “思考の傷” がいかにして親子の関係性の中で受け継がれていくのか、具体例を挙げて見ていくことにしましょう。

『子育ては “自分の根源” に戻る愛のプログラム』

ケース1:理想とのギャップが罪悪感をつくる

【ケース1】思考の傷を子供に感じるために、子育てに不安を抱く親4歳の子供のしつけに悩むAさんという女性がいました。頭では子供の気持ちをできるだけ聞いてあげようと思ってはいても、忙しい時や自分の精神状態が悪い時には、つい頭ごなしに怒ってしまうことに罪悪感を感じ、子供に対して申し訳なさを感じていました。

そんなAさんの思考の傷は何かというと、“理解してもらえない” こと。子供時代に親に一切言い分を聞いてもらえず、頭ごなしに叱られたショックから、「誰も私のことを解ってくれない。私なんてどうでもいいんだ」という思考の傷をつくりました。そして、それ以降、解ってもらおうとすることをあきらめて生きてきました。

この思考の傷が「子供の気持ちを尊重しなければならない」というプラス思考を押し出していたのです。そして、いま自分が親になり、無意識に親から育てられたようにわが子をしつけている中で、「聞いてもらえなかった」「理解してもらえなかった」という自分の傷を “子供に感じてしまう” ために罪悪感を持っているのです。

また、Aさんは「誰にも理解してもらえない」と思い込んでいるため、夫にも自分の言いたいことが言えません。いつも自分の言い分や感情を心の中に抑え込んでしまうために、その抑圧された怒りのはけ口が、自分の最も愛する者であり、最も弱い立場にある子供に向けられていたのです。

そんなAさんのもうひとつの悩みは、仕事を持っているために子供と過ごす時間が少ないということ。甘えたい年齢なのに十分にかまってもらえないわが子を不憫に思っていたのです。

しかし、そう思うのも原因はAさんの中にあります。Aさんの両親も共働きで家にいないことが多く、子供の頃は寂しい思いをしていました。だから、「絶対に自分の子供にはそんな想いをさせたくない」とプラス思考をするようになり、寂しい思いをさせないようにと子供のことを想えば想うほど、同じ境遇にあるわが子に自分の寂しさが映り、罪悪感を感じていたのです。

ケース2:子供も、理想とのギャップで欠乏感をつくる

また、こんなケースもあります。

【ケース2】親は自分のコンプレックスを子供で解消しようとする親である皆さんも、子供の頃には「もっと頑張りなさい」「頑張れば、あなたはできる子なんだから」と親から言われ、「頑張って親に褒めてもらおう」「喜んでもらおう」としたのではないでしょうか。

努力することや頑張ることが悪いわけではありませんが、“それを押し出しているものが何か” が問題です。なぜなら、子供は親に期待されることで「今の自分ではダメなんだ」と無意識に思ってしまいます。そして、この欠乏感を埋めるために頑張ろうとするため、頑張れなかったときや、頑張っても親の期待に添えず認めてもらえなかったりすることで子供は傷つき、期待された “理想の自分” と “現実の自分” とのギャップを感じてコンプレックスという欠乏感を持ってしまうのです。

その結果、コンプレックスをバネにして生きるのか、自分を蔑んで生きるのか……。どちらかを選択するようになります。しかし、いずれにせよ、自分が親になったときに自分のコンプレックスを子供によって解消しようとするのです。

連鎖する親子の関係性

一概には言えませんが、これを象徴する現象が、いま世の中で流行している子供の教育です。“○○は3歳までに決まる” とか “○○式で天才を育てる” というキャッチフレーズは、子を想う親心をぐっと掴みます。こんなご時世ですから、少しでも子供が将来困らないように、幸せな人生を送れるようにと親は考えますが、その親心を押し出しているものは純粋にわが子を想う気持ちなのでしょうか。

親にすれば、まさか自分のコンプレックス(欠乏感)を子供で満たそうとしているなどとは考えもしません。しかし、「子供のために」とやればやるほど、その想いを押し出している自分のコンプレックスが目の前の世界に“反転”し、親の想いを子供に押し付ける形でその子の “可能性の芽” を摘んでしまいかねないのです。

このようにして、親は子供と対峙することで、子供になったり親になったりして“自分の親との関係性” を再現しています。しかし、その事に全く気づかないために、それぞれの家庭で親子の関係性がパターン化し、代々連鎖されていくのです。

(シリーズ最終回へつづく)

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