未婚率が上昇の一途をたどるなか、いまや “未婚” は一過性のものではなく、女性のひとつのライフスタイルになりつつあります。その大きな要因のひとつが個人の結婚観です。「いつかは結婚したい」と思っていても、結婚すると自由がなくなる、幸せになれるとは思えないなど、“恐怖心” から結婚に踏み切ることができない—。
最近では、独身でも居心地よく過ごせる場所やサービスが増え、ある程度の経済力があれば一人でも不便さを感じることがなくなりました。世間体さえ気にならなければ、ずっと一人で過ごすのもいいと考える女性が増えているようです。
今回は、結婚に絶望していた女性(Sさん)が、人生をリセットして再生させる “システム” に出会い、誤った結婚観から解放され、本当の結婚の素晴らしさに触れていく体験をご紹介します。「結婚したくない」「独身のままでいい」と思っている女性が、彼女の体験を通して結婚観を見直すきっかけになればと思います。
『結婚に希望を持てない女性へ』【前半】
自分勝手だった父
あるセミナー会場で講演者がこんな質問を投げかけました。
「お父さんのことが嫌いな人、手を挙げて!」
Sさんは真っ先に手を挙げました。すると、講演者が言いました。
「お父さんのことが嫌いだと、結婚は難しいよ」
「えっ…!」
Sさんは子供の頃から両親の夫婦関係を見て、「結婚なんかするものじゃない」と思ってきました。両親が離婚した後、彼女は父親と離れて暮らしていましたが、大人になった今でも、彼女の中には “憎しみの対象” としての父が存在し続けていました。
父に対する彼女の印象は、自分勝手でいつも自分のコンプレックスを盾にして言い訳をして逃げる人—あげくの果てに、他に女性をつくって家を捨てて出て行った “ろくでなし” でした。
結婚に対して夢も希望も持てなくなって
彼女の心には、子供の頃に鮮明に焼き付けられたある光景がありました。玄関先で家を出て行こうとする父。それを引きとめようとしてしがみつく母。父が母を払いのけて去り、母がその場で泣き崩れる…。
そんな状況を目撃する以前に、両親には失望していました。しかし、その光景を見たとき、彼女のなかに強烈な観念的思考がつくられたのです。
「夫婦になっても安心はない。母のように父にすがって生きていると、ろくなことはない。相手がいなくなった途端に不安になるなら、初めから誰にも頼らないほうがいい。結婚に何の意味があるというのだろう。結婚なんてするものじゃない!」
当時、Sさんはまだ中学生でしたが、父への憎しみが男性への不信感をつくりだし、彼女は結婚に対して夢も希望も持てなくなってしまったのです。
父とは真逆の生き方するように
父が家を出て行った後も、彼女は父の生き方を否定し続けました。もはや会うことはありませんでしたが、彼女は自分の存在をもって父を戒めるように生きていくようになります。
「あなたの生き方がどれだけ間違っているか、私の姿を見て思い知りなさい!」
父への怒りと恨みが起爆剤になり、父とは真逆の生き方—真面目で正義感にあふれる優等生を演じるようになりました。
好きになる男性と上手くいかない
そんなSさんも、年頃になると恋愛をします。彼女の中で憎むべきものは父であり、だからこそ父とは真逆のタイプの男性を好きになったのではないでしょうか。しかし、なぜか彼女の恋愛は上手くいきませんでした。相手が変わろうと、いつも同じような形で終わってしまうのです。
実は、ここに彼女がはまりこんでいるトリックがありました。一般的に、女の子にとって生まれて初めて出会う異性は父です。父との関係性でつくられた、この “父を見る目” がその後、“異性を見る目” になっていきます。つまり、彼女にとって “ろくでなし” だった父に感じていたものが “異性を見る目” になり、その目で男性の言動をジャッジし選別していたのです。
父に対する怒りが
子供の頃につくられた父親像から、“男は裏切るもの—女の敵” という観念的思考を持っていた彼女。父に感じていた嫌なものを相手の男性にも感じた途端、子供時代の父親像が相手の男性に映し出され、当時の父に対する怒りや憎しみが噴き出しました。そして、彼女は目の前の男性を父の代わりにして復讐しようとしていたのです。
トリックを知らずにいた彼女は、まさか自分が “父を見る目で異性を見ている” とは思ってもいませんでしたが、彼女のセンサーは常に父を探し続けていました。そして、成就しない恋愛を重ねていくうちに、彼女の “男とはこういうもの” という決めつけがさらに強化されていきました。その結果、彼女は男性に失望し、どんどん結婚から遠ざかっていったのです。
(シリーズ後半へつづく)