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思考のジャッジが生み出す心の病

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.2


Introduction

さて、今回のテーマは心の病気ですが、世の中の変化が激しくなるにつれて、その様相も大きく変わってきているようです。もしあなたの身近に当てはまる人がいたら、ぜひ今回の内容を教えてあげてください。

『思考のジャッジが生み出す心の病』

新型うつと心の闇

最近、巷で話題になっている「新型うつ」。従来のうつのイメージに当てはまらないタイプのうつが、都心部を中心に若い世代に急増しています。2つの違いは、今までのうつは自分を責める自責型で、抑うつ状態が続いて食欲衰退や不眠に苦しみ、最悪の場合、自殺という形に表れるのに対し、新しいタイプは他責型で、何かあると相手や環境のせいにして攻撃性を外側に向ける点です。

さらに、新型うつは、会社にいる間は憂鬱な気分が抜けず仕事が手に付かないのに、プライベートな時間になると元気になり、自分の好きなことには行動的になるというのが特徴です。

ストレスの多い現代社会では心の病が年々増え続け、現在、日本の全国民の約8人に1人はうつ病かうつ状態にあるといいますから驚きです。そこで今回は、多くの現代人が悩まされるストレスとは何か、そして、ストレスがつくりだす心の闇を紐解いていきたいと思います。

ストレスの原因は「相手をどう見るか」

ストレス要因の代表的なものは「人間関係」ですが、夫婦、親子、職場の人間、近隣の人など、私たちは日常的にいろんなところで人間関係の煩わしさを感じています。例えば、他人から何か意見されたとき、それがごく些細な事でも「拒絶感」や「抵抗感」を持ったことがないでしょうか。

食事中、夫に「この味濃くない?」と言われただけで「マズイなら食べなかったらいいじゃない!」とイラっとしたり、友人に「それおかしくない?」と言われて自尊心が傷ついたり、上司のひと言で自己評価を下げたり…多かれ少なかれ私たちは常に周囲の人間の言動に反応しています。

相手にそんなつもりはなくても、言われた本人は “勝手に” 抵抗を感じてしまうのです。ということは、相手の言動には関係なく、自分が何を感じるか?相手をどう見るか?がストレスの原因になっていると言えないでしょうか。

いったい誰と闘っているのか?

目の前に相手が存在するため、どうしても相手のせいで自分が嫌な気持ちになっているようにしか思えませんが、じつは、人間関係で相手に感じるものは、あなた自身が否定している自分、最低だと思っている自分にほかならないのです。

「そんなバカな!」と言いたいところですが、「自分ではまったく自覚のない自分」を相手に感じ、その自分に抵抗し自分と闘っているのですから、心身ともに病になっても仕方がありません。

では、どうして自覚がないのでしょうか?それは、それほど強烈に嫌い、自分でもわからないように蓋をしてしまっているからです。

隠した自分が防御壁をつくる

その理由を説明するには、人間の思考の仕組みを簡単にお話しする必要があるでしょう。思考は自分のすべてを受け入れるという能力を持っていません。誰にでも自分の中に好きなところと嫌いなところがありますが、どう頑張っても嫌いな半分を認めることができないのです。

そして、ほとんどの人は自分の嫌いなところを隠して良い方を演じています。言い方を変えると、表向きの自分の後ろでいつも充分過ぎるほど自己否定しているため、相手の言動が自分の痛いところに触れると、「これ以上、私を傷つけないで欲しい」という「防御壁」をつくるわけです。これが抵抗感であり、ストレスです。

例:評判のいい人が突然、事件を起こしてしまう

ひとつ例をあげましょう。裕福な家庭に生まれ、厳しく育てられてきたAさんという男性がいました。礼儀正しく近隣の人たちからの評判も良かった彼でしたが、ある日突然、取り返しのつかない事件を起こしてしまいます。

家族は全員エリートで、Aさんも親の期待に応えようと子供の頃から一生懸命勉強していました。常に親の顔色を見て自己主張もせず親に合わせていたAさんは、学校の成績が下がるなど、親の期待に添えなかったときに強烈に罪悪感を感じ、「こんな自分はダメだ」と否定していました。そして、もっと良い子になって親に愛してもらえるようにと、ずっと頑張っていたのです。

日ごろの彼は真面目で几帳面。向上心も強く、自分を高めるための努力は惜しまなかったように思います。しかし、それは「強烈な罪悪感が押し出したプラス思考」であり、プラスに傾くことで自分の中のマイナス的なものを補っていたわけです。

拒絶過敏性

そうやって人間はバランスを取りながら生きているのですが、そんな仕組みになっていることには気づきません。Aさんは親の期待に添うような「理想の自分」と「現状の自分」にギャップを感じ、自分を責め、罪悪感という心の闇が増幅していったのです…。

人間関係において、Aさんは他人を親に重ねて見ているため、自分を受け入れてくれる人には非常に親愛的なのですが、ひとたび拒絶されたと感じると豹変し、相手に対して攻撃的になります。そして、とうとう信じられない行動を取ってしまったのです。

話を戻しますが、新型うつでは「拒絶過敏性」といって他人の言動に非常に敏感になり、自分の全人格を否定されたように感じます。時には他人を傷つけることさえあるそうです。Aさんが「新型うつ」だったかどうかはわかりませんが、人間は自分が「思考そのもの」になっていますから、ネガティブになるか、そこからポジティブに向かうか、常にその二つの極の狭間を往ったり来たりしているうちに心が壊れてしまうのです。

自分の思考を理解できれば人生は変わる

近年、若年層に自分勝手で衝動的な事件が増えています。「誰でもいいから殺したくなった」、肩がぶつかっただけで「イラっとして刺した」など無差別に人を傷つける事件も、無意識の中で増幅している心の闇が突然表に現れ、強烈な攻撃性が他者に向けられたという可能性は捨てきれません。

もし、人間が自分の思考を客観的に俯瞰し、否定した自分がいるからこそ今まで頑張ってこられたこと、嫌いな自分がいるからこそ好きな自分、良い自分を生きてこられたこと、ある意味、心の闇があったお陰でそれをバネに今まで生きてこられたことを知ったら、良いも悪いも全て受け入れることができるのではないでしょうか。

そして、自分で自分を嫌っていたことが自分の足を引っ張っていたことを「馬鹿らしい」と笑えたら、その瞬間から人生は全く変わってしまうのです。

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