子供時代に見ていた父の姿や両親の関係性から、結婚に絶望して生きてきたSさん。ある日参加したセミナーの講演者が投げかけたひと言をきっかけに、人生をリセットし再生させる “システム” に出会い、目覚めていきます。
後半の今回は、父の突然の訃報というショッキングな出来事によって彼女の人生の全体像が一気に紐解かれ、人生観、結婚観が変わっていく様子をお伝えします。
『結婚に希望を持てない女性へ』【後半】
好きと嫌いは反対のものではない
「お父さんのことが嫌いな人は、結婚は難しいよ」
参加したセミナーで講演者が放ったひと言に、Sさんの心は強く揺さぶられます。“父の存在” と “結婚” が彼女の中で繋がらないのです。湧き上がってくる疑問に対する答えを求めて、彼女は講師の話にどんどん引きつけられていきました。しかし、そこで彼女はさらに “思考が追いつかない話” を聞くことになります。
「好きと嫌いは反対のものだと思っていませんか?でも、好きと嫌いという2つの感情が自分の中にあるのです。この2つはどんなに引き離そうとしても、決して引き離すことはできません。今、お父さんが嫌いだと手を挙げた人…その “嫌い” な気持ちの裏には “好き” という気持ちがくっついているんですよ」
突然の訃報
Sさんは分かったようで分からない話に不完全燃焼になりながらも、その奥の奥に何か秘密がありそうな気がして、どんどんシステムを探求していきました。
そんな彼女のもとに、突然、父の訃報が届きます。母の味方として支えなければならないと思って生きてきた彼女は、母の前では平静を装っていました。しかし、一人になったとき、父に対する言葉にできない感情があふれ出してきたのです。
悲しいでも嬉しいでもなく、復讐心が満たされたわけでもありませんでした。とにかく涙が止まりませんでした。そのとき、自分の人生や父のことが一気に思い出されていくなかで、“父に言いたかったひと言” がふっと出てきたのです。
「こっちを見て!」
それは、父を戒めたいがためにずっと抱えていた “私の生き様を見なさい” という思いではなく、“ただ父に自分のことを見て欲しい” という思いでした。自分の中にそんな思いがあったことを知ったとき、今度は温かい涙があふれてきて止まりませんでした。
そのとき彼女はハッとしました。どうしても腑に落ちなかった「“大嫌い” の裏には “大好き” がくっついている」というこの世のシステムが理解できたのです。
理解で全てが変わる
この “ひとつの理解” で彼女の視点が変わります。面白いことに、過去がまったく違う “ドラマ” に見えてきたのです。
それまで、過去を振り返れば、嫌な光景、嫌な感情、父や母の表情や言動…見たくないものばかりが見えていました。しかし新しい視点からは、時空間の広がりの中に “なぜ自分がそう感じたのか” “なぜそういう行動をとったのか”…自分では知ることのできないものが見えてきたのです。
◎本当は父のことが大好きで「私だけを見て欲しい」という強い欲求があったのに、“こっちを見てくれない” ことに敏感になり、そんな父を大嫌いになっていったこと。
◎母に対して同じように「私だけを見て欲しい」という欲求があったのに、いつも父の顔色を見ていて「私のほうを見てくれない」と感じていたこと。
◎そんな両親の態度から「私は愛されていない」と感じるようになってしまったこと。
◎父の裏切りや母の惨めな姿を見て、一番居心地のいい場所であるはずの家庭に絶望し“男は信用できないもの” と決めつけ、無意識に男性を敵視するようになったこと。
◎「惨めな女にはなりたくない」と思い、誰にも頼らなくてもいいように自立して生きてきたこと。
繰り返されてきた“愛して欲しい”
そして、Sさんの思いは両親の父母(Sさんの祖父母)に至りました。「父は両親の愛を全く感じることなく育っている。きっと父は愛を渇望し、母(妻)に “愛して欲しい” と求めたのだろう。そんな父とは逆に、両親から溺愛されて育った母は “愛されること” に慣れていて、与えることを知らなかったのかもしれない…母も父(夫)に “愛して欲しい” と求めていたのだろう。その結果、母(妻)に愛してもらえないと感じた父は、他の女性に愛を求めて出て行ったのではないだろうか…」
同時に、先祖を遡っていくことで見えたことがありました。それは、誰もが愛を求め、それ故に怒りや憎しみ、孤独を感じ、その感情をもとにして相手を見て、様々な “ドラマ” をつくってきたということです。
本当の結婚を知った
すべて愛が原因であることを知った彼女は、“父のことが大好きだったから大嫌いになった” ように、今まで自分が不信感や抵抗感を持っていた愛や結婚も、実は心の奥底で強烈に求めていたことに気づいたのです。
その後、Sさんは本当の結婚について知っていきます。
◎好きと嫌いを超えて、父に今まで感じたことのない “愛おしさ” を感じたこと。
◎今まで自分の中で分離していたものが融合し、全く新しいものが生まれることが“結婚” であること。
◎これを自分のパートナーと一緒におこなうことが “本当の結婚” であり、そこには無限の可能性が存在すること。
最後に、彼女はこう話してくれました。
「あれほど絶望していた結婚に、今はワクワクして仕方がありません。愛を体験したくて、結婚の意味を知りたくて、私は生まれてきました。今までその根源の思いが“反転” した人生を生きてきたけれど、そのお陰でシステムに出会い、“結婚とは何か” を体験できる世界にたどり着くことができました。あの父と母の子供に生まれなければ、私は自分の生まれてきたテーマを体現することはできなかったでしょう。両親が私に見せてくれたこと、父が思い切り憎まれ役を演じてくれたことに、本当に感謝しています」
(シリーズ終わり)







