「自分の好きなことをして、自由に生きること」が一番幸せな生き方だと考える人は多いのではないでしょうか。
自分の“やりたい事”がわかっている人は、人生の軸がぶれることがなく、たとえアクシデントに見舞われても乗り越えていく強さを持っています。そして、本当にやりたい事ができれば充分満足であり、他人の価値観に惑わされることもありません。
しかし、“何がしたいのかがわからない”、また、条件的なものであきらめてしまう人も多く、なかなかできないのが現実です。
今回ご紹介する実証例は、波乱万丈な人生の中で自分を見失って生きてきたある女性(Iさん 30代 沖縄県)が、ミロスシステムに出会い、自分に対する無意識の思い込みをリセットすることで、本当に求めた道を歩み出した体験です。
『自分に対する思い込みをリセットし、本当に求めた道と出逢う』
両親の離婚後 母親代わりに
小学4年生の時、両親が離婚し、Iさんの生活は一変しました。父とまだ3歳の妹と三人で暮らすことになった彼女は、今まで母がやってきた事を背負わなければならなくなり、悲しむことさえ充分にできませんでした。
父は、昼間は仕事に出かけ、夜になってもなかなか家に帰ってきません。幼い妹と二人残された家でIさんは、母のいない寂しさや孤独感、ほかの子とは違う境遇に惨めさや劣等感を抱きながらも、妹の母親代わりとしてしっかりしなくてはなりませんでした。
辛い感情を払いのけ、片親のいない家の子というイメージを周囲からも払拭しようと、すべてポジティブな考えに切り替え、自分の思うままにやりたい事をやっていこうと決めたのです。
自由気ままに生きても感じる“心の闇”
父が留守がちなことをいいことに、友人を家に招いてお酒を飲んだり、内緒で水商売のアルバイトをしたり、体に大きなタトゥーを入れてみたり。そして、欲するままに過食し嘔吐する行為も何年も続きました。その頃の彼女は、自分の欲求を満たすことが“自由な生き方”だと捉え違えていたのです。
Iさんは、自由気ままに楽しく生きているつもりでしたが、ふとした時に心の闇を感じることがありました。また、“モノづくりに関わる職業に就きたい”という気持ちはありましたが、何をつくりたいのかさえもわからない自分のことが嫌いでした。
離婚 両親と同じ体験
恋愛面でも、自分のことを好きになれない彼女は、無意識にその欠乏感を埋めようと恋愛関係に依存し、10年間も交際した男性と結婚したにもかかわらず、すぐにうまくいかなくなりました。
子供も授かりましたが、すでに心は離れており、出産後、即離婚した彼女は、自分の両親と同じ体験をすることになったのです。
子供を引き取ったIさんが最優先したのは“生活の安定”でした。これまでとは180度“生き方”を変え、堅実な仕事を探して介護職に就きますが、隠していた劣等感や惨めさが日増しに強くなり、やりきれない気持ちでいっぱいでした。
そんな中、Iさんはミロスシステムに出会いました。
なぜ、こんな人生になってしまったのか?
自分ではわからない“内面意識”を、目の前の相手や出来事に感じているという“三次元の仕組み”を知り、人生が根底から揺さぶられるほどの衝撃を受けましたが、その“新しい見方”で過去を紐解いていくうちに、なぜこんな人生になってしまったのかがわかってきました。
両親が離婚した時からずっと、Iさんは自分自身に“惨めさ、孤独、劣等感”を感じていました。その自分に対する“思い込み”を強力なバネにしてポジティブに生きようとした結果、“反転”し、幸せを求めるほど逆に遠ざかっていく人生になってしまったのです。
興味のあった仕事との出会い
無意識の思い込みに縛られ、何一つ自分のやりたい事をしていないことに気づいた時、Iさんは心の底から“もうこのままでは嫌だ!”と思いました。すると、そのタイミングで彼女に“ある情報”が飛び込んできたのです。
それは、かねてから興味のあった“グラフィックデザイン”の仕事につながる職業能力開発校の受講生募集の話でした。
応募資格の“概ね30歳迄”という表示に、すでに30代半ばの彼女はためらいましたが、自分を制限するのは他の誰でもなく“この自分”であることを理解しました。
また、生活費を稼がなくてはならないため、仕事を辞めることに大きな不安がありましたが、今までの延長線上に何も希望を感じられなかったIさんは、勇気を出して受講することに決めました。
応募用紙を提出する際にも、受付の女性から“年齢”や“条件”など痛いところを突かれ一瞬躊躇しましたが、自分の隠した不安や恐怖を“この女性の言葉”に感じていることに気付き、迷うことなく未知の世界に飛び込んだのです。
遺伝子に刻まれているものとの“出逢い”
彼女の新しいステージには、不思議と自分のルーツに触れるものが用意されていました。かつて印刷業を営んでいた父が使っていたものと同じ“印刷機”があり、その機械音と、インクや溶剤の匂い、いろんな道具に懐かしさを感じていた時、Iさんは“自分が本当にやりたい事”がわかったのです。
「私のやりたかった事が、父と同じ仕事だったなんて!」
父から自分に受け継がれた遺伝子を体の奥深くで感じると、幼い頃の記憶がよみがえってきました。工場で父からもらった紙に夢中になって絵を描いていた自分…。絵の世界に入り込んで遊ぶことが何よりも楽しく、大好きだったこと…。今まで自分のやりたい事を外の世界に探していましたが、最初から自分の中にあったのです。
学校でスキルを積み、ある著名な版画家が代表を務めるデザイン会社に面接に行った時のことでした。そこに展示されている数々の作品に魂が揺さぶられるほど感動し、涙があふれて止まらなくなってしまったIさんは、自分の遺伝子に刻まれているものとの“出逢い”をはっきりと感じることができました。
本当に求めた道へ
後日、採用が決まり、今年の4月からデザイナーとして働いています。彼女の仕事は、お客様の求めるものをさらに魅力的に、かつ商品の価値を上げるものにする企画デザインの仕事です。
“モノづくりをしたい”という漠然とした思いは、はっきりとした意志に変わり、“本当にこれがしたかった!”と感じる喜びに満ちた毎日を送っています。
(終わり)