何か気に障るようなことがあると猛烈に怒りだす夫、ヒステリックに子どもに叫び声を上げる母親、反抗的でキレやすい子ども…。
どうしてそこまで怒るのか?と思うほど、感情的になる家族に悩んでいる人は少なくないと思いますが、実はその怒りの原因は、今起きている出来事ではなく、本人にもわからないものが意識の奥に隠れていることが多いのです。
今回ご紹介する実証例は、怒り出すと歯止めがきかなくなる夫に思い悩んでいたある主婦(Yさん 40代 東京都)が、ミロスシステムでその怒りの根源とメカニズムを知ったことで、夫から嘘のように怒りが消え、家系に代々繰り返されてきた負の連鎖までも断ち切ることができたという体験です。
『怒りの根源を知り、家系に繰り返されてきた負の連鎖を断ち切る』
夫の怒りの原因
ほんの些細な事でも気に入らないことがあると激高し、歯止めがきかなくなる夫。どうしてそこまで怒るのか、全くわからないYさんにとって、夫は自分を苦しめる存在でしかありませんでした。
しかし、ミロスシステムに出合い、夫の怒りの原因は、今起きている出来事ではなく、本人にもわからないものが意識の奥に隠れていることと、自分も同質の怒りを持っているというショッキングな仕組みを知ります。
普段から感情的になることのないYさんは、まさか自分の中に、夫に見るマグマのような怒りがあるとは思えませんでしたが、一体どこからくる怒りなのか、じっくりと見つめていくことにしたのです。
ミロスシステムを学んだ動機
そもそもYさんがミロスシステムを学び出した動機は、苦労の絶えない人生に終止符を打つためでした。
子どもの頃から終わらない両親のDVや、自身の家庭に起こる様々な問題や悩みを完全に終わらせるには、それをつくり出している自分の意識を紐解き、生き方を根源から変えていくことができるミロスシステムの理解以外にはないと感じたからでした。
そんななか、ある日、Yさんは実母から自分の出生にまつわる話を聴くことになりました。
今まで、娘(Yさん)が幸せになれないのは私のせいだ・・・と思っていた母が、ミロスシステムで変化していく娘の様子を見ているうちに、お墓の前で懺悔しても、過去の過ちを悔いて神に祈っても何も変わらない。それよりも、自分の生き方を正すことが何よりの先祖供養と子孫繁栄につながることを感じたからこそ、話し出したことでした。
実母の告白―
「あなたを妊娠中つわりがひどくて、1歳に満たないお姉ちゃんの世話はおろか、家事もできなかった。そんな私に、お父さんは毎日のようにこう言ったんだよ。飯も作れないなら、明日、子どもをおろしてこい!と…」
祖母の助けもあり、なんとか無事出産することができましたが、母は夫の心無い態度を許すことはできませんでした。そして、Yさんが小学1年生の時、父と外出中に自動車事故に巻き込まれ重傷を負った時、母は「ほれみたことか」と父を責めたのです。
それ以外にも、父の落ち度を見つけては、心の中でほれみたことかと復讐の快感を得ていたのです。それは、母が一番Yさんに聴いて欲しかった懺悔の告白でした。
そして、この実母の話を聴いた時、Yさんが義母(夫の母)からよく聞かされていた話と重なり、自分と夫が全く同じ怒りを持っていることを知っていくのです。
義母の話―
本家の待望の跡取りとして生まれた息子(Yさんの夫)を、祖父母に取り上げられたような形で育てることができなかった義母は、息子に悪い事が起こるたびに「ほれみたことか」と、全面的に祖父母のせいにしていました。
息子が風邪をひけば、「お祖母さんが薄着させたからだ」友だちと喧嘩をすれば、「甘やかされて育てられたから、我慢ができないのだ」と、息子(Yさんの夫)に言っていたのです。
同じ悲しみを持っていた母たち
Yさんは、夫婦それぞれの母が、同じような苦しみを経験していたことに驚きました。そして、子どもを愛しているのに、憎い相手に復讐するために、子どもに悪い事が起きることを望んでいたという歪んだ心を観たのです。
そんな母たちに感じたものは、『相手に落ち度があることで、自分の正しさを主張し、そうすることでしか自分を存在させることができない女性の悲しい生き方』でした。その生き方はYさんにもしっかりと受け継がれていました。
両親と同じような夫婦関係
幼い頃から両親の愛情を感じられなかった上に、母の怒りのはけ口にされ、父と離婚できない理由も、父から殴られる原因さえも「あなたのせいだ」と母に言われてきたYさんは、決して母のような女性にはなるまいと、怒りや悲しみを心の奥底に追いやり、感情を封印して生きるようになっていました。
しかし、母を反面教師にして、理想の妻像、母親像を思い描き、父とは真逆のタイプの男性(現夫)と結婚しますが、結局、両親と同じような夫婦関係を体験していました。
そして、母たちと同じように、激しく怒る夫を“悪”とみなすことで、彼女は良い妻、良い母でいられたのです。
夫と同じ怒りを持っていた
一方、夫は、祖父母に可愛がられて育ったものの、息子をとられた母の祖父母への怒りや悪口を通して、自分も母に否定されているように感じていました。そして、今、目の前にいる妻(Yさん)に、自分をまったく理解してくれなかった当時の母が重なり、怒りが噴き出していたのです。
こうして人生を紐解くことで、Yさんは、自分と夫が全く同じ怒りを持っていたことを理解することができました。目の前で怒り狂う夫は、本当は「愛して欲しい」「わかって欲しい」と叫んでいる自分の姿だったのです。
自分にはまったく怒りはないと思っていただけに、この事実は衝撃的でした。しかし、夫のお陰で、自分の中にあった無意識の怒りを終わらせることができたのです。
“男と女の悲しいドラマ”が終わる
その日、家に帰ると、家の中の空気が温かく柔らかいものに変わっていました。今までは夫がいるだけで緊張感が漂っていましたが、その夫からも、その日から怒りがまったく消えてしまいました。
Yさんが怒りの根源を見つけ出し、終わらせたことにより、先祖代々、繰り返されてきた“男と女の悲しいドラマ”も、もう終わりです。
Yさん一人が生き方を正したことで、夫が変わり、先祖や子孫にまで影響を与えていくのです。ミロスシステムによって起こる人間の変容は、個人レベルではなく、その人に関わる人たちの人生までも変えていくのです。
(終わり)