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なぜいじめは起こるのか?いじめが起こるシステムを理解する【前半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.3


Introduction

今回のテーマは「いじめ問題」です。一般的にいじめ問題に対する反応は人によって様々です。

「いじめるほうが悪いに決っている」「いや、いじめられる方にも原因がある」「学校が悪い」「いや、家庭での躾がなっていないからだ」「いじめはなくすことができる」「いや、人間の本質なので、決してなくなることはない」などなど。

しかし、この一見複雑極まりないように見える問題でさえ、ミロスの視点があれば鮮やかに紐解くことができるのです。(今回のテーマは2回シリーズでお届けします)

『なぜいじめは起こるのか?いじめが起こるシステムを理解する』

いじめは大きな社会問題

今月に入り、子供の自殺の原因がいじめにあるとして、亡くなった子供の家族がいじめた生徒や市、国を裁判に訴えるという報道が相次ぎました。ひとつは、昨年10月滋賀県大津市で起きた中2男子の自殺。「自殺の練習をさせられていた」という衝撃的な見出しではじまり、陰惨ないじめの実態が明らかになりました。もうひとつは、7年前に埼玉県北本市で起きた中1女子の自殺の裁判。「国にもいじめによる自殺の責任がある」として初めて国を訴えた裁判が、9日、東京地裁で最終的な判断がくだされたというものでした。

皆さんニュースをご覧になられた方は「またか…」と心を痛めたことでしょう。たしかに、いじめという行為は許されるものではありません。できることなら、未然に防ぎたいものです。これまでも学校や家庭、地域社会全体が協力し合い、子供たちが安心して学べる環境をつくろうと様々な対策が立てられてきましたが、功を奏すどころか、年々いじめは増加・悪質化し、今では国家レベルで取り組むべき大きな社会問題にまでなっています。メディア等で公表されているものは氷山の一角にすぎず、いじめによって辛い思いをしている人が全国にどれだけいるかは想像もつきません。

誰でもいじめの芽はもっている

知人の中学教師も学校内のいじめについて、陰口や仲間外れ、嫌がらせなどは日常的にあり、「どの子もいじめの芽はもっていて、いつ起こっても不思議ではない」と言っています。たとえ教師が深刻に捉えていなくても、本人にとっては「学校へ行きたくない」「死んでしまいたい」と思い悩むほど重大な問題になっているかもしれないのです。

今回のように学校に警察が介入したり、裁判で長い年月をかけて「いじめ行為があったかどうか」「加害者は誰か」「責任はどこにあるのか」ということを追及・解明しても、それで誰かが本質的に救われるとは思えません。いじめる側の心の闇を封じ込めたり、抑え込むような一方通行の方法では、この悲劇は終わらないだろうとどこかで思っている人は多いのではないでしょうか。

なぜ、いじめが起こるのか?

では、本当にいじめを終わらせるにはどうしたらいいのでしょう。そのためには、「なぜ、いじめが起こるのか?」、いじめという現象の奥の奥にある根本的なところを理解しなくてはなりません。

そこで今回は、いじめという”関係性のシステム”についてお話しさせていただきます。力関係ではどうしてもいじめられる子の方が傷つくため、今いじめられて苦しんでいる人やそのご家族にとっては、この話は受け入れがたいことかもしれません。しかし、この繰り返される悲劇を終わらせるためには、どうしても”関係性のシステム”に言及しなければならないのです。

いじめられる子といじめる子に共通するもの

いじめというのは人間関係の問題です。いじめられる子といじめる子の両者がいて成立します。逆に言うと、この両者が出会わなければいじめは起こりません。驚かれるかもしれませんが、彼らは偶然に出会ったのではなく、共通する”なにか”で引き合い出会っているのです。

前回の記事で「人間の思考は自分のありのままを認める能力を持っていない」ことをお話ししましたが、人間は意識しているかどうかに関わらず、基本的に自分の半分を否定し、それを自分の中に隠して、もう半分の良い方の自分を表向きに演じて生きています。ネガティブなものをバネにポジティブに生きようとする ─ そうやって人間はバランスをとっているわけです。しかし、その自分の中に隠した「自己否定」というものが、いじめという関係性をつくりだしていることには気づきません。

自分は愛される価値がない……

子供がどうして自分を否定するようになるのか?ほとんどの場合、そのきっかけは親や親代わりをしてくれた人間との関係性にあります。親は、言う事を聞かない子供、つまり自分がコントロールできない子供を見たとき、彼らの”行為”に善悪のジャッジをして「悪い子」だと言って叱ります。逆に、言う事をきく子、コントロールできるは「良い子」だと言って褒めます。そうやって、躾をするなかで、子供の”存在”とは全く関係の無い”行為”で、良い子・悪い子のレッテルを貼っていきます。一方、子供は親の愛に非常に敏感ですから、親に褒められれば自分は愛されていると安心し、叱られると「自分はダメだ、悪い子なんだ」「愛される価値がないんだ」とまで思い込んでしまいます。子供がどんなに明るく活発に振舞っていても、逆に、大人しく引きこもりがちでも、心の奥底にはどんな強烈な自己否定を持っているかは計り知れません。そして、同じ質の自己否定を持つ二人が磁石のように引き合うと「いじめ」という関係性に発展するのです。

いじめの本質が明らかになってきましたが、今回はここまでです。次回は具体例をあげて、いじめが起こるメカニズムを明らかにしていきます。

(シリーズ後半へつづく)

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