結婚を約束したカップルにとって、もうすぐ始まる新生活を語り合うのはとても楽しいものです。愛する人と憧れの家庭を一緒に想像し、いろんなことに夢を膨らませて結婚生活はスタートします。
しかし、結婚するとどうなるでしょうか。結婚生活の現実に、二人で思い描いた夢もいつしか色あせてしまいます。
世の中の多くの人は、“結婚とはそういうものだ”と思っていますが、実は夫婦の関係性には、男と女がはまり込んでしまうトリックが隠れていたのです。
今回ご紹介する実証例は、そのトリックを見破り、最初の頃の二人の夢を開花させていったある夫婦の体験です。
『無意識がつくりだした価値観の落とし穴』
アートで生きよう
T子さんの夫は美術の教師をしながら、絵を描いていました。たまに出品したコンクールで入選することはあっても、画家としてはなかなか日の目を見ませんでした。
このご夫婦は、大学の同級生で、共に美術を専攻していた仲間でした。結婚したての頃は、「アートで生きよう」と夢を語り合い、二人の未来は希望に満ちあふれていたそうです。
次第に夫婦関係に溝が…
しかし、夫の仕事が忙しくなり、すれ違いの生活が続き、次第に夫婦関係に溝が生まれていったのです。
そして、子供が産まれ、姑との同居が始まり、毎日、同じサイクルで暮らすことにT子さんは切なさを感じるようになっていきました。
そんななか、嫁姑問題が勃発し、どんどん負のスパイラルにはまり込んでいった彼女は心身ともに病に冒され、生きていることさえ苦しい状態に陥ってしまったのです。
そんな彼女に一縷の望みを与えたのがミロスプログラムでした。これしかないと思い、本格的に学ぼうとしますが、夫は承諾してくれませんでした。
本当の人生を二人で歩みたい
しかし、知れば知るほどもっと理解を深めたいという欲求が高まり、ある日、意を決して夫に打ち明けたのです。
「あなたを通して本当の自分を知りたい。そして、本当の人生を二人で歩みたい。そのためにシステムを知りたいの」
思いがけない妻からの熱い告白に、猛反対していた夫もすっかり変わってしまいました。いろんな面で協力してくれるようになり、T子さんは夫との関係性についてもうまくいっているように思っていました。
夫婦は無意識に主導権争いをしている
しかし、ある日、私の講演会の中で、彼女は“隠れた自分の本音”と“衝撃のメカニズム”を知ることになったのです。
『夫婦は無意識に主導権争いをしています。相手よりも自分のほうが優位に立ちたいと思っているのです。一見、パートナーに協力的に見えても、絶対に相手が成功しないように、あなたの無意識は必死にくい止めています。あなたの表層意識よりも無意識の力のほうが強く、その無意識が反転して現状をつくり出しているのです』
このメッセージを聴いたとき、“夫を応援する良い妻”という仮面に隠れた無意識の自分がはっきりと見えたそうです。
「活躍して欲しくない。私よりも上になって欲しくない。すごくならなくていい…」
つまり、彼女の無意識が“努力しても報われない夫”の状況をつくり出し、彼女自身の足も引っ張っていたのです。
そして、この無意識の主導権争いは自分たちだけではなく、先祖代々続いてきた男と女の関係性であることにも気づくことができました。
あなたを世界に出す
T子さんは、自分の無意識を認め、それがどんな世界をつくり出していたのかを理解しました。すると、今までチャンスを奪っていたネガティブなものがリセットされ、今度は、眠っていた創造性のスイッチが入ったように状況が変わっていったのです。
まず彼女は、素直に夫に謝りました。そして、裏も表もない自分の中から湧き起こる強い意志を彼に伝えました。
「私はあなたを世界に出すと決めたよ。そのプロジェクトが発動したよ!」
そう宣言した直後から、思いもしないところで嬉しいご縁がどんどん繋がっていきました。本当に、世界に出るプロジェクトを感じさせるような出来事が起こり始めたのです。
夫を応援してくれる人が現れ、レベルの高いコンクールで入選し、さらにその絵が日本の最先端の建物で開催される展覧会で展示されることが決まったのです。生き生きと輝きだした夫がこう言いました。
「君のおかげだよ。ようやく自分の人生が始まった気がするよ」
それはT子さんも同じでした。そして、彼がコンクールに出品した作品を見せてもらうと、なんと、そこには一番好きなことをしている等身大の彼女の姿が描かれていたのです。
夫がどんな気持ちで自分をモチーフに選び、何を想いながら描いていたのだろうかと考えると、胸がいっぱいになったそうです。
そして、自分も夫と共に創造していたことを感じ、その創造物が大舞台で日の目を見ることに、ミロスプログラムにあるパートナーシップの凄さを感じずにはいられなかったそうです。
夫婦で広がる創造
今、ご夫婦の創造はどんどん広がっています。それは、昔、二人で語り合った「アートで生きる夢」でもあり、二人に繋がる先祖たちの夢でもありました。これからも男と女の高次元のパートナーシップにより、二人が持っている才能が混ざり合い、最高の形で具現化されていくことでしょう。
(シリーズおわり)