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経済がまわる秘密は男と女にあった【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.18


Introduction

前回より2回にわたり、経済をテーマにして、人間がはまってしまう “この世のトリック” と “全く新しいシステム” をお伝えしています。前半では、地方の中小企業の経営者が極限の経営状態に追い込まれ、お手上げ状態になった…というところまでをお話ししました。

普通なら、会社の経営悪化の原因は「世の中全体が不況だから」「時代のニーズに合わなかったから」「他社との価格競争に負けたから」「コスト管理ができなかったから」…と色々と考えます。もちろんこのようなことも要因の一部ですが、実は私たちが考えもしないところにもっと根源的な原因があったのです。

また、経済がうまく回らなくなると夫婦関係も当然ギクシャクしてきます。実証例の夫婦も例外なく、夫はお金のことで妻に責め立てられているように感じ、妻は自分を避けるような態度をとる夫に苛立ちを感じていました。世間では “金の切れ目は縁の切れ目” と言いますが、実は逆で “縁が切れているから円(お金)が切れていく” のです。

そこで、後半の今回では、今まで経済とは直接結びつかなかった男と女の “縁”、つまり夫婦の関係性に着目し、全く新しい経済システムの秘密に触れていきます。

経済がまわる秘密は男と女にあった

増幅される葛藤

20年近く夫婦二人三脚で頑張ってきたAさん夫婦。会社でも家庭でも常に行動を共にし、大きな喧嘩をしたこともなく、自分たちはうまくいっていると思っていました。しかし、今から思えば、本当の意味では言いたいことを言い合えない関係性だったのです。会社の経理を担当している妻はいつも数字を気にし、経営者である夫に毎日こう言っていました。「これからどうしてやっていくの?」「どうやって売上を伸ばすの?」「来月の支払いはどうするの?」

“どうやって…どうやって…” という言葉に夫は常に責められているように感じ、その抵抗感から妻の話をまともに聴くことができません。一方、妻の方は自分の話を聴いてくれない夫に、「本当にどうする気なのよ!」とイライラが充満していたのです。

前回でも書きましたが、お金はその人の中にある恐怖やいろんな心の葛藤を増幅させます。そして、“結婚生活” ではそれが倍増します。なぜなら、自分一人の葛藤だけではなく、パートナーが持っているものと合わさるからです。一人では足し算だったのが、夫婦なら掛け算というように、増幅するエネルギーが違います。

抵抗感を放置すると

Aさん夫婦は表面上はオシドリ夫婦でしたが、自分たちの中にある恐怖や心の葛藤が “お金” というものを通して知らないうちに大きくなっていたのです。では、それがどう現象として現れるのかを分かりやすくするために、夫婦の関係性を私たちの “肉体の血管” に例えてみることにしましょう。

コミュニケーションが上手くとれず、互いに分かり合えないことで生じる抵抗感。それが塊となって血管内に蓄積されていき、だんだん大きなものになれば、血液は上手く流れなくなります。すると、酸素や栄養素が充分に届かず、やがて細胞は腐敗し、膿が溜まっていきます。体内で知らないうちにじわじわと溜まった膿がやがて臓器を破壊し、“病気” という目に見える形になって現れるようになります。

これと同じように、お金を通して自分たちの中にある葛藤が夫婦の関係性に噴き出し増幅し、溜まった膿が “会社の危機(経済の病)” という現象として現れたのです。今まで、“経済” と “夫婦” は別のカテゴリーとして扱われてこなかったでしょうか。しかし、実は夫婦、つまり “男と女の関係性” が経済と密接に関係していたのです。

互いに受け取り合うと……

極限状態に追い込まれたAさん夫婦はどうすることもできなくなりとうとう完全にあきらめました。考える力もなくなりましたが、もはや考えなければならない事柄もありません。なるようにしかならないと何もかも手放したとき、力が抜けて、不思議と今までとは違う感覚で相手の話を聴けるようになったのです。

夫が感じたことは、妻の言葉はいつも自分を責めているとしか思えなかったが、本当は自分が一番売上のことを気にして恐怖していたから妻の言葉が聴けなかったということでした。そして、妻は会社のことを想って言ってくれていたのだということに気づき、妻の愛を感じたのです。

一方、妻の方は、夫が自分の話を聴いてくれないのではなく、自分が夫の話を聴いていなかったこと、そして、本当は売上よりも「“食で世界を変える” 美味しいお弁当を届けたい」と自分が思っていることに気がついたのです。

自分たちのストーリーを思い出す

夫婦が互いに相手に感じていた抵抗感を“自分のもの” として受け入れ合えたとき、これまでまともに見ていなかった相手に “愛おしさ” さえ感じ、つい先ほどまでの殺伐とした空気は一掃しました。

普通では考えられませんが、こんな絶望的な状況にありながらも二人は安堵感に包まれ、そこから生まれた会話は創造的な楽しいものに変わっていたのです。その二人の会話とは、次のようなものでした。

「うちのお弁当じゃなきゃダメだって言うお客さんがたくさんくるよ」「取引先が幼稚園や保育所ばかりになったら大型連休も取れるし、旅行にでも行こうか」「注文が殺到して断らないといけなくなったりしてね…」

二人は初めて “同じひとつのビジョン” を見て、時間を忘れて楽しんだのです。

そして…「子供たちに安全で美味しいお弁当を食べさせてあげたいね、それだけでいいよね」そう言ってほほ笑み合った夫婦は完全に自分たちのストーリーを思い出したのです。

翌朝から世界が変わる

その翌朝。会社にかかってきた1本の電話で夫婦の世界は全く変わってしまいました。それは、無農薬の食材を扱っている生産者からでした。「会社を閉鎖するので、今までお弁当を納めていた保育園や幼稚園を御社に引き継いで欲しい」という内容でした。まさに、昨晩、夫婦で話した内容そのままです。

その結果、取引先が一気に増え、売上が倍増。信じられない黒字を記録し、朝から晩まで働くどころか午前中には仕事が終わり、まとまった休みも取れる。

お弁当を届けた子供たちから「美味しかったよ、ありがとう」と感謝の言葉や手紙が届く。さらに凄いことに、自分の会社の売上が上がることで取引先の売上も上がり、自社では賄えない分を同業者に譲るなど、自分たちだけでなく周囲の人たちにも経済効果がもたらされる。

つまり、同じ仕事、同じ規模、労働時間は短縮…にもかかわらず、売上はどんどん上がっていったということです。従来のやり方でこんな現象が起こり得るでしょうか。

偶然の奇跡ではない

これは偶然にこの夫婦に起った奇跡ではないのです。他にも同じような実証例があり、どれもが私の提言する “この世のトリックと新しいシステム” 通りに起きています。

今回のケースのように、自分から相手に向けて “一方的に言葉や感情を投げる” ことしかできなかった夫婦が、相手の言葉や相手に感じるものを“自覚のない自分” として受け取ったこと…そこに “答え” があり、経済を含めたすべてを変えてしまう“超・創造力” があるのです。

(シリーズ終わり)

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