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“思い込み”を解除して、まったく新しい人生へ

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.90


Introduction

自分の常識が相手にとっては非常識だった。良かれと思ってしていることが、報われない。逆に、問題を引き起こしてしまった。

そんな経験はないでしょうか。

本来、人間は思い通りに生きることができるように生まれています。しかし、無意識の “思い込み” が、その人生にロックをかけているのです。今回は、ミロスプログラムによって “人生のロック” を解除し、新たな人生をスタートしたある主婦(Kさん)の体験をお伝えします。

『“思い込み”を解除して、まったく新しい人生へ』

夫から感謝されない

共働きのKさん夫婦は、夫の提案により、生活費を半分ずつ出し合っていました。家事は二人で協力してやっていくつもりでしたが、実際には帰りの遅い夫が食事を作ることはなく、ほとんどKさんがやっていました。

結婚したての頃は、愛する夫のために朝早く起きて朝食を作り、夕食は何品も用意して帰りを待っていました。特に無理をして頑張っていたわけでもなく、妻なら当たり前のことだと思っていたのです。

しかし、そんな彼女の努力を知ってか知らずか、夫は料理に対して、「味が濃い」「野菜が足りない」など、注文をつけることはあっても、「美味しい」「ありがとう」という言葉を一切、口にしませんでした。彼女が「たまには美味しいとか言ってよ!」「感謝して食べてよ!」と言っても、夫はうるさそうに横目で見るだけでした。

夫のためを思って頑張っているのに、それを当たり前のように思っている夫の姿に、彼女の不満はどんどん溜まっていきました。

夫婦で食い違う意見

「私のことを大事に思っているのだろうか。愛してくれているのだろうか…」

「彼の方が収入が多いのに、生活費を半分ずつ出し合うなんておかしい。家事は私がやっているのに、不公平すぎる。これじゃあ、ただの同居人じゃない!」

ある日、溜まりに溜まった夫への不満がついに爆発。久々の大喧嘩になりました。

しかし、どんなに話し合っても、まるで文化の違う異国人同士のように通じ合うことはありません。互いに自分の意見を主張するばかりで、どこまでいっても平行線だったそうです。

思い込みで作られた価値観

Kさんは、“家族は何でも共有するもの” だと思っていました。個々に所有しているものは二人のものになり、助け合って寄り添って生きて行くものだと思っていました。

しかし、夫のほうは、結婚しても “自分のものは自分のもの”であり、“自分の分” “相手の分” と、すべてのものを分けようとするのです。生活費にしても、半分ずつ出し合ったほうが合理的で、争いの種にならなくていいと思っていたのです。

互いに良かれと思ってやっているだけに、相手の考えや行動が理解できません。

いったい、どうしてこうも違うのでしょうか。

実は、個々の常識や価値観のほとんどは、失恋や失敗、罪悪感が残る行為など、過去のショッキングな経験から生まれた “思い込み” でつくられています。

夫は、過去の傷ついた経験から愛をあきらめ、「後になってもめるくらいなら最初から何もかも別々にしておいたほうがいい」と “思い込んで” 生きていました。一方、Kさんは、「愛に傷ついてもあきらめずに相手と何でも共有したい、共有するべきだ」と “思い込んで” 生きていました。

夫婦は同質の心の傷をもっている

このように、表面的にはまったく違うように見える夫婦でも、実は同質の感情面(心の傷)を持っています。愛に対して同質の心の傷を持つ二人は、それぞれが無意識に “思い込みの生き方” をつくりだしていたのです。

しかし、この世の “同化と反転のシステム” に基づいて思い込みを解除しない限り、現実には、想いや願望とはまったく違う世界が展開されていきます。

「もめごとはごめんだ」と思い、深く関わることを避けて生きている夫は、妻から面倒なことを言われることになります。そして、Kさんの方は、愛されないことへの不安を原因にして愛されたいと思っているから、夫とわかり合えない、愛のない世界を見続けていたのです。

思い込みから狂わされた人生

このように、「無意識の “思い込み” が、思い通りにならない世界を繰り広げていた」というメカニズムを知ったKさんは、その視点からこれまでの人生を振り返ってみました。

教育熱心な厳しい父に育てられた彼女は、無意識に「ちゃんと勉強をしないと父に愛してもらえない」と思い込んでいました。また、彼女は、「自分一人では何もできない。私は適当な人間だから、すぐに怠けて堕落してしまう」と思い込んでいました。

しかし、その “自分への決めつけ” も、そう思い込むきっかけになる出来事があったのです。このようにして思い込みは次々と新しい思い込みをつくり出し、Kさんの人生を狂わせていきました。

子供時代は父の管理下で窮屈な思いをして育ち、就職先では口うるさい上司に怒鳴られっぱなしでした。結婚をしたら、夫に合わせる窮屈感と不信感に苦しむようになりました。

しかし、この世界は、“相手がこうだから、自分はこうなった” というシステムとしてつくられていません。すべての原因は “その関係性の中心にいる自分” にあるのです。

厳しい父も、口うるさい上司も、注文ばかりつける夫も、“愛してもらえない” というKさんの思い込みがつくり出した幻想の相手でした。

そして、同時に彼らは、“愛してもらえるように、自分が堕落しないように”、彼女自身がつくり出した“自分を支配しコントロールしてくれる相手”だったのです。

こうして自分の人生の全体像を見たKさんは、思い通りにならない原因が “自分の思い込み” だったことに拍子抜けしてしまいました。

幻想の世界が終わった

その時を境にして、自分の中から不安も期待も頑張りも消えてしまったそうです。すっかり肩の力が抜けてしまったKさんは夫に聞きました。

(Kさん)「前にくらべたら、こんなにも家事をしなくなってしまったけれど、私のことを愛してる?」

(夫)「愛するとか愛せないとか、そんなことで決めるものじゃないでしょう」

自分の質問に不思議そうに答える夫を見て、愛を感じられなかったあの日々はやはり幻想だったのかと笑えたそうです。

(シリーズおわり)

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