近年、ひきこもりやニートなど、学校や社会の中で自分の生きる場所を失った若者が増え、“若者の難民化”が深刻な問題になっています。
このことは個人にとっても、社会にとっても望ましくない状態を生み出すことから、教育や労働など多方面で様々な努力が続けられていますが、自分の生き方が定まらず、人生をさまよう彼らを立ち上がらせるには、社会の仕組みを整えると同時に、彼らが本来持っている“生きる力”を呼び覚ますことがとても重要になってきます。
そこで今回ご紹介する実証例は、人生に閉塞感を感じていたある若者(Kさん 男性 20代 広島県)が、ミロスシステムに出合い、自分の根源である両親に感じるものを通して自分を知っていくことで、自らの力で“生きる力”を呼び覚まし、人生を切り開いていった体験です。
この実証例が、人生に希望が持てないという若者にとって、生き方を変えるきっかけになれば幸いです。
『若者の難民化を防ぐために、“生きる力”を呼び覚ます』
僕はいったい何がしたいのだろう?
自分のことを好きになれない。自分を信じられない。本当の気持ちさえわからない。僕は、いったい何がしたいのだろうか、どう生きたいのかと、自分に問いかけても、思考の深みにはまるばかりで精神的に参っていたというKさん。
大学を中退して目指した演劇の道も、こころざし半ばであきらめ、今は地元の某自動車メーカーで働いていました。
人間関係も仕事も、いいところまでいくのに長続きせず、何に対しても自分の意思というものを感じられない彼は、「こんな人生に価値はあるのか?生きる意味はあるのか」と思っていました。
ミロスシステムとの出合い
そんななか、あるブログのタイトルに彼は心を掴まれます。
『~人は誰でも自分のために生きられるようになっている~』
それは、ミロスシステムを伝えているある講師のブログでした。
「本当の自分を知りたい!」「自分を好きになりたい!」
体の奥から湧き起こる熱い想いに従い、Kさんはさっそく当講師のカリキュラムに参加し、そこで新次元思考のシャワーを浴びていきました。
親を嫌いな人は、幸せにはなれない
彼が最初に飛びついたのは、「親を嫌いな人は、幸せにはなれない」という話でした。実際、父のことが大嫌いな上に、人生が思うようにいっていなかったからです。仕事も、人間関係も、恋愛も、結婚も…親を嫌っている限り、どれもうまくいかないという話に、努力ではどうにもならない法則的なものを感じたのです。
そして、両親に感じるものを、自分に内在する“男(父)と女(母)のエネルギー”として観る新しい見方に驚きますが、生物学的観点からみても、自分は父と母の遺伝子が融合して生まれた存在であることに納得し、また直感的にシステムに確かなものを感じたKさんは、自分を知るために、両親に感じるものを自分の内なるエネルギーとして観ていきました。
母については、昔から仲が良く尊敬もしていました。しかし、父のことは子どもの頃から大嫌いで、父に苦しめられる母を見てきたこともあり、男としても最低な人間だと思っていました。
そして、Kさんが16歳の時に両親が離婚し、それからもう何年も父とは会っていませんでした。
久しぶりの父との対面
その父に、“自分を知りたい”一心で、Kさんは連絡を取り出したのです。久しぶりの親子の対面だというのに、父はKさんに否定的な言葉ばかり浴びせてきました。本当に親子の縁を切ろうかと思ったほど怒鳴り散らされたそうです。
しかし、彼は、カリキュラムの受講時に聴いた、父に怒りや恐怖が噴き出した時こそ自分を知るチャンスであり、“どんなものもマイナスだけでは存在できない。プラスとマイナスが表裏一体している”という話を思い浮かべながら、父に感じるものを自分の内なるエネルギーとして観ていきました。すると、父の否定的な言葉の奥に、息子を心配する想いが感じられたのです。
父子の確執が溶けた
お父さんは、僕に自分の信じた正しさを必死で伝えようとしていたのか。そうか、たくさんのエネルギーを僕に使ってくれていたんだ!
そう気づいた瞬間、Kさんの中に父の愛が流れ込み、今まで抱えてきた父への怒りや嫌悪感が消えてしまいました。
さらに驚くことは、Kさんの目の前で、さっきまで散々、息子を子ども扱いして怒鳴っていた父が、突然、「まるで俺の方が子どもみたいだな…」と言い出したのです。
一瞬の出来事でしたが、二人を包み込む空気感がガラリと変わり、長年続いた父子の確執も溶け、見たことのない父が目の前にいたそうです。
自分の両極のエネルギーを受け取れる
そして、今までKさんは、無意識に父の嫌なところ-“感情的で、怒りっぽく、自分勝手で情けない”-を反面教師にして、優しく親切な人を演じてきましたが、父のもう片方の側面を感じると同時に、父に映し見ていた自分の両極のエネルギーを受け取れたことで、もう良い人を演じる必要性もなくなり、他人に合わせて生きていたことで失っていた自分の意思も取り戻すことができたのです。
その日以来、彼は父に抵抗感を抱くことがなくなり、父からも仕事のアドバイスや、思いやりのあるメールが届くようになりました。
職場でも変化が起こった
また、父との事で“相手に感じるものを通して自分を知る”面白さを体感し、このシステムに一寸の狂いもないことを確信した彼は、職場でも実践し、苦手な人がすでに別人のように変わっていたり、難しい顧客に電話をしても優しく対応してくれたりと、体験を伴い、自分の内なるエネルギーが目の前にドラマをつくり出していることを理解していったのです。
彼のその実践は、車のセールスでも成果を出し、カリキュラムを受けた月から売り上げが伸びはじめ、県内で1位の営業成績を上げました。ボーナスも入り、経済も回り出しました。
なによりも“自分を好きになれたこと”が一番の奇跡だというKさん。意志力がついてきたことを喜び、自分を知ることが楽しくてたまらないと言っています。
(終わり)