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この世の成功に潜むトリック 【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.24


Introduction

強烈なコンプレックスをバネに音楽の世界で成功したひとりの女性の体験をもとにして、この世の成功に潜むトリックを紐解いています。

前回の配信では、自分の目指していた成功を手に入れたはずなのに、一番欲しい “自己への評価” が得られない、多くのファンから支持され人気者になっても自分の中は空虚でしかなかったというところまでをお話しました。

“成功すれば幸せになれる”という彼女の成功神話は、見事に打ち砕かれていきます。ハングリー精神で頑張っていた頃よりも成功した今の方が欠乏感は大きく、その大きな闇に飲み込まれそうになりながらもプラス思考で前に進もうとする彼女を、運命は容赦なく襲います。

彼女はどうやって負の連鎖から脱出していくのでしょうか。後半のはじまりです。

『この世の成功に潜むトリック』

プロ意識は恐怖から

オンステージの華やかさとは裏腹に、Aさんの心は光を失っていきました。心の闇を払いのけようと、さらに上を目指して進もうとした矢先、妊娠が発覚します。音楽活動はここからが勝負という時。交際していることも隠さなければならなかったAさんは、好きな人の子供を授かったのに喜ぶことができません。そして、彼女は音楽一筋に生きていくというプロ意識で堕胎を決意したのです。

しかし、彼女のプロ意識は、音楽を愛する想いというよりも、ファンを裏切ることへの恐怖、誰からも見放されるという恐怖、人気を得た自分への執着、関係者に迷惑をかけることの怖さでした。結局は、“自分の存在価値” を失うことへの恐怖や孤独を感じるのが怖くて、自分の感情を遮断し、プロ意識にすり替えてしまったのではないでしょうか。

想像以上の苦しみが

堕胎の精神的ダメージは想像以上に大きく、その行為への罪悪感からAさんはさらに自分を否定し、精神状態は不安定になっていきます。恋人とも距離が生じ、音楽活動にも支障をきたし、全てのオファーを断るようになり、結局、関係者に多大な迷惑をかけることになってしまったのです。そして、音楽に自分の価値を見出せなくなったAさんは、今度は男性に認められることで自分の価値を感じるようになっていきます。

依存から自立へ

しかし、コンプレックスをバネにした前回の成功と同じく、欠乏感から求めたものは最終的に欠乏感で終わります。男性に一心に尽くした結果、利用され、お金を騙し取られて借金地獄の毎日が始まったのです。それでも、この時はまだAさんはトリックを知りません。男性に依存して失敗した自分を嫌い、自立に傾いていくのです。

成功の “対” が失敗であるように、依存の “対” は自立。実は、Aさんはこれまでも依存と自立を繰り返してきました。始まりは子供時代。喧嘩ばかりの両親を嫌い、親に甘えることができなかったAさんは依存に失敗します。親の愛を充分に感じることができなかったことで生じた欠乏感をバネにして音楽で成功し、自立しますが、欠乏感は埋まらないまま。もっと活躍すれば幸せになれると信じて今度は音楽に依存します。

しかし、音楽活動ができなくなったことで依存対象は男性に変わります。一時的に満たされた気分にはなれましたが、またすぐに欠乏感が顔を出し、愛を渇望するあまり相手の言いなりになります。依存に失敗したのです。このように、依存と自立を繰り返し、どちらも失敗してきたことで巨大化した欠乏感をバネに、またAさんは自立に傾いたのです。

今度は依存者が現れる

自分が自立者を演じれば、必ず目の前に依存者が現れます。これがこの世の “関係性” です。手に職をつけて生計を立てることで自立したAさんに、“ヒモ” が転がり込んできました。

最初は相手に頼られることで自分の価値を感じて満足していましたが、依存されるということは、言い換えれば、依存されることで相手から支配されるということです。次第に息苦しさを感じていき、いつになったら幸せになれるのだろうかと途方に暮れ、精神世界にはまっていきました。

精神世界を勉強して “善” に傾き、過去を忘れようと仕事に没頭する日々。そんな中、当時交際していた男性の仕事が業界で認められ、Aさんはプロポーズをされます。ちょうどその頃、彼女の方も仕事が波に乗り、サロンを開業するまでになっていました。

「今度こそ本当に幸せになれる」そう思った時、恋人が自殺しました。

いままでの人生を俯瞰できるように

「私の人生は呪われている…」一人で生きる力も無くなり寝込む日々が続きました。そして、ある日、空を見上げて言いました。「この真っ暗な箱の中から私を出してください! この世界の真実が知りたいのです!」

すると、翌日、友人からの電話をきっかけに、“この世のトリックとシステム” に触れることができたのです。人生のどん底に着地したAさんにとって、“光と闇は同じもの”という内容は非常にショッキングなものだったのではないでしょうか。

しかし、光も闇も体験し尽くしたAさんだからこそ、従来の概念にはないシステムを受け取ることができたのかも知れません。今、Aさんは自分の人生を “システム” で完全に紐解き、この世のトリックの中で起きた体験を完全に俯瞰できるようにまでなりました。

新たな人生へ

両親を嫌い、自分を嫌い、その強烈なコンプレックスをバネにして頑張っても、この世界は自分の中が外側の世界に映し出される鏡の世界。仕事にしても、異性関係にしても、お金にしても、彼女が自分を生きるためにバネにした “彼女自身のダークサイド” が映し出されます。

欠乏感、不足感、劣等感、執着、憎しみ、絶望…自分の中にあるものが、音楽活動の停止、堕胎、ノイローゼ、共依存、裏切り、借金地獄、自殺、という事象に現れていました。結局、Aさんは自分の影につぶされてきたということです。

この世の真実(システム)を知り、真っ暗な箱から脱出できたAさんは、現在、ゆるぎない安心感、安堵感の中で自己の価値を感じ、新たな人生を歩んでいます。システムを知れば必ず人生は変えられます。Aさんにとって、あの壮絶な過去も、今では “貴重な財産” に変わったのです。

(シリーズ終わり)

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