近年、自己肯定感が持てず、自分の良いところがわからないという人が増えています。自分のことを認めることができないと、他者を思いやることもできず、コミュニケーションがうまく取れないところから対人関係に問題が生じやすくなり、人生がうまくいきません。
そして、我々が生きている三次元と呼ばれるこの世界は、人間の内面の無意識が表に “反転” し、映し出されるという仕組みになっています。これまで人間はその仕組みを知らずに無意識の自己否定を目の前に映し、そこで感じたネガティブなものが、また新たな問題をつくり出すという負の連鎖の中で生きてきました。
しかし、その “反転” の仕組みを理解することで過去をリセットし、人生を劇的に変容させることができます。
今回ご紹介する実証例は、“反転のトリック” の罠にはまり、何十年もすさんだ人生に苦しんできたある女性(Kさん)が、ミロスシステムによって「なぜこんな人生になってしまったのか」を紐解くことで、自分の誕生にまで遡って過去をリセットし、新しい人生の一歩を踏み出した体験です。
『自己否定の闇を超えて~反転のトリックからの脱出』
私は穢れた存在
愛し合っていない両親から生まれた不完全な存在…。肉体だけの結びつきで生まれた穢れた存在…。これが、幼少期にKさんが自分に与えたアイデンティティです。
そして、この自己肯定感の低さから、“完全な存在” や “本当の愛” を求めますが、求めれば求めるほど逆に遠ざかっていきました。自分のことを “愛される価値のない存在” だと思い込んだ彼女は、“反転のトリック” の中で、その思い通りの人生をつくり上げていきます。
性への罪悪感
両親の性に嫌悪感を抱きながらも早くに性に目覚め、性的な快感を知ってしまった彼女は、同時にそんな自分に罪悪感を抱きました。悪いことをしているという後ろめたさ、親に知られてしまうことへの恐怖、その緊張感と不安感が逆に刺激になり、性への関心が高まります。
そして、一時的ではありますが、性で得られる快楽によって寂しさや心細さから逃れることができたため、次第に性に依存するようになっていきました。
しかし、彼女の性に対する嫌悪感が、性に依存する自分を否定します。そして、その無意識の葛藤がまた表に “反転” し、性への嫌悪感を強化し、自分を否定する出来事として現れたのです。
自分を誤魔化し良い子を演じた
まだ5、6歳だというのに、男性の性的な欲求に応えることで自分の欲しいものが手に入ることを彼女は知ってしまいます。この頃の性体験は、子供同士にありがちな出来事だったかもしれませんが、のちに彼女の人生を脅かす問題へと発展していきました。
歪んだ性に抵抗しながらも、満たされない心を紛らわせる麻薬のようになり、やめることができませんでした。
しかし、両親に迷惑をかけたくなかった彼女は、表向きにはそんな秘密があることを微塵も感じさせないほど、良い子を演じていました。
坂道を転げ落ちるような人生へ
そして、自分のマイナス的な要素を否定的な感情と一緒に無意識の奥に追いやり、感じないようにしていたことで、喜びや楽しさという感情も失っていきました。
スリル感に飽き足らなくなると、もっと強い刺激を求めて行為はエスカレートし、万引きや他の悪い行為にも手を染めるようになっていきました。Kさんは無意識の葛藤が表に “反転” し、映し出された世界にまた否定的なものを感じて…という負のスパイラルにはまり、坂道を転げ落ちるような人生を送っていたのです。
人間関係は滅茶苦茶、お金を稼ぐための“道具”として自分を使い、どんどん感情を切り捨て、色のない無機的な世界の中で生きていました。
反転のトリックを理解すると…
死も考えたそうですが、彼女の根底にある罪悪感は、それをも許してはくれませんでした。「死ぬことで楽になってはならない」と自分に十字架を背負わせ、死が訪れるまで “生きる苦しみ” を与えようとしたのです。
Kさんはミロスシステムに出会うまで、どうしてこんな人生になってしまったのかがまったくわかりませんでした。しかし、目には見えない “反転のトリック” を理解し、今度はその “反転の仕組み” を使って自分の人生を紐解くことで心の葛藤が消えていき、ついに彼女が求めていた “完全な自分” “本当の愛” に触れる日がやってきたのです。
“愛”の概念が変わった
それは、“命” というテーマについて学んでいたときでした。
彼女は愛のない父と母から生まれた自分を、不完全な人間だと思ってきました。しかし、ひとつの “命” は、親が愛し合っている、愛し合っていないに関係なく、父と母の性エネルギー(精子と卵子)が完全なバランスで “融合” し、誕生していることを知ったとき、その融合こそが “愛” だとわかったのです。
両親への愛を初めて感じた
そして、自分はたった一度きりしかこの世に生まれてこない “唯一無二の存在” であることを知った感動は、彼女の心の闇を一掃しました。彼女は、生まれて初めて自分の中に “完全な存在” を感じ、自分を愛するという感情を知ったのです。
同時に、彼女の中から初めて両親に対する愛と感謝があふれ出し、自分のジャッジが父や母の愛を見えなくしていたこともわかりました。
本来の自分で新しい人生へ
自分を苦しめていた自己肯定感の低さは、“両親をどう見たか” で自分がつくった “思い込み” だと理解したとき、「私は初めから何も欠けていなかったのだ!」という歓喜の声とともに、自分に与えていたアイデンティティが外れ、本来のKさんが現れました。
死に向かって生きるだけの人生は終わりました。失敗ばかりの人生に見えても、すべては “本当の豊かさ” を体験するための経験であり、無駄なものはなかったのです。
Kさんは、今、新しい人生を歩きはじめています。
(終わり)