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新しい“就活” — 自分を知ることで本当の道が見つかる【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.108


Introduction

企業が求める人材に共通するのは、今も昔も「自分で考え、行動できる “自律性” のある人」です。特に、グローバル競争が激しい経済環境のもとでは最も重要な資質になっています。

しかし、人間は誰もが自分の内面にある葛藤をバネにして、その片側を演じて生きています。自分を持っていても、持っていなくても、その自分は “本当の自分” ではありません。どちらを演じていても、いつかは限界を感じるようになります。

シリーズ後半は、就活に苦戦していたNさんがミロスシステムに出会い、この世のトリックのなかで失った “本当の自分” を取り戻していくことによって人生を再生させ、本当の道を思い出す様子をお伝えします。

『新しい“就活” ― 自分を知ることで本当の道が見つかる』【後半】

どんどん決まっていく就職

前回は、就職活動に苦戦していたNさんが、企業説明会で『本当の自己分析』という話に衝撃を受け、その話し手である男性(以下、A氏と呼びます)との出会いをきっかけにして、ミロスシステムに触れたところまでをお伝えしました。

誰にも話したことのなかった自分の生い立ちをまるで自分事のように聴いてくれるA氏を見たことで、Nさんの奥深くに封印されていた感情が解放され、大粒の涙とともに流れていきました。すると、その直後から、Nさんの状況が急速に変わっていったのです。

それまで全戦全敗の就活が、嘘のようにどんどん内定が決まっていき、気がつけば負け知らず ─ 予想もしない展開に、いったい何が起きているのかと、彼自身も驚くばかりでした。

A氏はシステムを実践していた

実は、Nさんの生い立ちを聴いたA氏も、ミロスシステムを知る前は親子の確執に苦しんでいました。しかし、システムの実践によって親子関係が再生し、ビジネス面でも大きな変化がありました。

だからといって、A氏は “Nさん(相手)” をなんとかして助けてあげようとしたのではありません。なぜなら、“目の前には自分しか現れない” ことを実践を通して知っていたからです。

A氏は、Nさんの話を自分の内面にある “無意識の葛藤” として聴き、また、自分がNさんに伝えるアドバイスを “自分自身に対する答え” として聴いていました。

輝きだしたNさんの存在

一方、Nさんは、自分の話を一切ジャッジすることなく聴いてくれるA氏との空間にいることで、「父や家族に対して持っていたネガティブな要素が自分の中にもある」ということを理解すると、それが中和されていくように内面が穏やかになっていきました。

就活が上手くいきだしたのは、それまで内面の葛藤がつくり出していた強烈な自己否定が弱まり、それと同時に輝き出したNさんの存在が人事担当者の目に留まるようになったからです。

父に嫌われていなかった

A氏のように、自分(内)と相手(外)を等しく観るだけで、相手の人生までも再生させることができるのです。

そして、すでに前半でお伝えしたように、このあと、暗い過去が自分の思い込みでつくられた幻想であることを証明する出来事が起こっていきます。

最初は、父の携帯電話のアドレスでした。どうしても連絡を取らなければならないことがあり、父のアドレスを姉に尋ねました。すると、なんとそのアドレスは、Nさんのイニシャルと誕生日を組み合わせたものだったのです。

もし、Nさんが思っている通りの父なら、そんなアドレスを登録するはずがありません。「父は絶対に僕のことを嫌っている」という決めつけが外れた瞬間でした。

8年ぶりの父との再会

次は、就職先が内定したことを父に電話で報告したときのことです。8年間も父を避けてきたことへの後ろめたさもあり、ただでさえ恐れている父に電話をするのは、何よりも勇気のいることでした。

しかし、実際に電話をかけてみると、受話口から聞こえてくる父の声に “あの頃の面影”は全く感じられず…電話を切ると同時にNさんの目から涙があふれてきたそうです。

このときNさんは、父のことを憎んできた “自分の気持ち” さえも思い込みであり、本当はずっと父のことを求めていたことを初めて知ったのです。

そして、とうとう、今まで逃げつづけていた実家に否応なしに引き戻される出来事が起きました。

それは、父方の祖母の突然の死でした。葬儀のため実家に帰ったNさんは、8年ぶりに父と再会します。

愛の欠乏感

彼の記憶の中では、父は背が高く、筋肉質で、怖い人でした。しかし、目の前にいる父が、過去の印象とあまりにも違うことに愕然としたのです。

「これが21年間も恐れてきた父なのだろうか。僕は父の何を見てきたのだろう…」

Nさんはこの時、父の像を自分の “思い込み” で作り上げていたことをはっきりと理解しました。

本当は、Nさんは父を愛し、求めていました。そして、父も彼のことを愛していました。

しかし、何かのきっかけで、父に「愛されていない」と感じ、その愛の欠乏感が彼の “父を見る目” となりました。その結果、父の言動から「愛されていない」ものばかりを拾い集めていったのです。

誤った思い込み

「自分は愛されていない…愛される価値のない人間なのだ」

Nさんの思考にインプットされた “誤った思い込み” が、その後の人生を作り上げていきました。つまり、彼の人生は “彼の人生を見ていた彼自身” によってつくられたバーチャルな世界だったのです。

そして、自分がつくった幻想のなかで “価値のない自分” を否定し、価値を得ようとして相手に合わせて生きていました。常に相手や自分の置かれた環境という “外側” に意識を向けているため、Nさんは自分のない人間になってしまったのです。

人生を狂わしていた

そうなると、「何がしたいのかわからない」「将来が見えない」となっても仕方ありません。自分を失っている間は “自分の道” は見えてきません。

Nさんは、“思い込み” が大きな盲点をつくり出すこと、そして、それがいかに人生を狂わせているかを自身の体験(人生)を通して知りました。そして、“本当の自分” を取り戻していくなかで、自分の道がはっきりと見えたのです。

本当の道が始まる

この世には、人間が自己否定に陥る “トリック” があります。そして、自分を認めることのできない内面の葛藤が人生にさまざまな弊害を及ぼしています。

トリックを知り、そこから抜け出したとき、今までの自分や人生が幻想であったことがわかります。そのとき初めて、人間は “自分が決めてきた人生(本当の道)” を生きはじめるのです。

(シリーズ終わり)

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