うちの家系は離婚が多い、親子の確執が絶えない、男性が働かない、子供が育たない等々、各家庭には多かれ少なかれ代々続く課題があるものです。今まで、それを宿命やカルマなどと呼び、どうすることもできないものだと思われてきました。
しかし、そこには人間が知らない “仕組み” があったのです。
今日ご紹介する実証例は、どんなに頑張っても報われない人生を生きていた女性(Nさん)が、ミロスシステムに出会い、人生に対する疑問の答えを自分の中に見出していくことで、“家系のパターン” をリセットし、人生を再生させた体験です。
『親から子へと引き継がれる “関係性の連鎖” を超える』
頑張っても報われない
頑張っても頑張っても、報われない… それがNさんの人生でした。
「どうしてこんなにも苦しいことばかり続くのだろうか…」
自分の人生に対する恨み、悔しさ、悲しみ、あきらめ、そして、助けて欲しいという思い…いろんなものが混ざり合った感情と、どこにぶつけていいのかわからない疑問で彼女の心は張り裂けそうでした。
家事と育児と仕事と
当時のNさんは、夫が会社勤めをやめて起業したものの、事業をなかなか軌道に乗せることができず、彼女が家系を支えるために働きに出ざるをえない状況にありました。仕事をしている間、生まれて間もない次男とまだ幼い長男を保育所に預け、家に帰れば家事と育児、翌日の準備…と、休む間もなく忙しい毎日を過ごしていました。
なにより辛かったのは、子供の側にいてあげられないことでした。なぜなら、彼女自身、乳児の頃より保育所に預けられ、寂しい想いをしていた経験から、自分が母親になったら子供には同じ想いをさせたくないと思っていたからです。
しかも、長男も次男もアレルギー性の皮膚炎を患っていたので、後ろ髪を引かれる思いでした。毎日泣き叫ぶ次男、寂しそうな長男を見ると、申しわけなさと罪悪感でいっぱいになりました。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、夫は家にいることが多く、一家の主としての責任感は一切感じられませんでした。自分だけが苦労しているように思え、すべて夫のせいだと思うと憎しみが湧き、“離婚” という二文字が頭に浮かぶようになっていました。
寂しい想いを抱えていた子ども時代
しかし、どんなに苦しい状況でも、なぜそうなってしまったのか、その “仕組み” を知ることでリセットすることができます。Nさんは、人間の内面の無意識が表に反転し、目の前に映し出されるという仕組みを知り、その観点から自分のなかに答えを見出していきました。
彼女の家系は、祖母、母、Nさんの三代にわたって看護師をしていました。Nさんが生まれた頃は育児休暇制度もなく、彼女の母は乳児のNさんを保育所へ預けて職場に復帰しました。
昼間は仕事に出かけ、帰りは夜。Nさんの学校の行事も親戚の叔母が参加していました。Nさんは、側にいて欲しいときに母がいないことで、いつも寂しい想いをしていました。また、父は夜勤をともなう仕事をしていたため、家族全員がいつも揃うという家庭環境ではありませんでした。
普段、親との関わりが少ない分、自分のほうを向いて欲しくて、親に認めてもらうにはどうすればいいかと考えてばかりいました。
自分の気持ちがわかない
そうやって親に合わせているうちに、彼女はどんどん主体性を失い、自分の気持ちさえわからなくなっていきました。
そして、親に甘えたい気持ちを我慢し、逆に、忙しい母を困らせてはいけないという子供心から、何でも自分でできるようにと自立に傾いていったのです。
母から言われた言葉に傷つき
母を求める想い、寂しさ、甘えられない不足感…そんな感情を抱えていた彼女は、ある日、母からこう言われました。
「お母さんは正社員で働いているから、あなたを育てているのは婆ちゃんだね。お母さんは産んだだけの親でしかないね」
その時、彼女は “母から愛情を注がれていない” と思い込みました。そして、その誤った思い込みから母を見るようになり、自分を愛してくれない親、愛されない無価値な自分という否定的な世界をつくり出したのです。その結果、憎しみや寂しさというマイナス的な感情をバネに、習い事や資格取得など、自分の評価につながるものを求めていきました。
出合う男性は頼りない人ばかり
就職先を決めるときも、祖母や母に認められたくて看護師になりました。しかし、周りの人たちの志の高さに尻込みし、自分の動機の浅はかさを恥じ、それをバネにして仕事のスキルアップのために猛勉強をしました。
しかし、彼女を動かしているのは不足感や欠乏感、自己評価の低さです。それが表に反転し、映し出される世界の中にいるため、頑張るほど空回りしました。異性関係でも、なぜか出合う男性は頼りない人ばかりで、今の夫も家族を養う力がありません。
しかし、これも “仕組み” になっているのです。
子供時代に親に甘えることを我慢したNさんは、その想いを自分の奥底に追いやり、自立に傾いて生きてきました。つまり、彼女が目の前の異性や夫に感じているものは、自分の無意識に隠した “依存心” であり、実際に依存者を引きつけてしまうほど無意識は力を持っているのです。
繰り返される自立と依存のパターン
また、父と母の関係性を子供が引き継いでしまうという “仕組み” より、両親や祖父母の関係性を見ていくと、代々続いているパターンも見えてきました。
祖母は、祖父が戦死したため、子供を女手ひとつで育てました。そのため、母も子供時代に寂しい想いをし、必死に働く母(祖母)の気持ちがわからず、親子間に生じた誤解のなかで憎しみ合ってきました。
また、母は、父(祖父)が戦死し、貧しい子供時代を過ごしたため、自分の子供には裕福な暮らしをさせたいと思い、正社員で35年間勤め上げたのです。
親に甘えられない状況の中で自立し、バリバリ働く母と結婚したNさんの父は、母から下に見られていたのではないでしょうか。その関係性を引き継いだNさん夫婦も、自立と依存の関係性のトリックにはまり、妻が夫を蔑んでいました。
女性の悲しみの連鎖
そんな夫婦の関係性が繰り返されるなか、女性の悲しみも連鎖していました。
子供を失うことの悲しみ、充分に愛情を注いであげられないことへの罪悪感、子供との間に生まれた距離感、確執、夫に頼れないことで頑張らざるをえないことも女性の悲しみでした。
こうして紐解くことでNさんが衝撃を受けたのは、仕組みを知らなかっただけで “誰も悪くなかった” ということでした。内面の無意識にある不足感、欠乏感、罪悪感が表に反転した現象を見て、それに対してまた否定的なことを思うことによって、代々続いてきた悲劇のドラマが繰り返しているとは思いもしませんでした。
女性・男性の苦しみを理解
そして、女性の苦しみを俯瞰できたとき、苦しかったのは女だけではなく、男もその関係性のなかで苦しんできたのだと理解できました。すると、Nさんの状況は一気に変わっていきました。
二人の子供のアレルギー性皮膚炎が同時に、しかも一瞬にして回復し、夫に思わぬところから仕事の話が舞い込んできたのです。
“仕組み” を知ったことにより、過去に体験した出来事も、完全にリセットするために必要だった体験に変わりました。Nさんは “反転の起こらない新しい人生” を歩み始めたのです。
負のループを断ち切る
いかがだったでしょうか。反転のトリックの中で、繰り返すうちに反転のうねりは大きくなり、子孫へ行くほど現象は複雑化し重症化していきます。しかし、現在に生きているあなたが気づくことで、今、連鎖する負のループを断ち切ることができます。
すべてを知ってあらゆる関係性を超えて生きるのか、知らないまま宿命に流されて生きるのか…どちらを選ぶかによって、人生は全く違ってくるのです。
(終わり)