「男性にとって仕事って何なのだろう?」女性のみなさんはそんなふうに考えたことはないでしょうか。
男性の仕事に対する価値観は女性とは少し違います。男性は仕事を通して自分自身を評価し、収入は自己評価を表すものだと肌で感じています。例えば、本人は仕事に生き甲斐を感じていても、無意識に “自分を認めてほしい”と頑張っていたりします。
しかし、この世界の “意識の同化と反転のトリック”(詳しくはTHE ANSWERをお読みください)により、頑張って成功しても、その背後で頑張りの原動力になっている自分に対する不足感が増幅します。そしてあるとき、表に “反転” して予期せぬ失脚や、家庭の崩壊、または病気など、成功から失敗へ転落するような出来事が起こります。
今回ご紹介する実証例は、成功と失敗を繰り返してきたある男性(Mさん)が、ミロスシステムを知り、自分が陥っていたトリックを理解し、今まで無関係だと思っていたパートナー(妻)が仕事やお金に密接に関係していることを知っていった体験です。
『仕事、お金の “鍵” はパートナーが持っている』
トップから失脚の繰り返し
どんな職場でもすぐに頭角を現し、実力、実績ともにナンバーワンの地位を獲得してきたMさん。しかし、その成功はいつも長続きしませんでした。最高にうまくいっている時に、必ず人間関係のトラブルや、ときには女性問題が浮上し、せっかく築いた地位を失ってきたのです。
彼自身、毎回同じ事を繰り返していると薄々感じてはいても、深刻には捉えていませんでした。なぜなら、頭のキレる彼は、仕事を失っても自分の経験とスキルを総動員して、これまで培ってきた人脈を駆使し、すぐに新しい仕事を見つけてのし上がることができたからです。
ところが、ある大手企業に就職し、過去最高の売上をたたき出し、地位も名誉も財も手にしたときのこと。思いもしない人間からの内部告発で失脚することになったのです。その時ばかりはどうにもなりませんでした。次の仕事のあてもなく、独身ならまだしも、家族がいて、家のローンなど毎月支払わなければならないものがある。不安と恐怖で、夜も眠れない日々が続きました。
人脈も尽き、打つ手もなくなったとき…Mさんは、わらをもすがる思いで電話をした親友を介してミロスシステムを知ったのです。
コンプレックスを埋めるため
それは、今まで勉強してきた成功哲学や精神論とはまるで真逆の内容でした。しかし、別人のように変わってしまった親友の話には、戸惑いながらも興味を持たずにはいられませんでした。
さっそくMさんは私の書籍やDVDを通してミロスシステムに触れていきました。そのなかで、彼は “なぜ成功と失敗を繰り返すのか”、そのメカニズムを知りました。
彼を仕事に駆り立てていた原動力は、“両親を見返したい” “自分の実力を見せつけたい” という想いでした。それだけ、親に認めてもらったり、愛してもらった感覚がなかったのです。その愛情の欠乏感が自己価値を下げ、さまざまなコンプレックスをつくりました。コンプレックスを埋めるために周囲から評価を得なければ、彼自身、自分を認めることができませんでした。
持ち前の雄弁さで人を惹きつけ、あっという間に大手企業のトップセールスマンやカリスマ的な存在になる彼でしたが、マイナスからプラスへ振れた分 “反転” し、マイナスへ引き戻されました。極から対極へ…何度も繰り返しているうちに振れ幅は大きくなり、最悪な事態を招いてしまったのです。
父親は自分そのもの?
次にMさんが知ったのは “親と子の関係性のトリック” でした。そこで、彼は人生の時間軸がひっくり返るほどの衝撃を受けます。
実は自分の内面を父と母に映し出して見ていることを理解すると、“父母に愛してもらえなかった” という記憶が不確かなものになり、逆に両親の愛にはぐくまれて育った思い出がたくさんよみがえってきました。
また、それまで大きなビジネスに挑戦することなく万年サラリーマンで終わった父に不甲斐なさを感じ、見下していましたが、実は自分の無意識のコンプレックスを父に映し出していたのです。
そして彼は、その父が自分そのものであり、自分が陥っているパターンだと知ります。なぜ自分は成功しても結局すべてを失い、不甲斐ない人生に引き戻されていたのかについても納得できました。
そして、父が出張でたびたび家を空けていたために、自分の想いを聞いてもらえなかった母のことを思い出すと同時に、その母が、いま自分の目の前にいる妻と重なりました。
まさか妻が関係しているとは…
これまでMさんは、家にお金さえ入れていれば何をしていてもいいだろうと、家庭を顧みず外で好き放題やってきました。夫婦関係は最悪で、いつ離婚になってもおかしくない状態でした。
しかし、パートナー(妻)が、仕事やお金に非常に密接に関係していることを知ったとき、夫婦関係がうまく循環していないことが自分の仕事に大きく影響していることもわかりました。まさか妻が関係しているとは夢にも思わなかったそうです。
こうして、成功と失敗を繰り返す “反転のトリック” から抜け出し、両親へのわだかまりも消え、パートナーが仕事やお金の “鍵” を握っていることを理解すると、妻が彼に歩み寄って来ました。夫の変容ぶりを見て、ミロスのシステムを教えてほしいと言ってきたのです。
Mさんが基本の実践方法を妻に伝えると、さっそく面白いことが起こり出しました。仕事のことでも何でも妻に相談し、彼女が「そうね」と同意してくれるだけで思い通りに事が運ぶようになったのです。
また、時には、到底無理なことだと彼が思っても、妻がその制限枠を外し、彼がそれに同意することで、思いもしない形で具現化されていきました。
これは、“相手の中にも自分の意識が存在する” という仕組みに基づく実践ですが、夫婦の間の空間で互いの意見を混ぜ合わせていくことで、まるで男と女で子供を産み出すように、想像以上のものが生み出されていったのです。
本当の成功者に
ミロスを知って間もない頃、Mさんの中から湧き起こってきた「このシステムを多くの人に伝えたい」という想いは、すでに講演依頼が入るなどして具現化していました。さらに、その意志も妻にシェアするようになると、思いもしないところから、とてつもなく大きな仕事が舞い込んでくるようになりました。
妻との体験を通して、過去の成功は、男だけの片側のエネルギーでつくられた幻想にすぎなかったこと、パートナーと実践することによって、失うことのないものが創造されること、そして、どこまでも自分たちの可能性が拡がっていくことを実感しているそうです。
過去の彼にとって、仕事は自己価値を得るための道具であり、同時にその道具に人生をもてあそばれていました。しかし、今では、本当に心から仕事を楽しんでいます。
そんなMさんに出会う人は、以前に彼が親友に救われたように、人生を再生させるチャンスをつかんでいます。本当に自分の “存在” として輝ける仕事に出逢えること、これが本当の成功者ではないでしょうか。
(終わり)