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本当のマイライフを実現するために【第2回】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.27


Introduction

前回は、人間の一生を映画にたとえ、生まれる前に全て自分で決めてきた人生のストーリーを生まれた瞬間に忘れ、この世のトリックに取り込まれて本来のシナリオとは違う人生を歩むのが “人間の生き方” であることをお伝えしました。

今回から、その実証例として、忘れてしまった “本当の自分” や“本当の人生” を探し求めて壮絶な人生を送っていた女性(Nさん)が“システム” を知ってどのように人生を再生させたのかを明らかにし、私たちがはまり込んでしまうトリックと、“本当のマイライフ” を実現するためのヒントをお伝えしていきます。

『本当のマイライフを実現するために』

周囲からの評価が自己存在価値

「自分が何をしたいのかさっぱりわからない」

高校3年生の時、進路を決めなければならない時期に、自分がこれからどのように生きたいのか全く分からないことに、Nさんは強烈な虚しさを感じました。

短大に進学はしたものの、依然として将来が見えてこない。自分の中を占領していく空虚感は、まるで飢餓状態の胃袋のように“生き甲斐” や “幸せな人生” を要求してくる。そんな学生生活を送る中、Nさんは “周囲の人間からの評価” に自分の存在価値を見出していきました。

「背が高いね」「足が長いね」「スタイルが良いね」「モデルになれるよ」

他人の評価によって初めて自分を認めることができたNさんは思いました。

「この世界なら私も生きていけるかもしれない…」

本当に望んだ世界ではないながらも、自分の存在理由が見つかるのではないかという期待から “モデル業” に飛び込んだのです。

最初のうちは一般人が体験できない華やかな世界に魅力を感じ、なによりも “自分を活かす” ことでお金を稼ぐことができることに喜びを見出していました。しかし、楽しいときは束の間。自分の容姿は評価されても、自分が本当に欲しい “自己存在への評価” が得られないことに、再び強烈な虚しさを感じるようになっていったのです。

容姿を失うことへの強迫観念

そんなある日、体重が200グラム増えていたことに気づきました。空洞化した自分の内側を埋めようと外側の容姿に執着し依存してきたNさんにとって、自分の容姿は唯一、自分が “存在するに値する” 取り柄でした。

「私はもうダメだ…この容姿を失ったら自分には何も残らない」

わずか200グラムの体重増加という “現象” がきっかけとなり、彼女の心の中にいつの間にか棲みついていた “強迫観念” がNさんに襲い掛かりました。信じられないかもしれませんが、彼女はたったそれだけのことで絶望し、3年間の引きこもり人生が始まったのです。

なぜ、これほどまでにNさんの自己評価は低かったのでしょうか。それを明らかにするめに、人格形成に重要な幼少期を彼女がどう過ごしたのか…彼女の過去にタイムスリップして見てみることにしましょう。

厳しい家庭環境で過ごしてきたことで

◎幼少期:“外側の世界” でつくられた二つの自我幼少期にNさんが見ていた世界は、母に対する父の激しいDV。自らも父から虐待を受け、男性恐怖症が始まりました。そして、母から打ち明けられた国籍の違い、等々。

幼心に「こんな家族を誰にも知られたくない」と思ったNさんは、自分を隠すかのように “表向きの自分” を演じるようになっていきました。そして、この時期に性的虐待にも遭いましたが、母に打ち明けることもできず、自分のすべてを覆い隠す生き方が始まったのです。

そんな厳しい環境で育ったNさんが親を嫌い、自分の家庭を否定するのもやむを得ないことかも知れません。しかし、それは同時に、父と母から生まれた自分自身を嫌い、強烈に自己を否定にすることになってしまうのです。

彼女の心の中は、“自分を否定する想い” と “自分を認めたいという想い” が取っ組み合いの喧嘩をしているような状態。心の中の激しい葛藤を隠すかのように、Nさんは “幸せで穏やか”、“何も問題のない自分” を演じるようになっていきました。

自分のためのシナリオを用意したはずなのに

「人生を全て自分で決めているのに、どうして辛い出来事が起こるのだろうか」

あなたはそう思われるかも知れません。しかし、初めから終わりまで何事もなく終わる映画がないように、自らが様々な出来事を用意して心の葛藤や感情を味わい、苦境や試練を越えて心を成長させていくという“プロセス” をつくっているのだとすれば、本当は何が起こっても大丈夫なのではないでしょうか。

どんな出来事でも、映画のシーンが流れていくようにいつかは通り過ぎていく…。もし、映画監督の位置からスクリーンに映し出される映像を観ることができれば、スクリーンに映るストーリーの中に取り込まれることはありません。ところが、私たちには肉体があるため、“この体が自分” という認識が邪魔をして、スクリーンの中にいる“ストーリーを知らない主人公” になってしまいます。

視点を失うことで乗り超えるべきテーマを超えられない

Nさんも何かを越えて本当の自分のテーマを生きるために、その父と母を選び、自分の映画を上映するスクリーンを用意したはずです。しかし、そのスクリーンの中に取り込まれ、観賞者ではなくなってしまったのです。

“周囲” の人間や出来事に振り回され、自分の感情に苦しむNさんの中に、“否定する自分(自我)”が生まれました。そして、否定された自分の「私を認めて欲しい」という願望が、“周囲” に受け入れてもらうために相手に合わせる “穏やかな自分(自我)” をつくりだしたのです。

普段は “自分をコントロール” して相手に合わせているNさんですが、その背後で “コントロールできない自分” を抑え込んでいます。好きな自分、素敵な自分を表で演じれば演じるほど、コントロールできない自分を抑えつけることになります。そして、いつか必ず抑制しきれなくなったコントロールできない自分が暴れ出すのです。

もしNさんが観照者の位置にいたなら、この二つの自分(自我)さえもシナリオ通りだと観ることができますが、スクリーンの中に取り込まれている彼女にはその “視点” がありません。それから後も、“外側の世界” によってつくられた二つの自分(自我)に翻弄される壮絶な人生が続くことになるのです。

(シリーズ最終回へつづく)

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