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家族再生 思い込みがつくり出した幻想の関係性をリセット

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.196


Introduction

人との関係をいかに育んでいくか、そこに人生を豊かなものにする鍵があります。しかし、人間は、自分が感じたイメージで相手をつくり上げ、それ以外の相手を見ることができません。

例えば、苦手意識を持ってしまうと、苦手な要素ばかりが目につくようになり、相手への抵抗感は膨らみ、歩み寄る機会を失ってしまいます。

今回ご紹介する実証例は、人間関係のベースとなる子供時代の親子関係において、偏った見方で相手を判断し、有りもしないことで色付けした人生に苦しんできたある男性(Hさん 20代 宮崎県)が、ミロスシステムに出会い、“新次元の視点”から親や兄弟間の関係性を紐解き、本当の家族の絆を取り戻した体験です。

『家族再生 思い込みがつくり出した幻想の関係性をリセット』

殺伐とした家庭

子どもの頃からHさんは、何をするにも逐一母から批判され、干渉されることが煩わしく、ストレスを感じていました。

成長と共に母への抵抗感は大きくなり、自分の意思や自主性を尊重してくれない母を避けるようになると、さらに母の干渉はエスカレートし、交友関係にまで介入してくるようになりました。出掛ける時には、相手や行き先、帰ってくる時間など、根掘り葉掘り聞かれ、その度に自分を信用してくれない母に憎しみが増していきました。

Hさんから見た母は、子どもを束縛し、自分の思う通りにコントロールしようとする親でしかなく、彼が母の気持ちを理解することはありませんでした。

一方、息子の幸せを望んだ愛情からの行為だと思って疑わない母も、息子の気持ちがわかりませんでした。

このように、互いに見ている世界が違うため、すべてがすれ違い、誤解を生み、親子関係は壊れていきました。会話もなくなり、家の中は殺伐としていました。

思い込みのフィルター

そんな中、Hさんはミロスシステムに出会いました。そこで、母親に自分の無意識を映し見ていることや、どんな関係性でも、どちらか一方が悪いのではなく、双方間で成立していることを知りました。

今まで母が干渉しすぎて困ると思っていた彼にはショックな話でしたが、修復できるものなら…と思い、母との関係性をミロスのシステムに当てはめ紐解いていったのです。

Hさんは、共働きの両親のもとに生まれ、幼い頃から寂しい想いをして過ごしていました。しかし、自分の気持ちを上手く表現できない彼は、寂しさや親に対する様々な欲求を伝えることができず、一人で葛藤しているうちに、親にこんな想いを抱くようになりました。

「お父さん、お母さんはどうして僕と一緒にいてくれないのだろう…」

幼い彼には、子どものために働く親の気持ちはわかりません。寂しさから“愛してもらえない”と思い込み、その思い込みのフィルターが、愛されていないと感じるものだけを拾い集め、さらに思い込みを強くしていきました。そして、愛して欲しいと求めることもあきらめ、辛い感情と共に心の奥底に追いやり、感じないように遮断して生きるようになりました。

母の気持ちが理解できた

一方、Hさんの母には、子ども時代に兄弟を病気で亡くすという辛い経験がありました。高熱に苦しむ幼子を、母(Hさんの祖母)がおぶって病院へ連れて行く途中、背中におぶられたまま、その子は息を引き取ったのです。

子どもを救えなかった祖母の悲しみと罪悪感を目の当たりにした母の気持ちを考えると、母が自分に対して干渉するのも無理はないと思えました。

「子どもは何としてでも守らなくてはいけない…」そんな強い想いを無意識に持っていた母は、息子を心配するあまりHさんの行動や交友関係、そして彼の気持ちにまで干渉してきたのです。

Hさんにとって母の干渉は煩わしいものでしたが、実は彼が無意識の中にしまい込んだ強い欲求-“もっと僕の傍にいて、僕だけを見て欲しい”-と、母の無意識が引き合い、この関係性が成立していました。

親子関係の再生

“新次元の視点”から母との関係性を紐解き、全容が理解できたことで、偏った見方や思い込みが外れ、母の想いや自分の本当の想いがわかると、過去の一つ一つのエピソードが愛を感じられるものに変わってしまったのです。

殺伐とした家庭が、たちまち愛があふれる空間に変わり、自然と母に歩み寄るようになり、今では同じ温度で喜びや感動を共有し合える親子にまで変わってしまいました。

そして、このあと、親子関係の再生がさらなる家族の再生をもたらしたのです。

天敵だった兄と

Hさんには天敵とも言える兄がいました。子どもの頃から近くに寄るだけで喧嘩になり、まともに会話もしたことがありませんでした。

大人になっても関係性は変わらず、ここ三年ほどの間、兄がどこで何をしているのかもわからない、電話番号すら知らないという音信不通の状態でした。その兄が突然、家に帰って来たのです。

Hさんが少し距離を置いて兄の様子を伺っていると、数日後、兄の方から“人間関係の摩擦”という思いがけない話題で話しかけてきました。

Hさんは、過去の兄のイメージや様々な想いを取っ払い、初めて兄の考えや気持ちを素直に聴くことができました。そして一通り聴いたあと、今度は自分の体験に基づき、なぜ人間関係の摩擦が起きるのか、どうやって関係性が変わっていったのかを兄に話しました。

兄は、Hさんの話を黙って聴いていました。そればかりか理解を示し、さらに話は膨らみ、兄弟共に同じ感覚を持っていることもわかりました。Hさんは、まさか天敵だった兄とこうして会話を楽しみ、兄弟が同じフィールドで、素直に想いや感覚を表現し、分かち合えるようになるとは夢にも思っていませんでした。

兄弟で心を通じ合えた

ミロスシステムについても、兄はスポンジが水を瞬時に吸収していくように理解していきました。実は帰省直後に家の様子がまったく変わっていることを感じていた兄も、弟の話を聴き、その疑問が晴れたのです。

兄はこう話し出しました。

「僕らは、いつも違う方向を向いていた父と母の関係性に苦しんできたね。だけど、久しぶりに戻って来た我が家はとても居心地がいい。お前がミロスを知ったからだったのか。僕も本当に家族の幸せを祈っていたんだ…」

この言葉にHさんは驚愕しました。あれほど嫌っていた天敵の兄も、自分と同じように心の底では家族の幸せを祈っていたからです。

各々が、自分の思い込みが映る相手に抵抗し、葛藤し、傷つけ合ってきた関係性は終わり、Hさんの人生は家族の愛にあふれたとても豊かなものに変わってしまいました。

(終わり)

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