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母との確執 50年間の憎しみが一瞬で愛に変わる

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.180


Introduction

親子関係が人間関係の土台になり、人生のあらゆるシーンに影響を及ぼすことは世間でも広く知られるようになりましたが、ある意識調査によると、親との関係性に悩んでいる人の過半数以上が、「親子間の確執は修復できない」と思っているそうです。

たしかに、親族だからこそ根深いものがあります。しかし、ミロスシステムにより何十年も続いた確執が一瞬にして終わり、その後はまるで何事もなかったかのように親子間の愛を取り戻し、新しい関係性を築いている事例がたくさん報告されています。

そこで今回は、50年近くも母を許すことのできなかったある女性(Iさん)の体験をご紹介します。彼女の体験に基づき、どんなに深刻な関係性も超えていけるヒントをお伝えします。

『母との確執 50年間の憎しみが一瞬で愛に変わる』

母への憎しみ

両親ともに医者という家に生まれ、二人姉妹の長女で何不自由なく暮らしていたIさんの人生が一変したのは、小学3年生の時、母がある社会教育団体に入会してからでした。

Iさんの母は、普及活動に専念するために医者を辞め、まだ日も昇らない時間から出掛けて行き、一日中家を空けるようになりました。そして、その後、二人の弟と妹が生まれ、長女のIさんに家事や弟たちの世話の負担がのしかかってきたのです。

Iさんは、学校から帰ると、弟や妹のオムツを替え、ミルクを飲ませ、おんぶをして買い物に行きました。それはまるで兼業主婦のような忙しい生活でした。

さらに日常の家事ばかりでなく、弟や妹が重い病気にかかったときも、その看病をIさんに任せて出かけていく母に、Iさんは絶望し、強烈に憎むようになったのです。

なによりも辛かったのは、母の活動に猛反対する父や祖父母との間で毎夜繰り返される大喧嘩でした。罵り合う声が聞こえないように布団をかぶり、泣きながら眠ったそうです。

どんなに家族に反対されようと母の意思は変わらず、ついに両親は離婚寸前の状態になりました。そんな家庭環境の中でIさんは、結婚に大きな抵抗感を抱くようになりました。

「家事も育児もうんざり…。私は結婚なんかしない!」「でも、もし結婚するなら、あんな母親には絶対になりたくない」

理想の母親になったはずなのに…

Iさんは、母や両親の姿を反面教師として、理想の母親像や家庭像を思い描くようになります。そして、大人になり結婚した彼女は、理想の家庭を築こうと一生懸命努力をしました。

食事はおやつも含めてすべて手作りにこだわり、冷凍食品や出来合いの総菜を使うことはありませんでした。また、喧嘩を嫌い、何事も丸く収めようといつも家族間の調整役にまわり、自分の意見を言うことはほとんどありませんでした。

仕事をしながら家事や育児を完璧にこなし、いつも優しく家族を見守る母…彼女は子どもの頃に夢見た母になり、夫、子ども、マイホーム、好きな仕事、すべて願いを叶えることができました。

しかし、Iさんの環境は、苦労した子ども時代と何ら変わっていなかったのです。

母のせいで家事を強いられ、祖父母と父の顔色を伺い、辛い思いをした子供時代。親になってからは、子どものために家事を手抜きすることができず、自由奔放で我が道をいく家族に振り回されていました。

Iさんは、まさかそんな事になっているとは知らず、自分の人生に疑問を抱くようになりました。

私は、自分で自分に窮屈な生活を強いているのではないだろうか…。本当は、何一つやりたい事をしないで生きていているのではないだろうか…。もう誰の世話もしたくない、自分のことだけやって生きたい…。

ミロスの実践により自分の“無意識”を知る

自分の人生がよくわからなくなり苦しんでいた時、彼女はミロスシステムに出会ったのです。

目の前の相手や出来事に自分の内面意識が映し出されていることを知ったIさんは、目の前には“自分を映し出してくれる自分(対象物)”しかやって来ないことに気づきました。

そして、ミロスの実践により、相手に感じたものから普段気づかない自分の無意識を知り、その無意識が原動力となって、これまでの生き方や考え方がつくられていたことを理解していく中、ある日、娘から衝撃的な事を言われたのです。

「お母さんは私を型にはめようとしている」

Iさんは、自分のことをものわかりの良い優しい母だと思っていただけに大きなショックを受けました。しかし、娘(相手)の瞳に映る自分こそが、自分では知ることのできない姿であることを知りました。

あんな母には絶対になりたくない…そう自分に誓い、理想の母親像を目指して生きてきましたが、結局は、子供時代に母に対して感じていた嫌なものを、自分の娘にも味あわせていました。

そして、母を反面教師に、「母親とは、こうでなければならない」「あんなことはしてはいけない」とルールをつくり、自分で自分を縛り、家庭についても無意識にたくさんのルールをつくり、家族を縛っていたのです。

母の“愛”を感じ許すことができた

自分も母親と同じことをしていたことを知った時、Iさんは、“母の想い”を理解することができました。

「母も良かれと思って頑張っていたんだ…」

その瞬間、家族のことを考えない身勝手な母の印象が一瞬で変わり、母の家族を愛する想いや、5人の子どもたちへの愛情…当時は感じられなかった母の愛を時空を超えて、Iさんは自分の中に感じることができたのです。

後日、彼女は母にあふれる想いを伝えました。

「お母さん、産んでくれてありがとう」

Iさんの言葉に、「何を急に…」と言いながらも、母の目にはうっすらと涙がにじんでいたそうです。

50年近く続いた母と娘の確執は、跡形もなく溶けました。

そして、母を許したことにより、「本当の自分の存在そのもので生きたい」と強く感じたIさんは、まったく新しい生き方で自分の本当の人生を踏みだしたのです。

良いも悪いも親に感じたもので子どもは自分の人生をつくりあげていきます。人間が本当に幸せになるには、父と母を理解すること-これを外すことはできないのです。

(終わり)

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