自分は何者か～認識から生まれる創造性（プロセス）～

Rossco’s Eyes ～人生を俯瞰する視点～ Vol.263

Introduction

近年、各分野で活躍する若者たちが世間の注目を集めています。世界の大舞台で臆することなく最高のパフォーマンスで人々を魅了するアスリート。何万人もの観客を感動の渦に巻き込むエンタテイナー。突然変異したかのように、才能を一気に開花し、世界のトップクリエイターとして活躍する者…。

自分の好きなこと、「これしかないんだ」と思うものに全力を注ぎ、日々の実践の中で、未来につながる創造性（プロセス）を生み出している姿は、「自分は何者であるか」を知って生きているように自然体で余裕すら感じさせます。昔からスーパースターはいましたが、その生き方は大きく違ってきていることを感じずにはいられません。

誰にでも好きなもの、得意なことがあり、それはその人にしかない才能や感性ですが、それを磨き上げ、具現化する力は、やはり自分自身との信頼関係があってこそ生まれてくるものなのです。

今回ご紹介する実証例は、自分の好きな音楽で才能を発揮し、一時期、人気バンドとして世間の注目を集めますが、その後、多くのものを失うことになり、八方塞がりな状態から、ミロスシステムで“うまくいかないメカニズム”を知り、自分自身との信頼関係を取り戻すことで、再び音楽の道を歩み出し、本当の自分に寛ぎながら世界をも引き付けている、ある女性（Fさん 40代群馬県）の体験です。

『自分は何者か～認識から生まれる創造性（プロセス）～』

夢を叶えたのに…

大好きな“音楽をやっていく”と決め、高校を卒業してすぐに、夢を掲げて上京したFさん。精力的にライヴハウスで音楽活動を続けていくなかで人気が出だし、テレビやラジオに登場し、雑誌にも載るようになっていきました。

最初は、自分たちの名が世の中に認知されていくことが快感でしたが、次第に、メディア用に作られていく自分に違和感を抱いていきます。

オンステージの時は、何千人ものファンに歓迎され、満たされた気分になれても、オフになると、虚無感と孤独感に苛まれ、いつしか「音楽がなければ私は何の価値もない…」と思うようになっていました。

音楽の道をあきらめることに

“好きな音楽で思い切り自分を表現したい”という夢を叶えたつもりが、音楽をするために自分の想いや感情を閉じ込めなくてはならなくなっていたのです。そして、人気が上がれば上がるほど心の闇は膨らみ、そんな彼女に辛い出来事が次々と起こりました。

傷つき、心を閉ざし、大好きなギターにも触れることができなくなり、Fさんはとうとう音楽の道をあきらめざるを得なくなりました。

その後も、彼女いわく呪われたような人生が続き、心の世界にも答えを探しますが、やはり幸せを手にしてもそれは必ずこぼれ落ちていきました。どうしたらよいか全くわからなくなり、天にすがるような思いでいた時、ミロスシステムに出合ったのです。

意識のメカニズムを知る

Fさんは、すべての原因は自分の内面意識の奥にあり、その無意識が人生に様々なドラマを生み出していること。しかし、その意識のメカニズムを理解すれば、人生を再生していけることを聞いて驚愕します。

事実、以前の彼女を突き動かしていたものは、子どもの頃から心に蓄積していた反抗心や劣等感でした。喧嘩ばかりしていた両親、自分をいじめた学友たち…。惨めな自分を嫌い、自分を傷つけた人間を見返してやろうという強烈なコンプレックスをバネに、華やかなスターダムにのし上がろうとしていたのです。

負のパターンを繰り返していた原因

その結果、彼女は成功しても“この世の仕組み通りに”失敗に転じ、負のパターンを繰り返していました。自分が自分に対して強烈な無価値観や不信感を持ち、その自分自身との関係性が、様々な人間関係に現れ、悔しさ、挫折感、不信感を抱く出来事を生み出していたのです。

Fさんは、自分の内面意識が外側の世界に“反転し”、様々なドラマを生み出しているとはこういうことなのかと理解しました。そして、ミロスシステムは彼女に、全てのものは両極のエネルギーで成り立っていることを教えてくれたのです。

二極が合わさりエネルギーが生まれる

今までFさんは、自分のネガティブなものから逃げ、ポジティブに生きようとしてきました。

しかし、マイナスとプラスの二極が合わさってこそエネルギーが生まれること。実は相反する二つは、互いに補い合っている、なくてはならないものであることを知ります。良いも悪いもない全く新しい認識を持てた“視点”から、Fさんは自分を観た時、嫌なもの、好きなものと分けてジャッジすることなく、どちらも自分であるために必要なエネルギーだと感じられたのです。

その瞬間、自分の中からネガティブなものが一気に消え去り、今まで感じたこともないエネルギーがあふれ出してくるのを感じたそうです。

再びギターを手に

いつも何かに向けていた怒りは消え、自分の価値を下げるような思考に引っ張られることもなくなり、自分をまるごと愛し出したFさんは、好きなことを自分にさせてあげようと、再びギターを弾き、唄をうたい始めました。

洋楽のカバー曲を演奏する自分の姿をYoutubeにアップすると、突然、海外サイトのオーナーから直々に、「ジャンルを超え世界中のパフォーマーが集まるサイトに出展しないか」とオファーがありました。そして、Fさんの映像は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの各国でもアクセス数が伸び続け、間もなく年間チャート、アジアで一位に輝いたのです。