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学校現場の混乱、本当の問題とはなにか【後半】

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.106


Introduction

社会や子供を取り巻く環境の変化にともない、子どもたちの意識も大きく変わっています。その中で、学校現場の問題も多様化かつ複雑化し、解決するのはとても難しい状況にあります。

色んな手を尽くしていますが、子どもの問題行為や、学校の人間関係のトラブルなど、“現象”を修復しようとしても根本的には何も変わらないのです。

シリーズ後半では、目の前の問題と自分の内面を一致させていく実践法(ミロスシステム)により、Sさんの人生が全く新しく再生していきます。彼女の体験は、学校関係者に大きな希望を与えてくれるのではないでしょうか。

『学校現場の混乱、本当の問題とはなにか』【後半】

“すべてが自分である”

生徒との人間関係も壊れ、教師としての面目を失い、とうとう体調を崩して休職したSさんは、その後、迷った末に学校を退職しました。自分の不甲斐なさに落ち込み、何もする気になれず、しばらくの間、家の中にひきこもっていました。

しかし、不思議とミロスシステムを学ぶことには意欲的でした。

今まで、“生徒を変えよう” “現状をなんとかしよう”と思っていた彼女ですが、システムに触れ続けていくうちに、自分が見ている世界が自分の内面であるという感覚が身についていったのです。

そして、遂に“すべてが自分である”ことを知る体験が起こったのです。

母親に感じる“恐怖”と同じ

ある日、Sさんに、彼女の母親から電話がかかってきました。

「あなた、仕事には行っているの?」

母は彼女のことを心配して、ただそう聞いてきただけでした。しかし、Sさんは震えがくるほど“恐怖”を感じたのです。

そして、その時、ハッとしました。

「私は、人から怒られたときや、責められたとき、お母さんに感じる“恐怖”とまったく同じものを感じている!」

相手が誰であれ同じシチュエーションに遭遇した時、母に感じていたものと同じものを感じることに、本当に驚いたそうです。そして、なぜ自分がこれほどまで母に恐怖を感じるのかを紐解いていきました。

母がどう思うかを基準にした人生

幼少の頃、Sさんは、母が姉を怒る様子をよく目撃しました。母のわめき散らす声と殴られる姉、その光景が本当に恐ろしくて、「私はそんな目に遭いたくない」「どうすれば母にかわいがってもらえるだろうか」と考えるようになりました。

そして、常に母の顔色を伺い、“母が自分のことをどう思うか”を気にして行動するため、どんどん自分というものを失い、いま自分がどう思っているのか、何を考えているのか、そして、何がしたいのかもわからなくなっていったのです。

過去を振り返ってみても、大学では、心理学に感心を持ちながら、なぜか歴史を専攻していました。また、結婚では、自分の気持ちよりも母が喜びそうな相手(条件)を選んでいたのです。このように、Sさんは“自分不在”の人生をずっと生きていました。

誰からも愛される“いい子”でいたかった

そして、子どもの人間関係は、親との関係性がベースになっています。実は子どもは社会の中で、“父を見る目”と“母を見る目”で他人を見ているのです。彼女は、自分が“母を見る目”で他人を見ていたことに衝撃を受けます。

無意識に、相手に嫌われることを恐れ、認めてもらおうと“できる子”を演じてきたこと。また、認められたいが故に、否定されることや責められることに非常に敏感なこと。

そして、相手を傷つけないように、いつも相手の気持ちを察して行動していたのも、結局は、誰からも愛される“いい子”でいたかったからだとわかったのです。

感情的に怒る人や、暴力的な人を見ると、強烈に抵抗感を抱くのも、その相手に子ども時代に見ていたあの怖い“母”が映るからでした。“怒り”を恐れ、嫌ったSさんは、自分の中にある怒りも否定し、無意識の中に追いやり抑圧していました。

彼女が、思いやりのあるやさしい人間でいたいと思っていたのも、無意識の中に怒りを隠しているからでした。

無意識の不足感や欠乏感

そして、Sさんはさらに究極の“仕組み”を知っていきます。この世に他者は存在せず、どこまでも自分が映し出されていることを…。

自分の内面が外側の世界に映し出されるという“仕組み”から紐解くと、母に“認めてもらえない”“愛されていない”と感じたのは、実はもともと彼女の無意識の中に不足感や欠乏感があったからでした。

学校生活で、生徒や保護者、先生方に感じていた“怒り”や“攻撃性”も、彼女が自分のことを責めている姿であり、ひきこもっている息子は、心を閉ざしている彼女自身の姿だったのです。

自分のことを愛せていなかった

Sさんは思いました。

「子どもの頃、一度でいいから、母に“そのままのあなたで十分なのよ”と言って欲しかったけれど、本当は、私が自分に対して言ってあげるべき言葉だったんだ…。大元は、私が自分のことを愛せないから、母に愛されていないと感じ、その思い込みの目で、“愛されない”“認めてもらえない”“こんな自分ではだめだ”と感じる世界を見続けてきたのか…」

人生のすべてがリセット

これまで、本当に波乱の人生でしたが、“仕組み”を知ったことで、過去に遡り人生のすべてがリセットされました。そして、初めて自分のことを愛おしく思え、なんとも言えない安堵感と安心感に包まれたそうです。

その時から彼女の人生は新しく動き出したのです。

家にひきこもっていた息子は、自らの意志で働き出しました。そして、彼女は、高校の教師として再び教壇に立つことができたのです。

Sさんはこの体験を通して、自分自身とゆるぎない信頼関係を築くことができました。今、まったく新しく生まれ変わった自分を映してくれる生徒たちに囲まれ、充実した毎日を送っています。

(シリーズ終わり)

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