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子どもの貧困問題について— 何かできることはないのだろうか?

Rossco’s Eyes ~人生を俯瞰する視点~ Vol.242


Introduction

今、日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあると言われています。これはOECD(経済協力開発機構)の世界水準でみても平均値を超える高い水準であり、特に日本におけるひとり親世帯の子どもの貧困率は非常に厳しい状況です。年々、所得格差や教育格差が急速に拡がる中、社会保障も十分に追いついていない現状を見ても、この問題は、今後さらに深刻なものになっていくことが想像できます。

そこで今回は、子どもの貧困が最も端的に、かつ深刻に現れている母子世帯を取り上げ、ミロスシステムで、貧困状態に陥っていくメカニズムを紐解きたいと思います。実際に、今苦しんでおられる方にとっては受け入れがたいところもあるかもしれませんが、人は「知ること」「理解すること」で変化していくことができます。私は、そこに大きな希望を持ち、より多くの方に知っていただくことで、力になれるのではないかと考えます。

『子どもの貧困問題について― 何かできることはないのだろうか?』

6人に1人の子どもが貧困状態

自分の意思とは関係なく、家庭の経済的事情から、食事、学習、健康面、友だち作りなど、人生のスタートラインで様々な困難を抱える子どもたち。6人に1人が貧困状態にあると聞いて、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

また、子どもの貧困は、経済的な厳しさだけではありません。

外で働く親と過ごす時間が少ないことから、親の愛情を十分に感じることができない子どもは、自立していく上で必要な豊かな人間性や心が育まれず、人間関係で信頼関係を築いたり、うまく交流することさえも難しくなります。

子どもは親と同じプロセスを歩むことが多い

一方、母親は、子どもたちを必死に支えようとしますが、生活の困窮や社会の偏見から、精神状態まで悪化していくというケースも少なくありません。絶望的な心境に陥ってしまい、わが子に過度な体罰を行なってしまったという母親も増えています。

この問題の難しいところは、親だけの責任ではなく、何世代にも渡って引き継がれてきた根深い問題であるということです。

子どもを保護し、様々な面で支援しても、その子が大人になった時、親と同じプロセスを歩んでしまう確率が非常に高いのです。

いろんな要因が複雑に絡み合う問題ですが、ミロスシステムから観れば、そのメカニズムは明解です。

生活に苦しむシングルマザーの共通点

生活に苦しんでいるシングルマザーの多くに、このような共通点があります。

彼女たちは、幼い頃から、親の愛情を得る機会が非常に乏しく、常に緊張感を持った家庭環境で育っていました。親の浮気、離婚、再婚、親からの虐待。中には、アルコールやギャンブルなど依存症に陥る親、借金地獄、親の自殺、家庭内の暴力、等々、幼少期から過酷な家庭環境に置かれていた人もいます。

そんな家庭内で、自分の気持ちや感情を素直に表現することもできず、親の顔色をうかがいながら暮らしている子どもが、自分を信じたり、認めたりすることはできません。自分に辛い思いをさせた親を憎み、人生を恨み、「早くここから抜け出したい」と思って、彼女たちは生きてきたのです。

結婚がうまくいかなくなり…

やがて大人になり、結婚を意識する男性に出会えた時、これでようやく人生を変えられると期待したのではないでしょうか。

しかし、思うようにはいきません。なぜなら、男と女は無意識の奥に同質の感情面(心の傷)を持つ者同士が出合うようになっているからです。

結婚し、互いに素の自分が出るようになると、相手の言動に自分の心の傷が敏感に反応しだします。そして、自分の両親と同じように夫婦関係が悪くなり、いろんな問題が発生し、離婚に至るのです。

離婚後はどうなるか?

離婚後は、子どもを養っていかなければならないという厳しい現実が待っています。しかし、自分を信じることも、愛することもできなければ、困難を乗り越え、前進していく力は生まれません。

ネガティブな考えや感情に引っ張られ、更にうまくいかない現実をつくり出し、貧困状態に陥っていきます。結局は、我が子に、自分の子ども時代と同じような辛い経験をさせることになってしまうのです。

親から子へ何世代にも渡り引き継がれていく“負の連鎖”

このように、親から子へ何世代にも渡り、“負の連鎖”が引き継がれていくうちに、親や社会に対する怒りや復讐心、自己否定感は増幅し、それが目の前に深刻な問題として現れます。

この連鎖を断ち切るには、負の感情を解放しなくてはなりませんが、驚くことに、子ども時代に親に抱いた感情さえも、親のせいではなく、自分の根底にある強い欲求(不足感)から生まれたものなのです。

「わかって欲しい」「理解して欲しい」「私だけを見て欲しい」「私だけを愛して欲しい」この欲求があるために、相手の表情や行為から、「わかってもらえない」「理解してもらえない」「拒絶された」「無視された」「愛されていない」…と感じるものを拾い集め、勝手な思い込みや、観念的思考が生まれます。

“自分を愛することができない自分”がつくり出した悲劇

実は人間は、自分に対して最もできないことを、目の前の相手に強く求めているのです。

言い換えれば、自分に与えることができないものは、相手からも受け取ることができません。

親に愛されていないと感じたのも、“自分を愛することができない自分”がつくり出した悲劇です。

親から受けた仕打ちは現実にあった事でも、その親に感じたものは、あなたの中から生まれていたのです。

親も子も、愛したいのに、愛せない。愛されたいのに、愛を感じることができない。これが、この問題の根源的な原因です。

仕組みを理解すること

人生の全体を俯瞰する知性を持ち、「だから、うまくいかなかったのか」と、そのメカニズムを知るだけでいいのです。自分を愛そうとしたり、認めようとする必要性はありません。ただ“そういう仕組みになっていること”を理解するだけで、自ずとすべてが整っていきます。

そして、その理解は、貧困の一つの要因になっている、一族に引き継がれてきた負の連鎖をも、根源から断ち切るのです。

ミロスシステムは、目には見えない原因とメカニズムを“可視化”し、はっきりと理解することにより、問題を根源からリセットし、人生を再生させていく、誰もが、自らの力でできる実践方法なのです

(終わり)

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