近年、従業員の心をケアするカウンセリング担当者を社内に常駐させる企業が増えていますが、その背景には、我が国の就労環境の深刻な問題があり、仕事や職業生活に強い不安や悩み、ストレスを感じている人の割合は、全労働者の60%にも上ると言われています。
しかし、職場のストレスの根源的な原因は、外的要因ではなく、実は自分自身との関係性にあるのです。
今回ご紹介する実証例は、ミロスシステムにより“自分と仕事の関係性”を紐解くことで、職場のストレスから解放され、生き方そのものまでまったく変わってしまったある女性(Hさん)の体験です。
『職場環境が一瞬で変わる実践方法』
仕事に対するネガティブなイメージ
「仕事は心身ともに消耗する辛いもの…。会社のために家庭や私生活を犠牲にするのはごめんだ」
仕事に対してネガティブなイメージしかないHさんは、これまで仕事を楽しんだこともなく、ただひたすら定時に帰ることだけを考え懸命に仕事をこなしていました。
しかし、ミロスシステムに出会い、“自分と仕事の関係性”を紐解くことにより、みるみる状況が変わっていったのです。
母を見て作り上げた“職業観”
まず彼女は、自分の“仕事に対する想い”が、子ども時代に見ていた“母の働く姿”からきていることを知りました。
子どもの頃、彼女の母は毎日のように夜遅くまで会社で働き、いつも疲れ切った様子で家に帰ってきました。管理職の母は、家に書類を持ち返ってまで仕事をすることも多く、Hさんから見れば相当過酷な勤務状況でした。
子どもながらに社長あてに何度も抗議の手紙を出そうと思ったほど、無制限に母を働かせる会社と、身体を酷使してまで会社のために働く母…。彼女が仕事に対してネガティブなイメージを持つようになったのも無理もありませんでした。
そして、そのイメージがHさんの中に刷り込まれ、今の彼女の“職業観”をつくりあげていたのです。
プラスとマイナスの両極の面
しかし、ミロスシステムに出会い、何事にもプラスとマイナスの両極の面があることを知ると、子ども時代には見えなかった母のもう片側の姿が見えてきたのです。
一般職の女子社員とは違い、管理職の母がスーツを着て颯爽と歩く姿や、男性社員と肩を並べて会議にも出席し、部下を指揮して華々しく活躍している姿を感じた時、Hさんの中から仕事に対するネガティブなイメージが消えていきました。
そして、まったく違う新しい感覚で物事が見えるようになった彼女に、今までの“職業観”を完全にリセットする出来事が起きたのです。
非常識なタクシー運転手
ある日、Hさんがタクシーに乗った時のこと。タクシーが走り出すやいなや、運転手が仕事の愚痴をまくし立てるように彼女に話し出しました。
身勝手で常識を知らない客に対する怒り、無能な上司への不満、そして、世間の人間はタクシー運転手を“人間扱いしない”など、溜まりに溜まった想いをぶつけてきました。
彼女は黙って話を聴いていましたが、内心、自分にとって都合の悪い客を悪者にしているだけで、客の立場になって考えることのできない運転手に苛立っていました。そして、客である自分に対し、日頃の鬱憤を晴らす運転手に、「あなたこそ非常識なのではないか! 私は客だぞ」と怒りも湧いていました。
しかし、彼の話をミロスシステムに当てはめて見た時、目の前の相手に自分の無意識の姿を映し見ていることがわかったのです。
無自覚な自分の姿だった
運転手は、客の常識のなさや理不尽な行為に腹を立てていましたが、自分もまったく同じ事を客であるHさんにしていました。
三次元では自分の中にあるものしか目の前の世界に見ない“仕組み”になっているのですが、人間は、自分で自分を見ることができないために、相手の行為には敏感でも、自分の行為には非常に鈍感なのです。
Hさんは、運転手を通して、自分も顧客の立場になって考えていないことや、職場の人間関係で上司や部下に感じる嫌なものこそ、無自覚な自分の姿であることを体感することができました。
自分自身に対して無意識にしている行為
そして、彼の言った“人間扱いされない”という言葉が、仕事との関係性を完全にリセットするキーワードになったのです。
人間扱いされない…それはまさに子ども時代に見ていた母の姿であり、彼女の仕事に対するイメージを象徴するような言葉でした。
しかし、Hさんが母や仕事に対して感じたものさえも、もともと彼女の中にあるものであり、驚かれるでしょうが、究極は自分自身に対して無意識にしている行為なのです。
充分な睡眠や健康的な食事、家族との時間を犠牲にし、仕事に縛られ、ふらふらになっていた母は、実は自分に対して人間らしい扱いをしていないHさんの姿でした。彼女には、自分に豊かな時間や生活を与えようという発想がなかったのです。
職業観が変わり生き方がリセットされた
そして、子ども時代に母を通してつくられた誤った職業観が、ストレスを感じる職場環境を生み出し、自分に対する無意識の抵抗感が映し出された相手と闘っていました。定時に帰るために少しでも仕事の効率を上げようと、逆に仕事にばかり意識が向かい、まったく心にゆとりのない生活を送っていたのです。
しかし、大元が自分自身との関係性にあったことや、仕事面に苦しみを生み出していた無意識を知れたことで、今までの生き方はリセットされました。
職場のストレスからも解放され、生き方まで変わってしまった彼女は、今、本当の豊かさとはなにかを知っていく新しい人生を歩んでいます。
(終わり)