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自分を知ることで世界は変えられる【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.83


Introduction

本当の自分を知る第一歩は、相手に感じているものを “自分のもの” として置き換えることです。つまり、自分から相手に向けていた視線の方向を “反転” させて自分に向けることから始まります。

前回のシリーズ前半では、ある女性(Aさん)が “父に感じるもの” を自分のものとして置き換えたことで、自分では知ることのできない “無意識の自分” を知り、それだけで何年も抱き続けていた父への憎悪が一瞬で消えた体験をお伝えしました。

強烈に抵抗感を抱く相手ほど、未知の自分を知る『鍵』を持つ “もうひとりの自分” だったことにショックを受けた人も多いのではないでしょうか。

シリーズ後半では、最も自分を教えてくれる “夫” を通して自分を知っていくなかで、彼女は “自分を知ること” に計り知れない可能性があることを発見していきます。

『自分を知ることで世界は変えられる』【後半】

最悪な夫婦関係

Aさんがミロスプログラムに出会ったとき、夫婦関係は冷え切っていて、家庭内別居のような状態でした。

夫は一人目の子供が生まれた直後から働かなくなり、彼女が仕事をして生計を立てていました。

疲れて帰宅すると、夫は遊びに行って家にいないことが多く、家事や子供の面倒も放ったらかしでした。しかも、お酒が入ると暴力を振るう始末。愛想をつかせたAさんは、目の前から彼を排除してしまいたいと思うほど強い憎しみを感じていました。

あるとき、そんな夫から屈辱的な行為を強いられるという悪夢のような出来事が起きました。Aさんの嫌悪感は頂点に達し、子供が彼に近づくことも許せなくなった彼女は、常に離婚を考えるようになりました。

自立した妻に依存する夫

しかし、ミロスプログラムの “相手を通して自分を知る” というまったく新しい見方を体得することにより、目の前の問題やネガティブな感情から離れ、ニュートラルな感覚で物事を俯瞰することができるようになったのです。

シリーズ前半で、自分の “幼少期の家庭環境” や “父との関係性” に注目した彼女は、続いて自分の “夫婦関係” を見ることにしました。そのとき、彼女はあることに気づいて非常に驚いたそうです。

それは、親から子へ関係性が繰り返されていることでした。

仕事をせずに酒に依存する夫と、家庭を支える妻 — 両親からAさん夫婦に連鎖して繰り返されていたのは、“自立した妻に依存する夫” という関係性でした。

そして、夫に憎しみを感じたり、子供が夫に近づくことが許せなかったり、まるで母が父に感じていた不満や怒りをそのままコピーしたかのような体験をしていることに気づきました。

「決して両親のようにはならない」と思っていたのに、気がつくと母と同じ状況に陥っていたのです。

無意識の中に抑圧していたもの

しかし、Aさんはなぜそうなってしまったのかを “自分を知る” ことによって紐解くことができました。

彼女は父を通して無意識の自分を知りました。それは、自立型の彼女とは相対的な、愛を渇望する “孤独で寂しい自分” でした。

殺伐とした家庭環境で育ち、甘えたい時期にそれができなかった彼女は、父のことで苦労する母を気づかい、心配をかけないようにと、自分のことは全部自分でするように頑張っていました。

そして、働かない父を見て「依存は悪い」「自立(母)は良い」とジャッジし、誰かに甘えたい、頼りたいという気持ちを遮断して、無意識の中に抑圧していました。

つまり、Aさんは依存することに失敗し、無意識に依存願望をもちながらも依存を嫌い、自立した女性を演じていたのです。それまでずっと夫を悪者にしてきましたが、夫を通して見ていたものは “自分の中に抑圧した依存” でした。

夫が自立しなことにメリットがあった

また、自分を知っていくことで、夫が自立しないことにメリットがあることもわかりました。それは、自分のほうが優位に立ち、彼を支配できることでした。

もし、夫が自立して力関係が逆転したら ─ それは彼女にとっては恐怖でした。

なぜなら、子供時代に体験した家族に対する父の暴力的・性的な支配、威圧感など、父に対する恐怖心が男性に対する恐怖心となり、それと同じものを無意識に夫に対しても感じていたからです。

男性への嫌悪感が原因

そして、彼女が驚いたことに、夫に対する嫌悪感と父に感じていた嫌悪感が全く同質のものだったのです。

Aさんはそれまで、父と夫の行為が “男性に対する嫌悪感” の原因だと思っていました。しかし、彼女は自らが決めた “自分のテーマ” を体験し、それを超えるためにふさわしい両親と環境を選んで生まれてくるというシステムを知りました。

その結果、もともと彼女の中にあった男性への嫌悪感があの屈辱的な出来事をつくりだしていたこと、そして、それが先祖代々の女性がもっていた傷であったことに気づいたのです。

夫にも変化が現れた

彼女の変容とともに、もう一人の自分である “夫” にも変化が現れました。夫婦で一緒にシステムを学ぶようになってからは、彼が仕事を始め、夫婦の会話も生まれ、心から通じ合える関係になれたそうです。

こうして自分を知ることで、自分に縁のある人や自分に繋がるすべての生命が体験してきた苦しみもリセットされ、過去までも全く新しく蘇生されていきました。

世界を変えるほどの可能性

Aさんは自分の体験を通して、“自分を知ること” に世界を変えるほどの可能性を強く感じました。そして、このように宣言してくれました。

「戦争や環境問題、経済の問題、原発の問題など、世界が抱える問題も、その大元は人間ひとりひとりの無意識が集合的無意識となってつくりあげた現象です。

人間の無意識が目の前の世界に反転するという “この世のシステム” を理解し、自分を見直す人が増えることで、世界は必ず変えられる — 私はそのことを多くの人に伝えていきます」

(シリーズ終わり)

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