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乳癌体験を通して観えた、新しい生き方

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.202


Introduction

癌は、長年日本人の死因第一位を占めている国民病です。発見時に進行している場合はもちろん、早期発見できた場合でも、癌の持つ怖いイメージから向き合うことができない人は少なくありません。医療がどんなに進歩していても、患者の精神的な負担を取り除くことは容易なことではありません。

今回ご紹介する実証例は、乳癌を受け入れられず長い間放置した結果、もうどうにもならない状態になったある女性(Uさん 50代 広島県)が、ミロスシステムの実践により、今までの生死観を超えた新たな生き方を見つけた体験です。

『乳癌体験を通して観えた、新しい生き方』

乳がんを体験したUさん

「昨年、乳癌と向き合おうと決めてから10か月間、泣きじゃくった日もありましたが、同じ分だけ笑ってきました。明日死んでもいい、一瞬で死ねたらどんなにいいか…そんなことばかり考えていた私が、今は大きな傷跡さえも愛おしく、誇らしく思えます」

そう言って笑うUさんは、今、心から人生を楽しんでいます。しかし、以前は死への恐怖や薬物療法への抵抗感から、病気を受け入れることができず逃げ回っていました。そんな彼女が病気とどう向き合い、ここまで変われたのでしょうか。

病気から逃げてしまい・・・

Uさんが乳癌の告知を受けたのは今から約二年半前のことでした。本当はもっと前から右の乳房に違和感を感じていましたが、恐怖や不安が先に立ち、診察を受けることができずにいたのです。

彼女は告知される前にミロスシステムに出合っていましたが、当時の彼女にとってミロスは精神的なストレスから逃れるためのものであり、理解もまだ浅く正しい実践もできていませんでした。

ミロスに出合えたから“癌は必ず消える…”とプラス発想に傾き、医師の治療も断りました。そして、病気から逃げているうちに月日が経ち、胸の形は変形し、もう放ってはおけない状態にまでなってしまったのです。

乳がんと向き合うことを決意

ちょうどその頃、私の講演会に参加し、自分の恐怖心から逃げている限り現状は変わらないという“仕組み”を知ったUさんは、ようやく乳癌と向き合うことを決意します。彼女は、ミロスシステムに基づき自分の中に潜む恐怖を観ていきました。

予約が難しいと聞いていた乳腺外科部長の診察を、紹介状もコネもなく受けることができ、治療方針を決めるために全身を再度検査しました。結果を聞くまでの間は正直、不安でたまらなかったそうですが、その自分を客観視することで、病を恐れ良い結果を期待していることや、期待した分、不安が大きくなるメカニズムの中に自分がいること、そもそも病気を否定的に捉えること自体が“高次元の仕組み”に当てはめるとナンセンスであることを実感していきました。

そしてこれまで何度も聞いてきた、すべての要素が“プラス”と“マイナス”で成り立ち、その相反する両極が常に同じ大きさで同時に存在しているというこの世界を俯瞰する“まったく新しい視点”を感覚的につかんだ彼女に、これまでとは違う体験が始まり出したのです。

ありのままの事実を受け入れた

検査結果は“ステージ4”でした。以前のUさんなら、恐怖でパニックを起こしていたかもしれません。しかし、もう病気をマイナスとして捉えることもなく、もう片方には同じ大きさのプラスが同時に存在していることがわかる彼女は、「あ、そうですか」と自分でも驚いたほど落胆することもなく、ありのままの事実を受け入れることができました。

それからの入院生活は、涙あり、笑いありの喜劇のような毎日でした。腫瘍が大きくなりすぎて手術ができないため、まずは抗がん剤で小さくする化学療法から始まりました。

やはり抗がん剤治療は辛く、痛さと恐怖から泣きわめくこともありました。しかし、その状況を俯瞰するもう一人の自分が、「いい年して子どもみたい」と笑います。

髪が抜け、眉毛やまつ毛が抜け、全身の毛が抜けてしまっても、俯瞰している自分が「眉毛ないとこわーい」「人相ワルーイ!」と笑うのです。

トイレに行けずお漏らしをして、ひとしきり泣いた後も、「まだ紙オムツは早すぎる!」と笑えたと言います。

不安や恐怖から感情が噴き出すことはあっても、その感情に流されることはなく、何があっても事象に右往左往することはありませんでした。

無事に手術は終わった

そして、ようやく手術の日程が決まり、“右乳房全摘手術”になることを知らされた日、本来なら医師から励まされる側の彼女が、逆に「頑張るのは先生の方だよ」と医師を励まし、診察室が笑いに包まれるほどリラックスした状態でいられたのです。

無事、手術は終わり、執刀医の「OK!問題なし!」の声にUさんは安堵しました。指一本動かすことのできない自分を大切に扱い、笑顔で見つめてくれる病院関係者や家族の笑顔を見た時、体の奥からあたたかいものがあふれ、言葉で言い表せないほどの幸福感に包まれたそうです。

“病”をつくり出した無意識の感情

そして、退院後、病院へ行く回数も次第に減り、彼女は穏やかな日々を送っていました。ところが、ある日突然、思いもしない感情が噴き出してきたのです。

「寂しい…。何もすることがない、やりたいこともない、これじゃあ生きている価値がない」「こんなに寂しいなら、もう一度病気になりたい…」

Uさんは、自分の言葉に一瞬ギョッとしました。しかし、その時、心の奥底に隠れていた“寂しさ”をじっくり味わえたことで、自分の存在価値を感じられない強烈な寂しさが“病”という事象をつくり出し、“私はここに居る”ことを表現していたことを知りました。

そして、その感情は先祖代々、女性に引き継がれてきた無意識の感情でもあったのです。実はUさんの母も祖母も子供を亡くし、強烈な寂しさと、母として子供を救えなかった無価値さを抱えて生きていました。その遺伝してきた運命も、今回のUさんの体験を通してリセットされたのです。

こうして、Uさんは自分の命の源から新しく生まれ直すことができました。

“無自覚な生き方”から抜け出したUさん

彼女が恐れていたものは癌ではなく、自分の中に潜む“恐怖を観ること”でした。そして、“新次元の視点”から観る世界には何も怖いものはなく、逆に、今までの“無自覚な生き方”から抜け出し、新しい生き方を手に入れることができたのです。

無価値感に囚われていた彼女は、もうどこにもいません。Uさんは乳癌体験に感謝し、乗り越えた自分を誇りに思い、同じ悩みを持つ多くの人のために自身の体験が役立つことを望んでいます。自分でなければ体験できないこと、自分でなければ表現できないことを知り、オンリーワンの存在のすばらしさを楽しんでいます。

(終わり)

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