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忘れてしまいたい過去には、自分にとって大切なものが隠れている

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.252


Introduction

忘れてしまいたい過去は誰にでもあるものですが、どんなに逃げようとしても過去は追いかけてきます。なぜなら、今の自分は、過去の積み重ねによってつくられているからです。

ミロスシステムにより、過去と向き合い自分を紐解くことで、人生そのものを全く新しいものに生み直すことができます。実は嫌な過去には、自分の人生を変えるほどの大切な情報が埋もれているのです。

今回ご紹介する実証例は、過去の結婚を完全否定して生きていたある女性(Tさん 50代 沖縄県)の体験です。ミロスシステムで自分を紐解き、過去の怒りや憎しみから解放された時、彼女の人生はどう変わったのでしょうか。

『忘れてしまいたい過去には、自分にとって大切なものが隠れている』

望んだ結婚ではなかった

Tさんの結婚は、両家の母同士が勝手に決めたものでした。あれよあれよという間に準備は進んでいき、彼女が断ろうとした時には、もうあとには引き返せない状況でした。

近所中が顔見知りのような狭い島で、破談になれば、みんなの笑い物にされると母に怒られ、婚約者からも責められ、Tさんはやむなく結婚しました。

最初のうちは、彼女が思い描いた結婚生活とは程遠いものでしたが、3年ほど経った頃から、夫の仕事も、経済状態も安定し、夫婦仲も良くなり、待望の長男を授かりました。夫は子煩悩ぶりを発揮し、家族のためによく働き、家事にも子育てにも協力的で、Tさんは、幸せに満ちあふれた毎日を送っていました。

しかし、子どものことばかりにTさんの気持ちが向きがちになり、次第に、夫の様子がおかしくなっていったのです。

アルコール依存症に…

夫は、会社の同僚とお酒を飲む機会が増えていき、いつの間にか、一日中お酒の切れない生活になっていました。そんな生活が2年ほど続いたある日、日ごろから不満を抱いていた上司に啖呵を切って、突然会社を辞めてきたのです。

息子が5歳を迎える頃には、アルコール依存症で数か月間の入院生活を余儀なくされました。退院後、仕事に就けるようになっても人間関係がうまくいかず、転職、失職を繰り返し、再びアルコール依存症を発症する始末でした。

Tさんは、息子のためにも立ち直ってほしいと、必死に夫を更正させようとしましたが、何をしてもうまくいきませんでした。

気付けば、夫がアルコールに依存するようになってから10年が経っており、Tさんは、身も心もボロボロになっていました。自分が望んだ結婚ではないのに、こんな悲惨な結末になり、彼女は惨めさと怒りで体が震えるほどでした。最後には、夫と義母に暴言を吐き捨て、息子を連れて家を出たのです。

過去からの救いを求めて

離婚後、人生をやり直そうとしても、重たい過去が彼女の足を引っ張りました。思い出す度に激しい怒りがこみ上げ、先に進むことができませんでした。そして、何年も精神世界や成功哲学に救いを求めた先で、ミロスシステムに出合ったのです。

夫との関係が変わり出す

彼女のシステムへの理解が深まるにつれ、不思議と元夫との関係性が変わっていきました。息子のことで話す機会が生まれ、離婚後、真面目に働いていることもわかり、夫から資金援助もしてもらえるようになりました。

それでも、Tさんは、あの時の憎しみをなかなか手放すことができず、そんな自分に罪悪感を持っていましたが、自分の内面意識が目の前の世界をつくり出しているという仕組みを知っていくうちに、今まで逃げていた過去と向き合う決心をしたのです。

これまで誰にも言えなかった想い、結婚に至るまでの経緯を、ミロスのカウンセリングで講師に話せたことで、意外な事実が見えてきました。それは、Tさんと実母の密着した関係性でした。

実母の密着した関係

Tさんは、10人兄弟の中で一番利発な子どもだったそうで、学歴コンプレックスを持っていた母にとって自慢の娘でした。その分、母との密着度も高く、毎日のように身内の人間関係や、結婚生活の愚痴を聞かされていた彼女は、苦労している母を喜ばせたくて、母好みの良い子を演じるようになりました。

しかし、その一方で、母の言う通りに生きていた彼女は、自分で自分の気持ちを裏切りながら、母に“理解してもらえない”“私の気持ちをわかってくれない”と不満を募らせていました。そして、その不満が、“結婚”という人生の大イベントで爆発したのです。

自分の気持ちをわかってくれなかった母への復讐心から、母を見返すためにTさんは幸せになろうとしました。しかし、母に自慢できるような幸せは一瞬で消え去り、夫はアルコール依存症に陥り、家庭はめちゃくちゃになりました。そして、今度は、不幸な自分を見せることで、この結婚を決めた母に復讐していたのです。

突然の訃報

こうして過去を紐解くことで、元を辿れば“自分自身に対する裏切り”から始まった悲劇であることがわかりました。また、幸せな時も、苦しい時も、自分のことばかりで夫を見ていなかったことを知り、寂しさからお酒に走った彼の気持ちもわかり、わだかまりは溶けていきました。

元夫の突然の訃報が届いたのは、その直後でした。病名は、急性虚血性心疾患。 Tさんは、大きな悲しみに見舞われましたが、離婚後、疎遠になっていた義兄弟や親戚たちに温かく迎えられ、最後まで一緒に見送ることができたのは、元夫の導きとしか言いようがありませんでした。

人生そのものが愛に

そして、後日。彼の部屋を片づけに行くと、息子が成人式に送った“父への手紙”が大切に保管されているのが見つかり、そこでも、家族を愛し続けてくれていた彼の想いに触れ、Tさんは涙が止まりませんでした。

本当に愛されていたことを感じ、人生そのものが愛に包まれてしまいました。もう夫に触れることはできませんが、Tさんの中に彼は戻ってきました。二人の結婚は、彼女の中で永遠のものになったのです

(終わり)

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